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短歌#10

届け物 バスで現る 受取人 偶然装った 手慣れた必然

暑いので、バスで出かけようと思い、到着予定時刻の1分前にバス停に着いた。その時、同じタイミングで自転車に乗ったご婦人も到着した。恐らく、歳は60前後。ここに自転車を停めてバスに乗るつもりなのか?と思い、私はいぶかしげな表情をしていた。

バスが来た。乗り込もうとした矢先、バスの中から乗客のご婦人が顔をのぞかせた。すると、「すみませんねぇ」といって、自転車のご婦人から何か荷物を受け取っていた。結局、自転車のご婦人はバスに乗らず、微笑んで乗客のご婦人を見送っていた。

どういう状況か理解したが、よくわからなかった。自転車のご婦人が乗客のご婦人に、忘れ物なのか、おすそわけなのか知る由もないが、何か届け物を渡していた。乗客のご婦人は自転車のご婦人が現れることを確信していた。余裕すら感じた。以前にそういう約束をしていたのか、携帯電話で連絡を取り合ったのか。

どういう連係プレーなのか分からなかったが、一方はバスに乗っていて、一方はバス停で待っているが乗らないという、一瞬の待ち合わせ方法がとても斬新だと思った。そういう待ち合わせは、日常的によくあることですか?と運転手のおじさんにきいてみたかった。

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