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海なし県民の海へのあこがれ

私は埼玉県出身。海なし県の出身です。

高校を卒業するまで埼玉県で育って、海を身近に感じたことがありませんでした。ですから海の水を触るのは憧れでした。

私の初めての海の記憶は茨城県の大洗海岸です。父のかかわっていた会社の社員旅行に家族で混ぜてもらったと記憶しています。幼稚園に入るか入らないかの頃のことだと思います。

その時の記憶は、母が一人で浮き輪を手に遠くの方まで泳ぎに行ってしまい、父と兄と一緒に海岸で遊びながら待っている時に母がちゃんと戻ってくるかすごく不安だったこと、遊覧ボートに乗せてもらったのになぜか出発しないで降ろされたこと、海の近くの旅館で夜ずっと波の音が聞こえていたことを覚えています。

はじめて海の水のしょっぱさを味わったのもこの時です。なんだか楽しいような不安なような、そんな初めての海でした。

同じく私がまだ小さかった頃、父親が検査のために神奈川の海の近くの病院に入院した時、お見舞いのついでに病院の近くの砂浜に連れて行ってもらったときのこともよく覚えています。寄せては返す波に足元の砂がさらわれていく不思議な感覚に、いつまでも飽きずに戯れていました。

その後海の水に触れたのはいつのことでしょうか?おそらく高校生の地学部の夏の合宿で、房総半島と三浦半島に行ったときに海の近くに宿をとって、夕方みんなで海岸に遊びに行った気がします。海辺の合宿。海なし県の高校生の考えそうなことです。

私が受験した大学は海の近くの大学でした。たまたま同じ大学を受験した高校の同級生と試験の後誘い合わせてわざわざ海岸まで歩いて見にいきました。3月上旬の海岸はまだまだ日本海からの冷たい風と大波が打ちつけていて、とても荒々しいものでした。それでも海を見に行ってしまう海なし県の高校生の性。

大学時代はだいぶ海になじみました。いつも3~4階の教室からは海が見えていました。夏には海辺でコンパを何度もしました。やがて海が身近にあることが普通に感じられるようになりました。

社会人になって石油開発会社に入社して、海外赴任して、現場は海の上、そして生活も目の前に海が広がる海岸のすぐ近くのアパート。私はいつしか海なし県民の心を忘れ去ってしまったのかもしれません。

いや、それでも海外旅行の目的地が圧倒的に海辺が多いのは海なし県民性の名残でしょうか?

いや、そもそも世界地図で日本を見たら、日本なんて海に囲まれたほんの小さな島国です。大陸出身者から見たら、どこに住んでいたってほぼ日帰りで海に行ける日本なんて、日本中が海辺みたいなものだと思うかもしれませんね。

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