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私たちは勇気ある撤退が苦手なのか?

日本人は一般に「勇気ある撤退」(一度決めたことを覆してあきらめること) は苦手なのでしょうか?

変わりゆく情勢を冷静に分析して、それでも当初の見込みから大きく外れるようであれば、勇気をもって撤退することも必要なことはわかってはいるのですが、なかなか難しく感じることも確かです。

客観的に見て日本人が一般に「勇気ある撤退」が苦手であるかどうかは分かりませんが、個人的には私も含めてその可能性はあると思っています。

それは、日本人の気質や社会には、勇気ある撤退を阻害する要因となりうるものが多いと感じるからです。その要因とはたとえば以下のようなものです。

  • 協調性を重んじる文化

  • 社会的圧力・同調圧力

  • 一度決めたことを覆す恥ずかしさやプライド

  • 失敗を認めたくない心理

  • 責任回避

これらは冷静な判断を失わせる可能性があります。少なくとも私は、できれば上記のようなことに逆らってまで撤退を決意したくないという気持ちは分からなくもありません。むしろよくわかります。

しかし、社会的なインパクトが大きいことほど、より冷静に分析・判断しなければいけないということも良くわかります。だからこそ「勇気ある撤退」なのだと思います。

私が以前働いていた石油会社でも、石油開発プロジェクトではいくつものポイントで、前進か撤退かを迫られました。

必要なことは以下のような評価や検討を行い、真剣に議論することだと思います。

  • 情報の収集と評価

  • 目標と価値の再評価

  • 代替案、撤退を含め、すべてのオプションの利益とリスクを評価

  • 短期・中期・長期的な影響評価

  • ステークホルダーの意見を考慮

  • 専門家の客観的意見聴取

  • 透明性のある説明

どこかに明確な判断基準を引くことも決断をうながす重要なポイントかもしれません。

私が気になっているのは大阪万博の会場建設費が当初の約1.9倍の2350億円にふくれあがっていることです。費用に対する効果は無限に大きいわけではないはずです。なぜ増額を受け入れられると考えるのか分析結果を含めてしっかりとした説明が必要なのではないでしょうか?


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