山へ免許を取りに行く⑥
無職なりに色々と忙しく、しばらく間が空いてしまいました。
これの続き。今月中に完結させたいですね。
◎
免許合宿に行く、ことについて、基本的にあまり人に言わないようにしていました。仕事関係では、しばらく山へ行きます、とか適当な感じではぐらかしていたら、ヨシダがいつの間にか地方移住することになっていた。
いや、別に隠さなくてもいいんだけどね。色々理屈こねて旅立った挙げ句、もし免許取れなくて泣いて帰ってくることになったら恥ずかしいじゃん。
万が一泣いて帰ってきてもネタにしてくれるというか、笑っていただけるような素敵な性格の友人たちには、しばらく免許合宿行くから東京おらんのよ、とお伝えしておりました。
東京を離れるにあたって、そんな友人の一人が教えてくれたのが星野博美さんの『島へ免許を取りに行く』でした。
『山へ免許を取りに行く』のタイトルはここから(勝手に)いただきました。怒られたら変えます。
星野博美は『銭湯の女神』とか『転がる香港に苔は生えない』とか実家にいた頃好きだったのだけれど、最近全然追えていなかった。これを機会に、東京戻ってから読んだ『世界は五反田から始まった』も大変面白かったです。
『島へ〜』は、四十代の星野さんが思い立って、五島列島で免許合宿に行く話です。
わかるー。
いちど機会を失したことって、色々理屈を捏ねないと今更できないんですよね。
星野さんは色々考えた末に、「乗馬体験ができる」のを決め手に五島の自動車学校に行くんだけど、そのあたりの機微が順序立てて言語化されていて、いちいち納得しながら読んでいました。そして何より、この人自動車の運転に向いていないんだな、ということが痛いほど伝わってくる。
◎こんなに運転に向いてなさそうな人の文章に納得してしまう自分も、やはり運転に向いていないのではないか?
◎こんなに運転に向いていなさそうな人でも、最終的にどうにかなっているなら大丈夫なのではないか?
という不安と期待の残る読後感でしたが、ちょうど免許合宿の最初期に読んで、読み終えて、勝手に感情移入して、贅沢な読書体験だったと言えます。
そして、教習が進むにつれて、「もしかして自分は運転に向いていないのでは?」という不安は、どんどん実体化することになるのでした。
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ちなみに、この本を教えてくれた友人は免許を持っていないそうです。ぜひいつか五島で免許合宿に行ってほしい。
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