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要約練習帳(1)

1月4日(月)東京の寄席で、初代から三代まで100年続く林家正楽の紙切り芸は、時の世相を表している。東日本震災後の客席からの注文に「津波」があり「奇跡の一本松」を切った。昨年の注文は「アマビエ」が多かった。自粛中の5月は例年のように「こいのぼり」などは切れなかったが、「6人きょうだい」という注文に家族の絆が見え心和んだという。さて今年はどんな世相が切り抜かれるのだろうか。

1月5日(火)菅首相から、首都圏1都3県を対象に緊急事態宣言の再発令の検討が表明された。突然のGoToトラベル停止に次ぐ遅すぎる政府の対応に、国民が不信を抱くのは当然である。この政策しかないという傲慢を捨て、国民の理解を得られる臨機応変な別の道も作っておくべきである。

1月6日(水)台湾出身で日本人と結婚したパティシエの小松さんは、毎年今頃届くクリスマスケーキの喜びの声を楽しみにしている。台湾には卵や牛乳を使わない菓子が多い。その台湾の知恵が生かされた小松さんのケーキは、アレルギーの子供を持つ家族に明るい思い出を刻んでいる。

1月7日(木)中国発祥の「人日」と呼ばれる七草の節句は、今では日本で七草粥を食べる日として続いている。厚労省が、中国武漢からの原因不明の肺炎について注意を呼びかけて、一年である。邪気払いの意味もある七草は、今年パッケージに「無病息災」の願いを印刷した商品が多いそうである。

1月8日(金)政府のコロナ対策は、「兵力の逐次投入」つまり小出し政策と批判されている。兵力の逐次投入は軍隊の士気の挫折につながる。政府はようやく緊急事態宣言を出したが、1都3県対象で飲食店の時短が主軸である。専門家は、これでは2ヶ月後も同水準の感染状況が続くと見ている。中途半端な策で緊急事態が長引くことになれば、政府は国民の士気の挫折を恐れなければならない。

1月9日(土)米国民主主義が目指したのは新しいアテナイだった。しかしアテナイの民主政は扇動政治家などにより衰亡した。議事堂乱入占拠事件は、現代に現れた扇動者トランプ大統領が促した。しかし超党派の非難や罷免要求を受け、氏は一転選挙敗北を認めたという、扇動者特有の変わり身の早さである。