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ちょっとわがままな勤続10周年記念品 (IBM ChipCard VW-200)

はるか昔の話ですが、大学を卒業して入社した石油会社で勤続10年を迎えたとき、総務の方から、「記念品を差し上げますが、これとこれのどちらが良いですか?」と多分置時計とか温度計とかそんな感じのものの中から記念品を選ぶように言われました。

記念品を選ばせていただけるだけでうれしいのですが、失礼ながら選択肢の中にはあまり欲しいものが無かったので、試しに「同じくらいの金額で、自分で選んできてはいけませんか?」と聞いたところ、寛大な総務は「ご自分で記念品を購入されて、領収書を出していただくのでもかまいませんよ」と言ってくれました。

私はそのころ、妻に相談したら「無駄使い」と言われてしまいそうな、でもなんとなく技術屋魂をくすぐられるような電化製品にこっそり目を付けていました。そこで、この機会にとばかりに自分で秋葉原に行ってその製品を購入してきて、わざわざ一度総務に渡して、勤続表彰の時にあらためて記念品として手渡していただくことにしました。

その製品が、日本アイ・ビー・エム株式会社 (日本IBM) が開発したPCカード型簡易PDA、ChipCard (チップカード) VW-200という製品です。

かなりマニアックな製品だったと思うのですが、1996年に商品デザイン部門でグッドデザイン賞を受賞しています。

どんな特徴があるかは下記ウィキペディア「ChipCard VW-200」を参照していただくとして、とにかく本体が真っ黒で金属質のずっしりとした触り心地がたまらなく、手の中でずっといじっていたい気持ちにさせてくれました。

液晶ディスプレイは漢字表示も可能で、新聞のオンライン記事をダウンロードしてPCからこの端末に移して通勤電車の中で読むのが当時のマイブームでした。

今や携帯でネットニュースを読んだりするのは当たり前のことですが、当時この大きさの端末でニュースが読めるのがちょっと最先端な雰囲気でうれしかったです。そのほか、ユーザーが開発したプログラムも動かすことができて、フリーソフトなども開発されていました。

ただ、電源に採用されていた空気亜鉛電池PR2330が使用の有無にかかわらず1~2か月ほどで放電してしまうこと、内臓データが結構な頻度で消去されてしまうことがあったのが欠点でした。

そして海外赴任となり、何年か経つと、PCカードもいつのまにか一般的ではなくなり、電池もなかなか手に入りにくくなり、電源を入れることは無くなってしまいました。たまに大掃除などの時に机の引き出しの奥底から発掘され、手にとっては懐かしんでいます。

それにしても、記念品を渡してくださった社長も役員の方々も、私に手渡したものが何なのかわからず、勤続表彰の後の会食の時に、記念品を渡してくださった方々に私が自分で説明する羽目になり、ちょっと困りました。

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