息の量のお話(第2話)

ヴォイストレーニングでは必ず一人一人カルテを作成するのですが、
そのカルテに「息多め」と書くことが多い。
そして
息が多めの人に「もうちょっと息を少なく歌いましょう」と伝えても、
うまくいかないことが多い。という話を書きました。

これは
本能が「小さな声で歌おう」と勘違いさせてしまうので結局息は増えてしまう。
つまり息を減らす、ということはなかなか難しいことだということになります。

また、
「高い声を出したい」ということも
ヴォイストレーニングに通ってくる人の実現させたいことに挙がることが多い事柄なのですが、
これも息の量で実現させようとする人が多く、
声帯に負担をかけてしまうことが多いようです。

歌とは
「適正な息の量」で「届く音楽的な声」を実現させることでもあります。
ここで書いた適正な量というのは、きっと皆さんの想像よりもずっと少なめなのです。

これを解決する方法には順番が重要です。
ただ息の量を減らせたとしても、後々何度もやり直すことになるからです。

まずは呼吸の方法をしっかり自分のものにすること
息の話なのだから呼吸が一番って当たり前のことを書いているように思えるかもしれません。
しかしそんな単純な話ではないのです。
ここで出ている「呼吸」とはギターで言えば「手」にあたる部分。
つまり「タッチ」です。
しかし手は固体ですが、息は気体なので、この頼りないもので、「良いタッチ」を作ることは
とても難しいことなのです。
私はよく「圧力」という言葉を使って説明をします。
「良いタッチ」で声帯を震わせるイメージというものは
「しっかりと圧力をかけることが実現している息」ということになるからです。
しかし、
圧力をかけることに成功すると、なお一層息の量が増えがちになります。
圧をかけられる人になってから、初めて量の話ができる、ということなのです。
また受け止める声帯側の状態によっても息の量は左右されます。
つまり呼吸以外の部分でも左右される要素があるのだ、ということです。
ここを踏まえた上で、
様々な説明と方法を用い、息を減らしていく、という作業に入ります。

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