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大英博物館で盗難。館長が辞任。

イギリス・ロンドンの大英博物館は、保管していた複数の収蔵品を職員が盗むなどしていた問題が発覚し、館長が辞任しました。

[NHK NEWS WEB 2023年8月26日 7時01分]

昭和から平成のはじめ、3か月間ほど地震探査の研修でイギリスのベッドフォードに滞在していた時、休日にはロンドンに遊びに行き、よく大英博物館を見学していました。

教科書で見たことがあるような大変貴重な展示品もあり、感動しながら見て歩きました。有名なロゼッタ・ストーンなどワクワクしながら見たものです。

そんな歴史的価値の高い収蔵品が多い大英博物館ですが、その数年後、イギリス旅行中に大英博物館で購入した収蔵品の写真付き解説本を、当時私が赴任していたアラブ首長国連邦のアブダビに持ち込もうとしたところ、たまたま空港の税関に止められて、鞄を開けられた時にその本が係官の目に留まり、次のようなことを言われたのです。

「大英博物館に行ったのか。大英博物館の収蔵品の多くは他の国からイギリスが勝手に持ち去ったものだ。この中東からもたくさんの貴重品が持ち出され大英博物館に飾られている。」

これにはどう答えてよいか困った覚えがあります。これに関しては、私がイギリス研修中にもホームステイ先のおばさんと話したことがあります。

私が「大英博物館にはよその国で発見された貴重な展示物が多いけど、いったいどうやって持ち出したのでしょう?すべてがその国の同意を得て持ち出されたものではありませんよね?」とおばさんに問いかけると、「文化的価値のわかっているイギリスが持ち出して大英博物館で大切に保管してきたからこそ、今もきれいに保存されているんだよ」とおばさんは自信と誇りに満ちた様子で話していたのを覚えています。

イギリス人が純粋に文化財を保護するために持ち出したとも思えませんが、大英博物館で大切に保管されてきたことも確かかも知れません。しかし、今回の盗難はそのようなイギリスの誇りをも失わせかねない重大な事件だと思います。

日本では国立科学博物館がコレクションを収集・保管する資金が危機的な状況にあるとして、クラウドファンディングを開始したというニュースがありました。

[NHK NEWS WEB 2023年8月7日 17時06分]

文化財や標本を収集し、それを整理し、大切に保管し、研究に資するようにすることは私たちの文化や科学のレベルを維持し、発展させていくうえでとても大切なことだと思います。ぜひ戦争や災害や盗難などで貴重な文化財や資料が失われることが無いよう、大切に守っていってほしいと思います。

そして歴史的・文化的遺産はいつか、それが生まれた場所でその国の人々によって安全に大切に保管され、展示されるようになることを願っています。

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