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Z世代が聴く名盤 #26 Deep Purple「Machine Head」

ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。

そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。

筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。


作品情報

ディープ・パープル、6枚目のオリジナルアルバム。彼らの代表作の一つとして数えられている。

前置き

ディープ・パープルは小学生だったか中学生だったかの頃に見たこの動画をきっかけに知った。

このメドレーに出てきた「Highway Star」とそこに添付された説明文から、このバンドがハードロックの礎を築いていったことはとりあえず知識として頭の片隅に残ったが、だからどうといったこともなく特に興味を示す訳でもなく数年の月日が流れていった。

高校生になった頃、CDをパソコンに取り込んでその音源を更にスマホに転送する技術を手に入れ、そのあまりの楽しさに家じゅうのCDを取り込むのだけでは飽き足らず近くの図書館で貸し出しているCDをも取り込むようになり、その過程で今作も自分のスマホに取り込まれた。が、ただ取り込んだだけできちんと聴かれることはなく現在までやってきた。

今回は数年越しにちゃんと今作を聴いてみることにする。昔は洋楽初心者に対してとりあえずこれ聴いとけ!と今作が提示されてた時代もあったらしいので、そこまで難解な内容ではないだろうという楽観的な見立てをつけつつ感想を書いていく。

感想

まず思ったのがこれは家でじっくり聴くようなタイプの名盤ではないということ。確かに作風は難解ではなく、プログレっぽい展開があったりちょっとジャズ風だったり曲によって差はあれど基本的には自分が慣れ親しんでいるロックの体裁をとっているが、全体的に何となく物足りない。自分がいつも聴いているロックを濃厚な豚骨ラーメンとするなら、今作はパンチは効いているけど豚骨ほど濃くはない醤油ラーメンみたいなイメージだ。

今まで聴いてきた好印象な名盤は「なんだこれは!」と度肝を抜かれる部分があって、そこに耳を傾けることでじっとしながら聴けていたのだが今作にそういう部分は正直ないし、逆に良さがあんまり分からない名盤でも何とか良さを見出そうとして何回も繰り返し聴くので結果的に鑑賞に集中する形となるのだが、今作はなまじ馴染みがある作風なだけにそういう聴き方も何か違う感じがして、どうにも最後まで集中が続かない

平均5分超えの曲が並ぶ構成も自分には合わなかった。曲ごとにある程度のメリハリはあるものの、全部ハードロックの範疇を出ない曲ばっかりなので途中でダレてきて、7曲38分という数字以上に長く感じてしまう。有名な2曲以外の残り5曲のうちにバラードとかちょっと趣向を変えた曲が1個あったり「Highway Star」「Smoke on the Water」レベルの強い楽曲がもう1曲入っているだけでも、印象はだいぶ変わってくると思うのだが…

とにかく今作は家に一人で神妙に聴く感じの作品ではなく、例えばドライブ中にかけたり皆でコピーしたりなどの+αがあって初めて楽しめる類の作品だと思う。「Highway Star」の間奏のギターソロなんかは一人寂しく聴いているだけだと「クソ長い」以外の感想が出てこないところだが、この箇所をバンドでコピーするとなったら最高に楽しいだろうし、文字通りハイウェイを走る際には持って来いのBGMだと思うし、そういう何かしらの「用途」があって初めて輝く作品だと感じた。

一番好きな曲:Smoke on the Water
一番「…」な曲:特にないけど強いて挙げるならPictures Of Home

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