『人権後進国ニッポンを新たな訴訟で問う~子ども、障害、そして家族』 倉持麟太郎「このクソ素晴らしき世界」#76 presented by 8bitNews を見た感想

倉持麟太郎弁護士が、精神科医療の問題点を指摘しているので、それをみた感想を書きます
『人権後進国ニッポンを新たな訴訟で問う~子ども、障害、そして家族』 倉持麟太郎「このクソ素晴らしき世界」#76 presented by 8bitNews

総じて、今回のことは児相と精神科病院が大いに問題があると思います
それを踏まえたうえで、この動画を視聴して思ったことを以下に記載したいと思います

会見をした少年について、いくら一時保護所の待遇に反発を覚えたとはいえ、一時保護所を撮影をするという行為は、他に虐待されている児童もいる場所なので、判明してしまうと大変まずい。会見されている少年は、警察に通報されたことを不当かのように訴えていますが、そういった場所を撮影するという行為を止めると言うことは問題ないのではないでしょうか。

そういったまずい行為があったにからと言って、児相は医師が判断したわけではないのに、精神科への入院が必要と判断したことは大きな問題。更に、入院や服薬、拘束などの行動制限は、精神科への入院が必要とした精神保健指定医が判断すべきことなのに、児相が事前に入院の同意者となる母親に書面で同意を得ていたことは大いに問題がある。

過去にあった精神科の大きな問題として、「Y問題」というものがあります
これは、保健所の精神保健福祉相談員が、両親から同居の息子について精神科受診の相談を受け、医師の判断なくその精神保健福祉相談員が入院が必要と判断し、警察官を動員して、両親の同意もなく精神科に強制入院させたという事件です。
少し長いですが、以下を参照ください
https://www.r-gscefs.jp/pdf/ce09/kn01.pdf
今回の出来事は、まさにY問題事件と重なる出来事と言わざるを得ず、入院が必要と判断した児相職員の専門職としての倫理観が問われることかと思います
更に、多くの精神科病院では、入院の依頼を病院の精神保健福祉士が受けていることが多いです。今回児相からの入院相談をどのようにこの精神科病院で受けていたのかはわかりませんが、もし仮にこの病院の精神保健福祉士が児相からの相談を受けて入院につないでいたとしたら、その精神保健福祉士の判断は大いに問題があると言えます。もし入院受け入れまでに、精神保健福祉士が関わっていなかったとしても、医療保護入院が必要ない人を入院させたことについて、権利擁護の観点からどのように動いていたのかが気になるところです

欧米と比べて医療保護入院のような強制入院が、日本の場合多いと言うことは事実のようです。かと言って、欧米では地域で手厚く精神障害者が支援されているかと言えば、そうでもなく、刑務所に収容していたり、ホームレスになってしまったりということあるようです。またナーシングホームのようなプチ精神科病院でケアをしているということもあるようです。

民間業者が精神科への移送をしているということについて
精神保健福祉法では、公的に移送する制度があるのですが、ほとんど全く利用には至っていないと言うのが現状です
以下は少し古いですが、現状でも大きく変わりはないでしょう

精神保健福祉法第34条による移送制度の現状と課題

https://dcu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=52&item_no=1&attribute_id=45&file_no=1

今回は医師が診察診断する前から、民間の移送業者を使って本人を確保しているので、違法に拉致をしたといっても良いでしょう

この少年を入院させた精神科病院も大いに問題がある
動画でも指摘されていますが、「目立った精神症状は認められない」とカルテに書いているのに、医療保護入院とさせるのは、明らかに違法でしょう。カルテに問題のある診療内容を堂々と書いてしまっているのは呆れてしまいます。

医療保護入院の書類について、入院の判断をした日の後に、この少年に問題はないと診察で判断したにもかかわらず、2/8の時点で入院届に入院が必要であると言う診断をつけて記載しているのは問題ではないかと、倉持さんは指摘されています。
しかし、入院届を医療保護入院が必要と判断した日より後に記載することは、記載する分量が多いためよくあることです(特にこの病院は手書きなのでなおさらでしょう)。この件でいうと、入院が必要と判断したのが2/1で、記載が終わったのが2/8、2/8に2/1のことを記載しているので問題はありません。2/1以降に診断などが変わったとしても、2/1のことを入院届に書かないといけないのです。
また入院同意書についても、2/1の入院時に同意したことになっているが、記載したのは2/3になっていることを倉持さんが問題視している点について。動画にも出ていますが2/1は母親は来院せず、電話で同意をとっています。電話で同意を取るという事は、入院患者と家族との関係性や、どうしても入院時に同意する家族が立ち会えない特別な事情がある限り認められています。それなので、2/1に電話で母親に同意をもらい、2/3に母親に来院してもらって同意書を記載してもらうことは問題ありません。2/1時点での同意書なので、その後入院同意を撤回したとしても、手続き上は同意書を記載いただかないといけないことになっています。(稀に同意を撤回して、同意書を書かないという方がいるので、困ることがあります)

以上
この件については裁判の結果を待たねばなりませんが
問題含みの出来事であることは変わらないでしょう
精神保健福祉士協会などがどのように声明を出すのか注視していきたいです