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NPT (核不拡散条約) の限界と核兵器廃絶への希望

NPT (核不拡散条約) 再検討会議が、最終文章案を採択できずに閉幕しました。

NPT 第6条では 「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」と規定しています。

全会一致が原則の再検討会議最終文章案の採択はロシア一国の反対で採択できませんでした。最終文章案を採択できなかったのは前回の2015年に続いて2回連続となりました。第6条の規定があるにもかかわらず、核保有国が核抑止に固執する限り、核軍縮は遅々として進まないことの表れだと思います。

私たちは大きく情勢が変わることをじっと待つしかないのでしょうか?日本政府は最終文章案の合意に向けてどのような努力をし、どのような役割を担ったのでしょうか?岸田首相は日本の首相として初めて NPT 再検討会議に出席し、NPT 体制の維持・強化に向けて各国に建設的な対応を呼びかけたと言いますが、NPT のこの現状を打破するために今後どうするつもりなのでしょうか?

NPT のこの状況の一方で、6月に第一回の締約国会議が開催された核兵器禁止条約という流れがあります。核保有国が NPT 第6条履行に積極的でない中で、核兵器禁止条約締約国は核兵器禁止条約が NPT 第6条を補完するものであるという姿勢を明確に打ち出しています。私は核兵器禁止条約の流れに希望を持っています。核保有国の国民も核の傘に頼る国の国民も、核兵器禁止条約に連帯することは不可能ではないと思っています。

改めて日本には唯一の被爆国として、ただ情勢の変化を待つのではなく、核兵器廃絶に向けて、NPT 第6条を補完する核兵器禁止条約を積極的に支持して、核兵器廃絶の先頭に立ってほしいと思います。それは NPT にも反する立場ではないはずです。政府与党には、外交・政治力をこのようなところでぜひ発揮してほしいと思います。核抑止に頼る立場は外交に失敗した後に残された最悪の選択肢だと考えてほしいと思います。

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