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さわさわしたコーヒーvol.2 -往復書簡-

これは、私が暮らす徳島県上勝町の隣町、佐那河内村に住むフードデザイナー・小林幸(こばやしゆき)さんとの公開往復書簡です。
たわいもない話を、山を超えて文章で交換して行きます。
小林幸さんのサイト 
https://yfd-studio.net/


ゆきさん

始まってしまいました、往復書簡。(笑)
開始早々、お返事が遅くなってしまった東です。
11月に入って、こちらは忙しさが急にどっと押し寄せています。
きっと、幸さんも忙しい日々をお過ごしでしょう。
個展もお疲れ様でした!

上勝町では木々が色づき、美しい紅葉の季節を迎えています。
朝晩は冷え込み、冬が近づいてくるのを感じますが、短い秋を堪能したいものです。

そういえば、昨日からシンガポールより二人のシェフにお越しいただいています。サステナブルレストランを運営している方々です。
昨日は町内の農家さんが管理する農園にお邪魔し、柑橘のゆこうや柚子、料理に添えるつまものの収穫などを体験しました。

シェフたちと山の上の農園に。

さすがはシェフたち。歩けばすぐに、食べられる食材を見つけます。
柑橘の葉っぱを刻んで、料理やデザートに加えるなど、私たちが学ばせてもらうこともたくさんあって、楽しい時間を過ごしました。
秋の陽気を感じながら、今、私は目まぐるしい日々を送っているところです。

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10月末に上勝町にお越しいただいて、文豪の話をしたら
「往復書簡、始めませんか?」とご提案いただきました。
「わー、楽しそう!いいですね!」と言ったものの
こんなにすぐに、ゆきさんからお手紙いただけるとは…!
誰かが自分に向けて書いてくれる文章を読むのは、とても新鮮でした。
そして誰かに向けて文章を書くのは、小学校以来かもしれない、と思いながら今、書いています。

私はコラムという形で、毎月何かしらの文章を出させてもらっていますが、
このような自由な形式での文章を書くことは少なくて、書く場所もなかったので、急いでnoteを作りました!
手探りな状態の私ですが、これからどうぞ、よろしくお願い致します。

近所を散歩中に。息子と。

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文豪について。
幸さんとお話しした後に、私も友人と「文豪がいる空間」について話をしていて、「集中できる空間」だとか「孤立できること」というキーワードが出てきました。

幸さんが書いてくれていたような「より内向的になる作業で、外界と閉ざされた環境」という意味合いに近いのではないでしょうか。

そして未来という時間とのつながり…。非常に興味深かったです。
私は感覚的に「文豪が生まれる場所が地域にあること、また自分がその空間を作り出す、一部になれること。」が何かしらの豊かさを携えていると考えていたのですが、幸さんはそれを適切な言葉で表現してくれた、と感じています。

そうそう。これが、私が幸さんと話していると、いつも感じていること。
「整理されている。」そんな感覚です。
幸さんは「デザイナーという仕事は整理整頓」だと仰っていましたよね。
私は考え過ぎてしまう癖があるんですが、幸さんは私の話を聞き、交通整理したり、それはこういう事では?と要約してくれたりして、最後には考えがまとまっていきます。

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さわさわしたコーヒー。
このタイトルは、息子と一緒に家で簡単なワークに取り組んでいる時に出てきた言葉です。

幸さんなら、なんという言葉で表現しますか?

上記のような図があって、コップにどんな飲み物が入っていると思いますか?またそれは、どのような状態ですか?という問いが設定されています。

息子はこれを「さわさわしたコーヒー」と表現しました。
子どもらしい、楽しい表現でした。
私は気に入って、それをそのまま幸さんにお話ししたのが今、こうして往復書簡のタイトルになっているのは、不思議かつ嬉しい気持ちです。

「変だね。」とも、もちろん言えるでしょう。
コーヒーを表現するのに、さわさわなんて普通使わない。
「さわさわしたコーヒー」って、つまりはどんなコーヒー?と
ツッコまれることもあるでしょう。

「面白い。」
と、幸さんが気に入ってくれて、私も嬉しかった。
多様な考え方に触れたいという気持ちもありながら、面白さや楽しさを共有できる人がいるっていうのは、幸せなことではないでしょうか。


さわさわとしたコーヒーは、文豪のいる空間で飲むコーヒーかな?
そんな妄想がまた、私の中で広がろうとしています。

考えるのが、ただただ楽しい。
これからもどうぞ、お付き合いください。

続く。

2022.11.12




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