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赴任先南国会社での会議事情

かつて、南国の会社では会議や打ち合わせの後に、「言った」「言わない」論争がかなり頻繁に起きていました。その多くは会議や打ち合わせの記録をきっちりと残していなかったことが原因です。英語でまくしたてるようにしゃべって自分だけ満足感を得て去っていくような出席者も多かったように思います。

技術会議とはいえ何かを決める会議や打ち合わせでは、だれが出席していたのか、だれがどういう立場でどんな発言をしたのか、最終的な決定事項はなにか、どうしてこの決定に至ったのか、決まったことを実行するのはだれなのか、これらのことを記録するのは当たり前のことのように感じますが、あまりちゃんとできていませんでした。

あまりに「言った」「言わない」論争が起こることへの反省からか、最近は、会議や打ち合わせの後では必ず Minutes of Meeting (MoM: 議事録) または、 Conclusion & Recommendation (C&R: 会議の結論と提言) を発行するようになりました。会議主催者は出席者にMoMやC&Rのドラフトを配布し、内容を確認してもらったうえで、最終合意版を改めて配布するという、一見面倒な一連の手続きを踏むようになりました。

実はMoMやC&Rをうまくとりまとめる技術というものがあると私は考えています。MoMといえども発言者の発言を一字一句正確に記録するわけではありません。発言者の意図をくみ取って、簡潔にまとめる場合が多いのです。したがって、MoMやC&Rをうまくまとめることは、会議の進行とともに、あるいはそれ以上に重要だと感じることがよくあります。

私も会議や打ち合わせのアレンジをすることがありますが、実はMoMやC&Rのドラフトを自らまとめることは嫌いではありません。会議の流れをある程度意図的に自分なりにわかりやすくまとめることができるからです。

特に勝手気ままに発言する出席者がいる場合には、その人の発言を、私の理解した範囲で、他の出席者にも理解しやすい言葉で、会議の決定事項をうまくサポートしたように簡潔にまとめます。決定事項への反対意見の場合でも、最終的に会議内で決定した事項があれば、その人が抱いた危惧をMoMやC&Rに明確にレジスターしたうえで、最終的にはその人も決定に同意した旨、明確に記載し、決定事項に当事者意識をもって取り組んでもらえるように配慮します。発言が会議での決定に重要な役割を果たしたこと、あるいは重要な注意喚起を含んでいたということを示し、発言者がMoMやC&Rを読んで、自分の発言記録に満足感が得られるように注意を払います。

最終的にはドラフト段階で出席者全員に配布して確認をとってから最終化するので、発言者は自分の意図したとおりの記載になっていない場合には修正を入れることができますが、私のほうでうまく発言や結論をまとめることができれば、大きな修正もなく、発言者からも感謝され、発言者は決定事項に当事者意識を持つことができ、MoMやC&Rが後々まで有効に作用することになります。

自分がアレンジする場合でなくても、何かを決める会議や打ち合わせに出席するときは、発言がMoMやC&Rとして記録に残ることを念頭に置いて出席することが重要だと考えています。

自分でその会議の落としどころをどこに置くか目標を立てて臨みます。決定してほしいこと、たとえ決定に至らないとしても、どこまでは妥協できるのか、どこからは持ち帰って検討とするのか、MoMやC&Rに残したいことは何なのかなど、事前になるべく落としどころを考えて会議に臨むようにしています。そして適切・効果的なタイミングで発言できるように会議の流れを把握しながら臨戦態勢で臨むようにしています。

それでも南国の会議は、予想に反した展開を見せることがよくあります。頭をフル回転させて会議に出席していると、会議が終わるころにはへとへとになることも多いです。主催者としても出席者としても、自分の意図したとおりに会議が進んだ時や自分の発言が尊重されたと感じたときにはほっとします。会議は真剣勝負です。

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