【名画座でしか見られない作品】 成瀬巳喜男 「鰯雲」 〜 元豪農の戦後の没落を描く

神保町シアターで今週末から成瀬巳喜男 特集が始まる。特に未ソフト化の作品を過去のメモから紹介する。できれば再見しておきたいものだが、どこまで可能か・・・。

「鰯雲」成瀬巳喜男 監督、1958年。戦後の農地改革・民主化の流れをうけて変貌してゆく元地主の親父と義妹、その家族を中心としたドラマ。元豪農の没落はよく描かれるテーマだが、なんとなくアチェベ「崩れゆく絆」を日本でやったらこうなるかもしれないと思う。

農村の旧弊さってのはもう少しドロ臭いような気もするので淡島千景の美しさもあいまってある程度フィルタかけられている感じはあるけど、末っ子を分家に押しつけて分家の土地を実質的に相続させようとするとか、地道にいやらしい手練手管がリアルである。(2015/11/28 シネマヴェーラ 上映時の感想)