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映画における視点・カメラワーク

Netflixで「スラムドッグミリオネア」を観た。

気になっていたが、なかなか観る機会が無かった作品だった。

本筋に関わる部分はネタバレになりかねないので、今回は詳しくは述べない。

今回書いていくのは冒頭のチェイスシーンについて。

幼少期の主人公が警官から逃げ回る何でもないようなシーンだけど、個人的には「上手・下手」で綺麗に撮られているなぁと感じた。

具体的には、左から右へ演者が移動したあとは、カメラが変わり今度は演者が右から左へ駆け抜けていくように撮影されている。

映画やアニメーションの撮影技法において、「左から右方向」は未来や前向きなイメージを演出し、逆方向は過去や後向きな印象を演出する。これらに加えて、奥方向は「出ていく」手前方向は「帰ってくる、戻ってくる」印象を与えることができる。(この知識を教えてくれた元記事が見つからなかった……。)

「スラムドッグ・ミリオネア」はこの手法を巧みに使い、「チェイス」を演出していた。

①左から右、②右から左、③映像手前に現れた警官が周囲を見渡すと、ピントが奥に合い、主人公を見つける。(手前から奥の関係)④そこでまたカメラが切り替わり、カメラを飛び越して逃げる主人公、カメラに向かって追いかけてくる警官。(奥から手前の関係)

シーンを短いスパンで切り替え、いろんな角度から逃げる主人公・追う警官を撮影する手法と、狭いスラム街を縦横無尽に逃げ惑う様子は状況と演出がバッチリ当てはまっていて、こういう細かいところもこだわっているんだなぁと感動した。

映画が好きな人からすると、カメラワークは楽しむ一つの部分だと思うが、なんとなく観ていたシーンもカメラワークの意味を考えながら観てみると楽しいと思う。

タランティーノ監督の作品やポン・ジュノ監督の作品、キューブリック監督など、カメラワークで作風を築き上げる監督も多いので、自分の好きな映画を「カメラワーク」に注目してみると、自分の好きなカメラワークも見つけられるかもしれませんね。



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