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とりあえずちょっと冬眠したい。


12月28日に、わたくし、名仁川るいの単行本が発売される。

三冊目の成人向け単行本である。

当初の予定では来年の2月に発売される予定だったのが

どういうわけか編集長が年内に予定を繰り上げてきたので、若干駆け足での準備となった。

ただ私個人も『年内に発売できたら良かったんだけどな』と過去に思っていた時期があったので、

この予定変更に驚きはしたけど、渡りに船と思うことにして頭を切り替えた。

「基本的に年末は本の売上が良いから前向きに捉えよう」

という担当さんの励ましもあった。

本文の加筆修正を行う時間はほとんど取れなかったので、

明らかな作画ミスと違和感だけを払拭して、それ以上は弄らなかった。

不思議と、「もっとガッツリ直したかったのに」「時間が無くて出来なかった」という恨み節がわいてこない。

本文校正が届いた時、

幾つかの場所に背景作画の抜け落ちを見つけたのだけど、もはや時間的にどうしようもなかったのでそのままである。

『ウォーリーをさがせ!』みたいなノリで、ミスを探してもらって構わないぜ。

と、開き直り始めたくらいだから、性格的な図太さが良くも悪くも増した気がする。

恨み節の代わりに湧いて来たのは

『2021年の間に全部終わらせられるんだな』

という安堵感だった。

紙の本の発売日は書類上では28日だけど、書店さんによっては24日や25日に発売されるところもあるようだ。

つまり、クリスマスを境に、私はまたゼロに戻る。

年末にゼロになるのはなんだかキリが良くて。

清々しいな、と妙に思った。


ーー


9月26日。12月22日発売の雑誌に掲載される漫画の原稿を提出。

9月28日。単行本のタイトルが決定。

9月30日までに表1表4(単行本の表紙と裏表紙)のラフ案を提出したかったのだけど悪戦苦闘。

10月1日。計7枚提出したラフの中から表1表4が決定。

10月2日。線画作り開始。

10月3日。使用中のWindows10がブルスクを引き起こしたのでテンパる。マシンの故障かクリスタの不具合かと思いきやMicrosoft Edgeのバグとのことで、この日はペンを止めて追加情報を待つ。

10月6日。線画にOKが出たのでカラーの下塗りを開始。

10月14日。表1の下塗りになかなか編集長が首を縦にふらないので困っていたが、この日ようやくOKが出る。

同日。今回塗師を務めていただくことになった作家の翠野さんに下塗りを提出。

10月15日。たった1日で翠野さんから高クオリティの進捗が届く。仕事が早くてめちゃくちゃ救われる。

10月18日。単行本のあとがきを提出。

10月21日。表1表4の最終仕上げが届く。これでカバー回りの、作家サイドの作業は完了される。

10月25日。本文の加筆修正を提出。加筆修正の締切は10月29日だったのだが(経験上、発売日から逆算しても締切自体もっと後でもよさそうなものだが。)、その後の予定と自分の体力の無さを考えるとこの辺りで切り上げるのが得策に思えた。だからそうした。

10月26日。丸一日、のんびり寝る。

11月5日。担当さんに沖縄の紅芋タルトをねだって、楽天市場で買わせる。

11月14日。届いていた本文校正のチェックバックを送る。セリフを2ヵ所訂正をお願いする。

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一枚一枚セリフチェックをしていると大概途中から「…“関係”の“関”って、この“関”でいいんだっけ…?」などとゲシュタルト崩壊が始まるので戦々恐々としながらチェックを遂行。

11月18日。書店様用特典のリーフレットをひとつ提出。

11月25日。書店様用特典のリーフレットをもうひとつ提出。

リーフレットは両方とも11月30日が締切だったので、まあまあ余裕をもって提出することに成功した。

12月1日。カバーと帯の校正紙が届く。

12月13日。出版社から出版契約書が届く。割印を押して返送。

…そんな感じで

一通りの工程を経て、単行本作業は完了した。


ーー


単行本作業が終わってホッとしてる反面、発売されるまでは謎の気忙(きぜわ)しさがついて回る。

先に紙の本。そのあと電子単行本。

それらが無事に流通されるまで、根っこにある緊張は多分とけないと思う。

寝ててもあんまり疲れが取れない。

ぼんやりしてても、どこかぼんやりしきれない。

だからぼんやりする暇の無い週刊連載、月刊連載を手掛ける作家さんは私から見たら天上人である。

前にも似たような事を言った気がするけど、同じ人間だと思っちゃいけない。

生まれ持った体力が自分より多い人の生活を、参考にしたりしたら命とりに繋がる。

やめとけ。

ところで無性に冬眠したい。

日当たり良好のあったかい部屋でぼーっとしながら冬眠したい。

…年末に身体がダルくなるのは、心のどこかで

「今年の疲れが溜まったまま、来年を迎えたくない」

って思っているからだと思う。だからダルくなる。

今年の膿は今年のうちに。

全部出して、ゼロに戻ろう。

2021年は個人的にいつもと違う局面を迎えて動揺することも多かったんだけど

自分の成長に繋がったという意味では、いいこともめちゃくちゃ多かったっていう、そんな嵐みたいな年だった。

ともあれ、ようやく三冊目。

単純に嬉しい。

18歳以上の紳士淑女は全員買ってね。

全員買ってね(圧)。

文章のテンションが低いせいか、あまり嬉しそうには見えないかもしれないけど

これでも結構、ルンルンしてるほうだったりする。

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