[ネタバレ]Black Mirror S3E4 San Junipero Ver2

以下の感想にはネタバレが含まれるので、観た事がない人はここから先は読まずに観た方が良いと思われる。

SFは科学技術をどう解釈すべきかを一般人に教えてくれるものだ、と言うのが「21 Lesson」と言う本に書いてあった、そういった視点でこのエピソードの感想を書いてみようと思う。

このエピソードにはSan Juniperoと言う仮想世界が出てくる。初めSan Juniperoは利用者の脳に直接刺激を送ることにより、現実にそこにいる様な感覚を味わうことのできる超高性能なVRの様に見える。

これは非常に楽しそうだな、そういった未来が来ると本当の意味で世界は多面性を持てるんじゃないかな、とか思いながら見ていた。

ただ、物語の途中で登場人物の一人が現実世界を捨て、San Juniperoに人格を移植するという話が出てくる、そこでSan Juniperoは人格をエミュレーションする機能も持っている事がわかる。

よくあるテレポーテーションの設定で、転送元で対象者の脳波や細かなニューロンの繋がりまで完璧にスキャンして対象者は消滅させられ、転送先で完璧に3Dプリントされて対象者が再誕しているというものがあるが、その場合、転送後の対象者と、転送前の対象者は同一人物なのだろうか?

San Juniperoへの人格の移植もそれと同様に、人の思考をエミュレーションするサーバーに、記憶や思想をアップロードしてそれが自分を同じ様に思考する場合、それは本当に自分と言えるのだろうか?

まぁ、それは自分をどう捉えているかで回答が変わることなんだと思うんだけど、私はSan Juniperoに永住した登場人物達の笑顔や、美しい海なんかに人工的な何かを感じざるを得なかった。

San Juniperoは今の科学の先にある哲学を考えさせられる非常に良い作品だと感じた(小並感)。

追伸:こういった、自分とは何のなのか、人間とはどの様に定義されるものなのかを詳しく考えてみたい人は、『「死」とは何か』という本を読んでみると良いかもしれない、死とは何かを考える前段として、自分とは何かについて考えている章がありとても興味深い。

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