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ギドン・クレーメルさん、家で流行る

母が突然、「ギドン・クレーメルが演奏するチャイコフスキーのバイオリン協奏曲、すごいよー」と言い始めました。

私が子供の頃、1970年代半ばの話です。

どうやら1970年にギドン・クレーメルさんがチャイコフスキー国際コンクールで優勝した後、ラジオかテレビで彼の演奏するチャイコフスキーのバイオリン協奏曲が流れて、さらに、解説者の絶賛を聞いて、母は深く感動したらしいのです。

私たち家族に、彼の演奏がいかに素晴らしかったかとくとくと語り、ついに彼のレコードを手に入れてきました。

そもそも、それまでうちでは、ソノシートで子供たちがかってにクラシック音楽の好きな部分だけを繰り返し聴くか、「こどものクラシック」というレコード集で、クラシックのダイジェストみたいなものを聴くぐらいだったので、あまりじっくりとクラシック音楽を聴く機会もなかったし、母の絶賛ぶりにはちょっとびっくりしました。

結局、母はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲に魅せられたのか、ギドン・クレーメルさんの演奏に魅せられたのかさだかではありませんが、レコードを何度も聞かされるうちに、私もすっかりはまりました。そしてその後、うちでクラシック音楽のレコードを買ってくるのはもっぱら私となりました。

そして私はギドン・クレーメルさん演奏のベートーベンのバイオリン協奏曲のレコードも手に入れ、家ではしばらくギドン・クレーメルさんブームが続いたのです。

私が中学生の頃には、うちにはクラシック音楽のレコードがだいぶ増えました。母の気まぐれ?のおかげで、クラシックのすばらしさがちょっとわかりました。


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