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ChatGPTで製品要求仕様書(PRD)のたたき台を作成する


はじめに

おおよそ1ヶ月ほど前に「PdM業務でChatGPTを活用する」と題して、新規事業立ち上げで時折活用するビジネスアイデアの可視化フレームワークである”リーンキャンバス”を作成するということにトライしてみました。

今回の記事でも大枠の考え方は変えずに進めようと思いますが、作成する対象としてはプロダクトマネジメントの要素が凝縮されたPdM業務の根幹とも言える”PRD”のたたき台をChatGPTを活用して出力してみたいと思います。

PRDとは?

正式名称をお伝えすると、製品要求仕様書(Product Requirement Document)という名前になります。これが略されて通称「PRD」という言葉が、主にアジャイル開発の手法を主軸としたプロダクト開発を行なっている業界において伝わっていると思います。

端的に意味をお伝えすると、プロダクト開発におけるWhy(なぜその機能が必要なのか、誰の何の課題を解決する機能なのか)What(その機能とは何なのか)が明記されているドキュメントになります。

SI業界等におけるシステム開発では、主にウォーターフォール開発の手法が採用されており、PRDではなく”要件定義書”や”基本・外部・内部・詳細設計書”というものが作成されている場合が多いと思いますが、後者に関しては、How(どうやってその製品を開発するか)という部分まで明記されている場合が多いため、その部分がPRDとの大きな違いと理解しております。PRDの場合、Howの部分をあえて記載しないのは、Howの箇所における専門家であるエンジニアの想像力を働かせ、モチベーションを向上させるという意味合いも込められております。

PRDに関しては、非常に奥が深いのでまた改めて整理してお伝えしたいと思います。

PRDの要素例

私の過去の経験に基づいた要素例になりますが、参考に以下のとおり記載をさせていただきます。

  • プロダクトコンセプト

    • 用語と定義

    • 背景

    • 仮説

    • ゴール

    • ソリューションの概要

    • 計測方法

      • 主要指標

      • 二次指標

    • リスク

  • プロダクトスコープ

    • 機能一覧(優先度、担当、機能説明、技術要件などを記載)

  • プロダクト仕様

    • 機能仕様

    • 画面仕様

  • マーケティング戦略

  • スケジュール

以下の記事は、非常に網羅的に要素が洗い出されているので、全ての要素をテーブルに並べて、必要な要素をピックアップしてPRDを書き上げたいという方にはおすすめです。

使用例

実際にBing AIを活用して試してみた結果を以下にプロットさせていただきます。プロダクトバックログに近い形の情報を入力として与え、出力は各項目の意味まで説明することでたたき台としては比較的及第点のものが出力されるようになりました。追加で想定している"サービス概要"などの情報を与えることでさらに肉付けすることもできました。

プロンプト(入力)

あなたは、教育系ベンチャー企業に勤めるプロのプロダクトマネージャー(背景情報)です。

#機能概要(入力) を読み込んで、製品要求仕様書(Product Requirement Document)の叩き台を作成してください。製品要求仕様書(Product Requirement Document)は、以後PRDと略します。(命令)
#フォーマット(出力) に沿って、出力してください。(命令)

#機能概要:”””
主体(誰が):高校OBであり実社会で活躍する社会人
体験(どんな価値を享受できるか):母校の中で自身の専門分野に基づいた特別講義を行う上でのサポートを受けられ、比較的気軽に講義準備、実施ができる。
方針・仕様案(解決策の概要):教育関係者ではない実社会で活躍する社会人でも高校生に講義を行うことができるための講義準備におけるベースとなる型を提供する。資料作成などの運営面でのサポートはプラットフォーム側でも実施する。
“””

#フォーマット:””” 
1.PRDの項目以下の通りです。以下に習って回答して下さい。
(1)プロダクトコンセプト
 ・用語と定義(PRDに登場する用語とその説明を記載してください)
 ・背景(今回の機能がなぜ必要か、誰の何を解決するのか、を記載してください)
 ・仮説(今回の機能を実装することによりどんな価値を提供できるのか、その仮説を記載してください)
 ・ゴール(この機能をローンチすることで達成したい目標を明記してください)
 ・ソリューションの概要(解決策の概要をできる限り詳細に明記してください。)
 ・計測方法(ゴールが達成されたか否かをどんな指標に基づいて評価するのか、指標と閾値に分けて記載してください)
  ・主要指標
  ・二次指標
 ・リスク(機能開発に伴い、発生する可能性のあるリスクを思いつく限りで明記してください。)
(2)プロダクトスコープ(機能概要をもう少し細かく細分化する必要がある場合は、機能一覧を作成してください。)
 ・機能一覧(優先度、担当、機能説明、技術要件などを記載)
(3)プロダクト仕様(プロダクトスコープで適宜した機能毎に機能仕様と画面仕様を記載してください。)
 ・機能仕様
 ・画面仕様
(4)マーケティング戦略(ゴールを達成するために必要となるマーケティング戦略の仮説について記載してください。)
(5)スケジュール(開発に着手してから、機能ローンチ、仮説検証を実施するまでのおおよそのタイムラインを記載してください。)

“””
以下の#サービス概要をもとにもう少しPRDを肉付けしてください。

#サービス概要:”””
この取り組みは、通常授業が終わった放課後や土日の時間を活用して、高校OBであり実社会で活躍する社会人が、在校生に向けて、ワークショップ形式で特別講義を行う取り組みである。目的としては、高等学校の授業科目として新たに追加された「探究学習」やSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の課題研究における高校生のための学習サポート、および将来の自分らしい生き方を見つける上での手助けとなることを期待した取り組みである。探究学習で習得が求められている社会人基礎力(「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」)を身につけるため、学校教員に留まらず、実社会の中で活躍されている社会人が実体験に基づいた講義を行うことで、より地に足がついた講義になることと、高校生が自分の将来像をよりイメージできることを期待している。
“””

ChatGPTからの回答

1. PRDの項目以下の通りです。

(1)プロダクトコンセプト
 ・用語と定義:特別講義 - 実社会で活躍する社会人が高校生に対して行う講義。専門分野に基づいて行われ、母校の中で行うことが多い。探究学習 - 高等学校の授業科目として新たに追加されたもので、社会人基礎力を身につけることを目指している。
 ・背景:実社会で活躍する社会人が高校生に対して自身の専門分野に基づいた特別講義を行いたいというニーズがあります。しかし、教育関係者ではない彼らが講義を行うためのサポートが不足しています。また、高等学校の授業科目として新たに追加された「探究学習」やSSHの課題研究における高校生のための学習サポートが必要とされています。
 ・仮説:講義準備におけるベースとなる型を提供し、資料作成などの運営面でのサポートを行うことで、実社会で活躍する社会人が比較的気軽に特別講義を行うことができ、高校生が自分の将来像をよりイメージできるようになると考えています。
 ・ゴール:この機能をローンチすることで、実社会で活躍する社会人が高校生に対して自身の専門分野に基づいた特別講義を行う際の支援を提供し、教育の質と多様性を向上させることが目標です。また、高校生が自分の将来像をよりイメージできることも目指しています。
 ・ソリューションの概要:講義準備におけるベースとなる型を提供します。これにより、講義の内容や進行方法などについてのガイドラインを提供し、講義の準備を容易にします。また、資料作成などの運営面でのサポートもプラットフォーム側で実施します。
 ・計測方法:ゴールが達成されたか否かを評価するための指標は以下の通りです。
  ・主要指標:特別講義の開催数、参加者数
  ・二次指標:参加者からのフィードバック、再度講義を行いたいと思う講師の割合
 ・リスク:講義の質が保証できない、講師が十分な準備をしない、講義内容が学校のカリキュラムと合わないなどのリスクが考えられます。

(2)プロダクトスコープ
 ・機能一覧:
  ・講義準備のベースとなる型の提供
  ・資料作成支援
  ・講義のスケジューリング
  ・ワークショップ形式での講義のサポート
  ・探究学習やSSHの課題研究に対する学習サポート

(3)プロダクト仕様
 ・機能仕様:
   ・講義準備のベースとなる型の提供:講義の内容や進行方法などについてのガイドラインを提供します。これにより、講師は講義の準備を容易に行うことができます。
   ・資料作成支援:講師が講義で使用する資料の作成を支援します。これにより、講師は資料作成の負担を軽減することができます。
   ・講義のスケジューリング:講義の日程を設定し、参加者に通知する機能を提供します。これにより、講師と参加者のスケジュール調整を容易にします。
   ・ワークショップ形式での講義のサポート:ワークショップ形式での講義を支援する機能を提供します。これにより、講師は参加者とのインタラクティブな学習体験を提供することができます。
   ・探究学習やSSHの課題研究に対する学習サポート:探究学習やSSHの課題研究に対する学習サポートを提供します。これにより、高校生は自分の学習を深めることができます。
 ・画面仕様:
   ・講義準備画面:講師が講義の準備を行うための画面を提供します。講師はここで講義の内容を入力し、資料をアップロードすることができます。
   ・講義スケジューリング画面:講師が講義の日程を設定するための画面を提供します。講師はここで講義の日程を選択し、参加者に通知を送ることができます。
   ・講義実施画面:講師が講義を実施するための画面を提供します。講師はここで講義を開始し、参加者とのインタラクションを行うことができます。

(4)マーケティング戦略:特別講義を行いたいと考えている社会人や、多様な講義を求めている高校に対して、この新機能を積極的にアピールします。

(5)スケジュール
 ・開発着手:2024年1月1日
 ・機能ローンチ:2024年4月1日
 ・仮説検証実施:2024年7月1日
これらの日程はあくまで目安であり、具体的な開発スコープやリソースにより変動する可能性があります。また、開発プロセス中には定期的なレビューとフィードバックの機会を設け、必要に応じてスケジュールや仕様を調整します。これにより、製品の品質を確保しつつ、ユーザーのニーズに最適化した機能を提供することを目指します。

まとめ

今回、ChatGPTを活用することで、PRDのたたき台を作成するということにチャレンジしてみました。

たたき台としては、まずまずの出力を得ることができたという所感がありますが、プロンプトを工夫することでもう少し質を向上させたり、汎用化できたりすると思うので引き続き試行錯誤を進めていきたいと思います。

よかったら今回の内容を普段のPdM業務にご参考ください。

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