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適職が全く向いていなかった話

能力と適職は違う。
環境次第で人は良くもなるし、ダメにもなるという少し怖い話。

私は事務に向いていると思っていました。
人と関わるのは苦手ですし、リーダーよりサポートタイプですし、黙々とする作業が好きだからです。
(ここの認識がまず間違っている気がするのですが……事務職の方どうですか?)

学校でやらされる適職診断では公務員とかお堅い系の結果が出ましたし、友達にも事務っぽいと言われてきたので自他ともに認めるデスクワーカーなんだろうと信じていました。

今の私の仕事は接客サービス業です。
事務、全然向いていなかった。

事務職に求められるスキル……例えば正確な文字入力とか、データ作成とか、ルーチンワークが苦にならないとか、適性はあったと思います。
エクセルで家計簿を作ったり、同人活動で使う納品書を作ったりするのも楽しいです。

しかし、適性=天職ではないと身を持って知りました。

事務職時代は、
この数字を打ち込むことで、納品書を綴ることで誰が喜んでくれるんだろう。
上司をラクさせるのが仕事?
それはお客さんの何の役に立つんだろう?
この仕事の目的は何なんだろう
「お客さん」が見えないから、何のためにやるのか分からない。
面白くない。
やり甲斐がない。

そんな風に感じてしまい、毎日何かしらのミスをして、怒られて、落ち込んで、仕事に対する自信を失いました。
今まで得意だった入力や確認作業にミスが増え、判断が何も出来なくなり、ストレスで食事が摂れなくなったこともあります。

自分がこんなに仕事ができないとは。
もしかしたらどこかおかしいんじゃないだろうか。
(当時は発達障害の特徴が出まくっていましたが、仕事以外で困ったことはありませんでした)

白い目で見られるのに耐えきれなくなって仕事を辞めました。

無職時代に働いたのは喫茶店です。
接客は一番やりたくない仕事だったのですが、見学したら楽そうだったので(失礼すぎる)、軽い気持ちで働きはじめました。

仕事は
目の前のお客様を楽しませること
お客様に気分良く過ごしてもらうこと

目的が明快で自分が何をすれば良いか分かりやすかったし、役に立てたかもと感じたときに初めて仕事って楽しいなと思いました。
どうやら、私は目の前にお客さんが見えないとダメなようです。
これに早く気づけていたら4回も転職せずに済んだだろうに……。

驚いたのは、事務職時代に否定されたことをそこでは肯定的に受け入れられたこと。
例えば気取っていると評されていたのが、喫茶店では落ち着いていて良いね、など。
自分は何も変わっていないのに他人からの評価が180度違うなんて!

ああ、きっと合わない環境で、合わない人たちと合わない仕事をしていただけだったんだな。
自分に問題が無かったとは言わないですが、自分の存在そのものが駄目ではなかったんだなと救われました。

同時に、人間は合わない環境にいるだけで本来持っている能力をも発揮できなくなってしまうんだなと恐ろしくなりました。

それを自分に価値がないと思いこんでしまったら……。
あの時辞めたのが人生ではなく仕事で良かったです。

  *

学校と違って、大人になると自分の居場所は自分で決めて良いんですよね。
向いていないことを無理にする必要性も義務もないので、それなら自分がラクで確実に勝てるフィールドを選びたい。
だって自分の人生だから。
身になる苦労ならいくらでもするけど、ただただ辛いだけの事を耐えていても良いことは何もありませんでした。
ただ耐えていればいつか誰かが手を差し伸べてくれる、なんて幻想でした。
自分を救えるのは自分だけ。

しかし、まさか接客が向いていたとは思いもしませんでした。
適職診断のせいで逆に10年近く迷走する羽目に(笑)

ちなみに事務職を辞めてから結構経ちますが、未だに会社の事務所に入ると気分が悪くなります。アレルギーです。


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