見出し画像

決断のよりどころ

例えば石油井掘削のオペレーション中には、自分に与えられた役割 (井戸の坑跡をコントロールして石油貯留層から外れることなく掘り進み、その井戸からの目的の石油生産量を達成すること) を、様々な不確実性や不測の事態の中でも成し遂げることが求められます。

非常に高額な石油井戸を掘ったものの、石油が出なければ最悪の事態となってしまいます。そのようなときにいつも考えていたのは、「最悪のシナリオを避ける」ということでした。

自然を相手にすることですから、予想と違っていたり、想定外の現象に遭遇したりすることもあります。莫大な金額をかけて掘る井戸ですから、リカバリーできないような最悪のシナリオを思い浮かべて、そのシナリオを避けるように次々と決断していきます。

概して迷ったときにとるオプションは、イチかバチかではなく、最悪の事態を避ける手堅い選択肢をとることが多かったような気がします。

大きな失敗はしないけれども、想定外の、驚くような成功もしない。大体の場合、それがその時の私の決断がもたらす結果だった気がします。

しかし、投入できる十分な資金があったり、その失敗が決定的なダメージになったりするわけでは無ければ、最悪のシナリオを避ける選択肢ではなく、もっと一発狙い、大物狙いの、博打のような決断もありなのかもしれません。

私たちは、特に失敗の影響を想像し、どこまでが許容できるものなのか、自分の心の中にラインを決めてオペレーションに臨むことが、現場があたふたしている時にでも判断を誤らない、あるいはタイムリーに判断できるコツなのかもしれません。

事前にリスクを洗い出し、シナリオを想像できる力はとても大切だと感じます。そしてそれは、技術、知識、経験あってこそのものなのだと思います。

さまざまなシナリオを想定できることはとても重要な能力だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?