[ネタバレ]Black Mirror S3E4 San Junipero

ポッドキャストRebuild.fmで、ホストの宮川氏がとりあえずBlack Mirrorならこれを観てみると良いと紹介していたエピソード。以下の感想にはネタバレが含まれるので、観た事がない人はここから先は読まずに観た方が良いと思われる。

SFは科学技術をどう解釈すべきかを一般人に教えてくれるものだ、と言うのが「21 Lesson」と言う本に書いてあった、このエピソードではSan Juniperoと言う仮想世界の扱いがメインのテーマとなる。初めSan Juniperoは利用者の脳に直接刺激を送ることにより、現実にそこにいる様な感覚を味わう超高性能なVRとして出てくる。

これは非常に楽しそうだな、そういった未来が来ると本当の意味で世界は多面性を持てるんじゃないかな、とか思いながら見ていた。

ただ、物語の途中からSan Juniperoはただの超高性能VRだけではなく、人格をエミュレーションする機能も持っている事がわかる。登場人物の一人は現実世界で死にSan Juniperoに人格を移植(永住)すると言うのだ。エピソードでは現実とSan Juniperoへの移行で、人格が連続性を保っているのか、保っていないのかについては描かれていないが、私としては連続性は保たれていないのではないかと考えている。まぁ、上手い事仕組みが想像できないというのもあるが、生きている人の脳とサーバーを繋ぐのと、仮想世界に意識をアップロードするというのでは次元が違うと思ってるだけなんだけど。

よくある話で、テレポーテーションは転送元で対象者の脳波や細かなニューロンの繋がりまでスキャンして肉体は廃棄しており、転送先でそれを完璧に3Dプリントしている。その場合、転送先で生まれた(生命を生み出せるのかと言うのは別問題として)対象者と転送元で廃棄された対象者は同一か?と言う問題があると思うんだけど。San Juniperoへのアップロードもそれと一緒で、人の思考をエミュレーションするサーバーに、記憶や思想をアップロードしてそれが自分を同じ様に思考する場合それは自分と言えるのだろうかという問題を提示している様に感じた。

こういった、自分とは何かってのを詳しく考えてみたい人は、『「死」とは何か』という本を読んでみると良いかもしれない、死とは何かを考える前段として、自分とは何かについて考えている章がありとても興味深い。

突然まとめるが

San Juniperoは場面が美しいのもさることながら、仮想現実の技術が進んだ先の現実や、自分とは何かについて思いを馳せる事ができる傑作だ。

75min

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