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小川哲著『君が手にするはずだった黄金について』を読んでの感想

表題作の『君が手にするはずだった黄金について』がかなり刺さりました。私にはなんやかんやあって神を自称するに至った同級生がいるのですが、そのなんやかんやにはこの話に出てきた片桐のように、自分の価値を外からの認識に頼り過ぎたというか、外に意識が向き過ぎていたことが関係してるんじゃないかと思ったりしています。

彼は、薬効の怪しい歯磨き粉を同級生に売りつけようとしたり、イカしたホテルライフ()をインスタに投稿したり、神を名乗ったりしていて、控えめにいって誤認で飯を食っているわけですが、その同級生を強く否定できない自分もいます。これは私がそうならなかったのは、偶然によるところが多い気がしているからです。

偶然、私が喜びを覚える箇所がそうではなかったから、私はそんなに人から崇め奉られたいとも思わないし、どちらかと言うと人とかかわりあいにはなりたくないと思う人間になったけど、喜びを覚える箇所がその同級生と一緒だったとしたら、自分がそういう行動をとっていた可能性はあるじゃないかと思うんですよね。

そういう意味で彼を強く否定はできないなぁと思ったりします。まぁ、肯定は一切できないですが。


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