お風呂場がダンジョンだった頃。
僕は5歳の時から一人でお風呂に入ってた。
親が働いていたため、おばあちゃんの家に預けられていた僕はおばあちゃんに愛をたっぷり注がれて育った。
美味しいご飯を食べさせてくれ、時に遊び相手にもなってくれたおばあちゃん。
しかし、そんなおばあちゃんがお風呂にだけは一緒に入ってくれなかった。娘しか育てたことがなかった彼女は男のアレを見るのがどうしても我慢ならなかったらしい。
いや、5歳児のアレに慄く?見たことないんか?
そんなこんなで僕は5歳の時から一人でお風呂に入ってた。
二足歩行にもようやく慣れてきたところで、いきなりの一人風呂。
しかし僕は案外あっさりと慣れた。
寧ろこの時間が僕にとって1日で一番楽しい時間だった。
そう、一人RPGをしていたからだ。
一人RPGとは、5歳という若さで一人風呂をこなしていた僕が創り出した"究極のおままごと"である。
まずお風呂に入る。
およそ四畳半のお風呂場を壮大なダンジョンだと想像。
そして、架空の仲間を頭の中で創りあげる。
あとは冒険の始まりだ。
RPGというと
「勇者」 「魔法使い」 「賢者」 …
など、様々な"役職"があるのだが、いかんせん当時の僕はドラゴンクエストをやった事も見た事もない幼児だったため、なんかアバウトにキャラ付けしていた。
ここでそんな僕の勇敢なる仲間を紹介したい。
一人目「ガンリー」
たぶんガンジーって名前をどっかで聞いて語感がいいと思ったから付けた。由来にそぐわぬ短気な奴。
肩にちっこいドラゴン乗っけてる。
2人目「キヨシ」
おばあちゃんが好きだった氷川きよしから命名。
なんか筋肉すごい奴。当然だが、基本上裸。
あと目にかっこいい傷がある。なんでかは知らん。
3人目「あや」
女。
4人目「タロ」
当時飼ってた犬。マルチーズ。
なんの捻りもなくただの愛犬。可愛い。
5人目「俺」
めっちゃ強い。
なんか全部使える。火とか氷とか出す。
あと、あやに好かれてる。
たぶんこんな感じだった。
いや俺つよ。ゲームバランスぶっ壊すバカキャラじゃん。
こんなハチャメチャ一味と共に、およそ20分間の冒険をしていた。
なにを目的に冒険していたかは全く覚えてない。
魔王を倒すでもなく、レベルを上げるでもなく、ただひたすらに冒険っぽいことをしていた。
記憶が曖昧なため正確には覚えていないのだが、途中から「あや」は居なくなった。たぶん5歳児に女は扱えなかったのだろう。
あと、筋肉キャラのキヨシも何故か途中から頭脳派に転職してた。
こんな楽しい大冒険を毎日お風呂の時間に繰り広げていたのだが、あまりに盛り上がった回(いわゆる神回)はお風呂から上がったあと、
「お風呂の時なに喋ってるの?」
と、おばあちゃんに聞かれた。
猛烈に恥ずかしかった。
「一人でRPGしてるんだッ!」とは口が裂けても言えなかった。
しかし、小学生3年生の時、この冒険は終わりを告げる。
原因は、家のシャワーのノズルが水圧の強いやつに変えられたことだった。
メカメカしいおニューのノズルに感激した僕は、いつもよりも数倍も激しい水圧に興奮し、その勢いで自らのアレにシャワーを当てた。
初めての快感だった。(これが後にオ○ニーという行為だと知るのは、それはまた別の話。)
それ以来、お風呂に入ると必ずシャワーを自らの剣に当てて快感を得る毎日。
もう、冒険なんてどうでもいい。
なんだガンリーって、なんだRPGって。
もう…どうでもいい……………
今でもふと、オ○ニーをしたあとに思い出す。
「アイツら、元気にしてっかな…」
これがホントの賢者タイムってね♪
(スタンド・バイ・ミーのBGM)
PS.現在の時刻 AM4:36
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