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「タイムラプス」でデータ取得

最近「タイムラプス」という言葉をよく耳にします。

撮影の手法として、「インターバル撮影」や「微速度撮影」などと呼ばれるように、数秒あるいは数分に1回シャッターを切って、それを動画のようにつないで遅い動きや変化を可視化する方法があります。例えば星の動き、雲の動き、蝶の羽化、花の開花などの様子を撮影したりします。パラパラ漫画を見ているような感じですね。最近はスマホなどでもこのような撮影機能をもった機種が出ていますが、「タイムラプス撮影」などとも呼ばれています。

これをもっと極端にして数時間に1回、数日に1回、あるいは数年に1回同じ構図で撮影したものをつなぐことによって、建設工事の進捗、活火山の噴火活動に伴う山頂の変化、市街地の発展など記録する場合もあります。YouTube などでも「タイムラプス」で検索すればたくさんの素晴らしい動画がアップされています。

地質学の分野では、第二次世界大戦末期の1943年12月から1945年9月までの約2年間、北海道の昭和新山の活動や溶岩ドームの発達を、地元の郵便局長であった三松正夫さんが独自の方法で、手描きで記録した「ミマツダイヤグラム」が有名です。「タイムラプス」のさきがけと言えるのではないでしょうか。

石油開発でも「タイムラプス」データ取得が行われています。生産や圧入に伴う油層の時間による変化をモニターする目的で行われることが多く、「繰り返しデータ取得」などとも呼ばれています。

良く行われるのは、生産井と水圧入井の間に配置されたモニタリング用の坑井を利用して、圧入された水がどのように生産井に向かって移動していくか、また、油がどのように水に置換されていくか、タイムラプスで観測します。

この目的で使用されるツールとしてはサーマル・ディケイ・タイム検層 (Thermal Decay Time Logging) というものがあります。ケーシングと呼ばれる鉄管の内側から坑壁地層を調査できる放射能検層の一つで、地層中における熱中性子の減衰に必要な時間を記録するものです。地層中では塩素が最も強く熱中性子を吸収します。したがって主に地層水中に存在する塩素量に反応するので、水飽和率の推定に役立ちます。繰り返し記録をとることによって、その場所での水飽和率の変化、つまり圧入水の動きや、油が水に置き換わる様子が推定できます。

また、繰り返し地震探査 (4D or Time-lapse 3D Seismic Survey) という技術も使われています。これは3次元地震探査を、時間をおいて繰り返し行うものです。

生産あるいは圧入に伴い、地下の圧力、温度、地下流体の比重などが変化していきます。これに伴い、地震波 (弾性波) 速度などが変化すると考えられます。これらの変化を繰り返し行う3次元地震探査で抽出し、圧入流体の分布や、生産に寄与しているエリアの推定などを行おうというものです。

地震探査は坑井データに比べると垂直分解能が低いですが、一方で面的な変化をとらえることができます。坑井データと地震探査データを組み合わせてモニターすることが有効だと考えられています。

ただし、炭酸塩岩油層の複雑な孔隙構造と不均質性は、地震探査による油層性状の推定や、時間による変化の解釈を難しくしており、まだまだ本格的な活用には課題もあります。

繰り返し3次元地震探査によるモニタリング技術は、CCS (二酸化炭素回収・貯留、Carbon dioxide Capture and Storage) の分野でも、地下に圧入した二酸化炭素の挙動をモニタリングする技術として注目されています。

話は変わりますが、最近「タイムラプス勉強法」というのが流行っている?らしいですね。自分の勉強する姿、手元などをスマホでタイムラプス撮影し、さらにインスタなどにアップするらしいです。スマホに触れない状況を作り出し、さらに勉強する姿や進捗をインスタにアップすることでモチベーションが得られる効果があるとのこと。図書館で勉強するモチベーションと似ているのでしょうか。面白い方法を考えますね。

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