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近所の男の子の思い出

2才半ごろ熊本から埼玉の鶴ヶ島町 (現在の鶴ヶ島市) に引っ越してきました。熊本の記憶はほとんどないので、私の人生の記憶はほぼ鶴ヶ島から始まります。

幼稚園に通い始める前に、どうやら近所に同じくらいの年の男の子の友達が出来たようです。近所と言ってもたぶんお互いの家まで300mくらいの距離があったのではないかと思います。

それでも当時は幼稚園に入る前の子供でも、そのぐらいの距離を一人で行き来して遊んでいました。

その子とはなんだか不思議なことに、子供らしからぬ関係というか、お互いに褒めあったり、励ましあったりすることが多い仲でした。紙飛行機の飛ばしっこをしても、お互いの飛行機がよく飛ぶことを褒めあったり、うまく飛ばなければ励ましあったり。そしていろいろ教えてもらったりと、兄とはしょっちゅうけんかしていたせいか、一緒に遊んでいる時がすごく居心地の良い時間でした。

幼稚園に入り、その子とは違うクラスとなり、同じクラスの子たちと遊ぶ時間も増えました。そこでは「君より僕のほうが良くできる!」という自己主張にあふれていて、かなり衝撃的でした。

だから家に帰るとやっぱり近所の男の子と遊んでいました。しかし入園してから1年たつ頃、ショックなことが起こりました。

ずっと一緒に遊んでいた男の子が私より一つ年上で、年長さんで、ひとあし先に小学校に入学するということが分かったのです。いや、親もその子も知っていたのでしょう。私だけが多分知らなかったのです。ああ、あの子は年上だったんだとその時初めて気がついて、あの怒らず、自己主張もあまりせず、私を励ましながら遊んでくれたのは、自分が年上だと知っていたからだったのかと、なんだか妙に納得したのを覚えています。

その後は同学年の友達にもまれ、鍛えられ、自己主張もしなきゃならないことをずいぶん学びました。そしてその子とは、気恥ずかしくもあり、同じ小学校に通い始めてもそれ以来ほとんど話すこともありませんでした。

なんとなくほろ苦い思い出です。


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