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KOUGU維新はただオタクが喜んだだけのコンテンツではない

こんにちは。「カラフラブル」とのコラボでまた盛り上がってます。完全に術中にハマってます。

「有吉の壁」で生まれた「KOUGU維新」。毎度トレンドに入り、楽曲やグッズが売れに売れ、いよいよミュージカルまで上演、そのミュージカルも円盤化が決定。最初に出てきたときはこんな事になるなんてオタクも思っていませんでした、マジで。

オタクとして「KOUGU維新」のスゴさを目の当たりにしたので、「KOUGU維新」のスゴさを書きたいと思います。結構長いです。


大元が「2.5次元あるある」

最近「あるあるネタ」がバズることが多いですが、「KOUGU維新」も元はあるあるネタです。

「KOUGU維新」は建築に使われる工具が擬人化したという設定ですが、これは「刀剣乱舞」「艦隊これくしょん」などと同じです(「刀剣乱舞」は刀、「艦隊これくしょん」は船)。また時代設定も明治維新直後というありがちなやつ。「刀剣乱舞」も確か明治とかだったと思います(詳しくないまま書いてます、すみません)。そもそも「KOUGU維新」自体が「刀剣乱舞」のパロディで、「刀剣乱舞」が流行っていたからブレイクするだろうと考えられたんだと思います。

また、中の人(キャラを演じている俳優であり芸人ではない)による地獄のような生配信もあるあるだそうで、2.5次元のオタクをやってる人達が「中の人の配信の雰囲気まで一緒」とおっしゃっていました。作品だけでなく作品の裏側も再現するほどのきめ細かい「あるある」が、2.5次元のオタクに伝わっているのがスゴい所です。これは2.5次元をバカにしたものではなく、研究し尽くされリスペクトに溢れている点で受け入れられたんだと思います。


クオリティの高さと絶妙なダサさ・つまんなさ

一番最初のプラスドライバと平やっとこが出てきた回は、メイクも不完全で殺陣やダンスもそんなに高くないクオリティでした。ところが回を重ねる毎にクオリティが上がっていき、ミュージカルの頃には全て完璧になっていました。特にメイクの部分では、最初の方はよくわかんないままメイクしてるんだろうな感があったんですがミュージカルでは完璧に研究されておりビジュアル面が著しく向上。特に「紙やすり」は髪型も進化しています。初登場回ではボサボサだったんですが後半では整えられて綺麗になっています(これ気のせいかもしれないんですが、後半の紙やすりの毛の流し方がプラドラと同じでまさかそういう裏設定もあるのか…?と深読みしてます)。ビジュアルや歌、ダンス、殺陣は演じている中の中の人のポテンシャルがそもそも高かったこともあると思うので、これだけのメンバーを選抜したきつねは本当に凄いと思います。マジで大津さんはプロデューサー。また、作品としてのクオリティも高いです。壁やミュージカルでは語られてないが紙面等で出している細かい設定も非常に作り込まれていて、考察大好きなオタクにとっては堪らないです。個人的にはオトメディアWINTER2021に掲載された相関図が最高でした。

ここまでクオリティが高くありながら、「有吉の壁」で披露されたものやミュージカルで挟まれた寸劇は絶妙にダサくてつまらないのが見事です。ここが面白すぎてしまうと「お笑いの一環、そういう設定のコント」になってしまい、2.7次元をやっているとは言えなくなってしまいます。2.7次元で収めつつ、芸人さんが追い詰められた末の面白さも堪能できるのがスゴい所です。


キャラクターデザイン(配色、配役)

まずは各キャラクターの設定をざっくりと紹介します。「KOUGU維新」のWikipediaを参考にしてます。敬称略。

・プラスドライバ (乙ルイ(きつね・大津広次))…黄色、ツッコミ役、王子様系

・平やっとこ (淡川幸一郎(きつね・淡路幸誠))…赤色、お調子者、荒くれ者

・キリ (宮布いつき(トム・ブラウン・布川))…青色、やれやれ系、ママ枠

・鉄槌 (音道わたる(トム・ブラウン・みちお))…黒色、おとぼけキャラ、カタコト

・巻尺 (KATA(空気階段・水川かたまり))…水色、不思議ちゃん、敬語ショタ枠

・紙やすり (小橋宇宙(四千頭身・石橋遼大))…ピンク色、おてんば、男の娘枠

・砥石 (渡哲夫(ワタリ119))…赤茶色、ワイルド系、まっすぐ

・丸鋸 (綺羅星輝(パーパー・ほしのディスコ))…紫色、狂気枠、実は一番強い

ここまでがメインキャラで、以下2人は2章南蛮編のメンバーとして登場回数は少なめのメンバーです。

・ギア (五味刃(三四郎・小宮浩信))…ハイテンション南蛮輸入キャラ

・トロ舟 (かやら龍(かが屋・賀屋壮也))…気さくな江戸っ子

そして以下が「KOUGU維新」における敵キャラ「工具リベリオン」の面々です。

・マイナスドライバ (無神慧(パンサー・向井慧))…くすんだ緑色、悲しい過去持ち、闇堕ち

・インパクトドライバ (もぐもぐ鈴木(空気階段・鈴木もぐら))…ぽっちゃりヒゲおじ

・チェーンソー (みやじん(宮下草薙・宮下兼史鷹))…従順な崇拝系部下

(EXIT単独ライブで行われた「祇園編」もありEXITが演じたキャラも居るのですがそれ見れてないので今回は省略させていただきます)

まず、キャラクター自体もよくあるやつでオタク大好きなやつです。プラマイ兄弟のすれ違いや闇堕ちとかもそうですし、やれやれ系とかママとかサイコ枠とかがいるのが「分かって」ます。

そして今回着目したいのは「配色」です。メインメンバーにはイメージカラーが振り分けられているのですが、その配色が凄い。キャラの関係と照らし合わせながら語っていきます。

まずは「プラスドライバ」「マイナスドライバ」兄弟の配色。プラスドライバが黄色(これも薄めの黄色というのが高貴感が出ていて良い)、であるのに対しマイナスドライバは緑色。黄色に青を混ぜると緑になりますが青=ブルー=マイナスが連想されるし、この混色方法は減法混色と言います。混色でもマイナスを取り入れてくる点、これは偶然だとしてもすごいです。また緑は緑でもちょっとくすんでいて茶色が混じっているというのが闇堕ち感があったり兄弟感が出ているのが良いです。

次に「巻尺」「紙やすり」の配色。水色とピンクですが、この配色がサンリオキャラクターの「リトルツインスターズ(通称キキララ)」と同じであることからオタクの間ではキキララコンビと呼ばれています(「カラフラブル」でキキララ呼び公式になりました。マジ?)。多分これはキキララと呼ばれることを狙って水色とピンクにしたんだと思います。また、水色とピンクはシンメトリー感があって安定した配色であり、色調により柔らかくも派手にもなる配色で、その上今流行りの配色であるので浸透しやすかった。キャラクター自体の可愛さもありますが配色の可愛さも相まってここまで人気になったんだと思います。

続いて「平やっとこ」「砥石」の配色。この2人は似た者同士で若干キャラが被っています。そのことからやっとこが赤、砥石が赤茶色という配色(公式では茶色という表記ですが赤寄りの茶色なので赤茶色としてます)。これも砥石がオレンジとかではなく赤茶色というのが良い。やっとこは荒くれ者ですが砥石はまっすぐな男ということで砥石は少し落ち着いた色にしたんでしょう。

最後に「キリ」「鉄槌」の配色。ここは中の中の人的にも少し年上で落ち着いた色合いです。キリの青(銀っぽい青)、鉄槌の黒。鉄槌が黒なのが良いですね、カタコトで工具自体が謎であり鉄なので重たい色で。キリの青も妖艶で高貴な青なのが良いです。またここでキリを紫にしなかったのは、青は落ち着くリラックスする色なのでママ的役割であるキリに合ってます。紫は「丸鋸」に取っておいたんですかね。丸鋸が紫なのはサイコ枠であることやメンバーの中では異質であることからも納得です。


そして「配役」なのですが、まずKOUGU維新の時系列から見ていきます。

きつねから始まりその次にトム・ブラウンが加入。次にかたまりさんと石橋さん、次にワタリさんとほしのさん、その次に向井さん、そして祇園編EXITがここで挟まれて、その次に小宮さんと賀屋さん。最後にもぐらさんと宮下さんが加入、という流れです。

トム・ブラウンが入ったのは、構成的に落ち着いた人達が必要だったからだと思います。若手で組んでいく中で、それほど上じゃないけど兄さん的立場である人達、それに最適だったのがトム・ブラウンだったわけですね。

かたまりさん石橋さんはもう完全に狙いに行ってる。本当にありがとうございますの気持ちです。こういうのに乗り気じゃないけど言われればしっかり出来るという人達なので最高人選です。

あとワタリさんほしのさんを選んだのもなかなかすごい。そういう人気もありつつ、それまで入っていた人達とはまた違う方向の方たちです。ワタリさんがピアノ若干弾けてほしのさんが歌上手いのでそれ先行の人選だったのかもしれませんが結果的には大成功です。

それと一番熱いのは向井さんの参戦。向井さんはいわゆる6.5世代の人気枠であり、よしもと男前ランキング1位の実績があり、アイドル的なこともやってきた人です(伝説のAdachilds…AGEAGEのオタクやってた人は胸熱だと思います)。その人が今の若手の第一線が演じる主人公の兄役を務め今の若手の第一線にラスボスとして対峙する。こんなアツいことないんですよマジで。

小宮さん賀屋さんもぐらさん宮下さんについてですが、小宮さんは新KOUGU男士イラスト紹介生配信にて出演希望のコメントが多かったことからの参戦だと思います。賀屋さんがここで入ってきたのが結構意外だったんですがトロ舟の喋り方に合っている声だからかなと思ってます。もぐらさんの参戦は「空気階段の踊り場」リスナーの努力の賜物。衣装や設定、小道具などもリスナーが制作したものだとか。スゴすぎ…。宮下さんは特撮が好きで、悪役をやりたいとずっとおっしゃっていたので最適人選です。宮下さんのためにあったといっても過言では無いです。


総じて「オタクのことをめちゃくちゃ分かっている」

ここまでかなり長くなっちゃったんですが、まとめると「マジで需要分かってるな」の一言につきます。キャラ設定が非常に細かく、イメージカラーの配色まで丁寧に作られていて、マジで「お笑い番組のためのネタ」のレベルではないんですよ。それこそ何人かのキャラデザイナーが集まって練られ作り上げられた1つの「作品」の熱量なんですよ。よく考えられていて、流行ることを念頭に置かれて作られています。何気で1番「ブレイクキャラ選手権」としては一番正攻法を行っている気がしますね。そしてこれはサブカルにも通じているきつねのおふたりだからこそ出来たものです。

疑問なんですけど、最初に作られた時にどこまで考えられていたんでしょうね。展開を見越して最初に全部考えられていたとしたらマジで凄いしプロデューサーとしてマジで尊敬します。(この間、デザイナーは30半ばでプロデュース業へと転向するべきというのを聞いたので余計に)


ブレイクした要因について

ここまで「KOUGU維新」のスゲーところを書きましたが、ここまで流行ったのは「KOUGU維新」自体のスゴさもそうですが他の要因が重なったことも大きいと思います。それは、「有吉の壁」視聴者層の広いことと「芸人がアイドルみたいなことをしても良い」という時代背景です。

「有吉の壁」は毎回Twitterのトレンド上位に入るほどの人気なわけですが、視聴者層は幅広く、お笑い好きだけでなく子どもやガッツリお笑い好きという訳では無い人たちも見ています。「TT兄弟」「Mr.パーカーJr.」「ストレッチャーズ」など他のキャラがブレイクしたのもその要因によりますが、そのキャラは主に子どもに刺さりました。今回「KOUGU維新」はガッツリお笑い好きという訳では無い女性たちに刺さり、その中に2.5次元やアニメなどのオタクをしている人もいて、ファンアートとか描く人達がいたことでより躍進したんだと思います。

また、「芸人がアイドルみたいなことをしても良い」という風潮は、主にEXITが作った風潮です。最近「アイドルが芸人みたいなことをする」のが増えてきていてめちゃくちゃ身体張るアイドルが誕生した中、お笑い界ではアイドル的人気も笑いにしてアイドルみたいなこともモデルみたいなこともやる「チャラ男キャラ」EXITが爆誕したことで、芸人アイドル人気文化が再熱したわけです。(正直今のところアイドルぽいことやる芸人はEXITくらいしか認められてない感じはしますが)芸人がアイドルみたいに歌ったり踊ったりすることに抵抗が無い層がもう既にできていたことで「KOUGU維新」は受け入れられたんだと思います。クオリティも高いから尚更。


最後に、「KOUGU維新」が日テレにとって助けとなるコンテンツであることもお伝えしたいと思います。

今回DVD番宣で「カラフラブル」コラボをされてるわけですが、「カラフラブル」の主人公の女性は"親方様"という設定で、ドラマのあらゆるところで「KOUGU維新」が関わっています。こういう主人公がオタクという設定では、他の版権を使うことは出来ないためドラマの中でオリジナルのアニメ、漫画などを制作します。ですが日テレには「KOUGU維新」があった。主人公を「KOUGU維新」のファンにすることで、ドラマ内でわざわざオリジナルのアニメ、漫画を作る必要がなく、さらに「KOUGU維新」を出すことで話題になりそっちの層を取り入れることが出来る(実際、まんまと見てます)。逆に、まずドラマに興味があった人達が「KOUGU維新」を知ることでその人たちを引っ張ってくることができます。日テレにとってはめちゃくちゃオイシイやり方です。これは「KOUGU維新」の功績だと思います。

以上、熱をもって「KOUGU維新」のスゲー所について語らせていただきました。あれはとんでもねえコンテンツです。是非足を踏み入れてみてください。ミュージカルのDVDは5月26日発売です。

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