Z世代が聴く名盤 #6 Oasis「オアシス(Definitely Maybe)」
ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。
そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。
筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。
作品情報
オアシス、初のオリジナル・アルバム。ドラム担当のトニー・マッキャロルが発売の翌年クビになったので彼の最終参加アルバムでもある。
前置き
オアシスといえば次回作「(What's The Story) Morning Glory」の方が有名であり、個人的にもそれしか聴いたことがなかったんだけど、今作から3枚目の「Be Here Now」は3部作として纏められるほど重要な作品群で、界隈やメンバーからの評価も今作の方が高いらしく、せっかくなのでそっちを聴きますかと思い今回この選択をした。
とはいえオアシスには特段の思い入れというのはなく、一応「Whatever」「Don't Look Back in Anger」みたいな代表曲は知ってはいるけど、そこまで詳しくもない。いつもなら4~5ブロックかけて書くこの箇所も既にネタ切れになってきたくらいには書くことがない。
今作と次のシングル2作をもって切られたトニー・マッキャロルはドラムの腕前に難があり、単調なリズムパターンしか叩けなかった(から解雇された)という逸話はどこかで聞いたことがあったので、今回はドラムのクオリティにも耳を傾けてみようかなぁと思う。
感想
結論としては、普通に次回作の方が好き。これぞオアシス!的なメロディーのセンスはこの時点で既に完成されていたことは聴けばすぐに分かるけど、インパクトでこの後を超えたり匹敵するような曲は見受けられなかったし、今作の中でも代表格とされる「Live Forever」「Supersonic」にしてもやはり「Whatever」「Don't Look Back in Anger」に比べるとどうしても印象が一段落ちる感じは否めず、次作への前哨戦みたいなイメージが強く残った。
次回作「(What's The Story) Morning Glory」はJ-POP界隈にもかなり強い影響を与えたようで、フレーズが引用されるなどしていつの間にか聞いていた曲があったり、影響を与えただけあってそもそもの感触が90年代邦楽に近かったりして後追いでも馴染みやすいアルバムだったのも今作の印象の微妙さに拍車をかけている。今作が特別地味だとかとっつきにくいとかそういう訳ではなく、次回作があまりにも偉大すぎた。ただそれだけのことなのである。
これまで扱ってきた洋楽の名盤は全部そうだったんだけど、どちらかというとトータルで聴かせに来ている感じで、曲単体でピンとくる事は滅多になかった。今作も御多分に漏れず、前述のようにどれもポップなんだけど次回作のプロトタイプ的な印象は否めず、ピックアップして言及するほどの曲はないかなぁと思っていた…が、最後の「Married with Children」は次作にはない作風のギター1本のシンプルな弾き語りナンバーで、今作にしかない要素を最後の最後に感じ取れたという面で一際琴線に触れた。
この後まもなく解雇されるトニー・マッキャロルのドラムにも着目してみると、まぁ確かに曲の邪魔をするほど下手ではないけど、言われてみればドラムだけ聴いてても特に面白い発見はなく、リズムをキープするのでいっぱいいっぱいな感じはする。後任のドラマー達がこの時期の曲を叩いている音源があったら聴き比べできて面白いかもしれない。
なんにせよ、今作が好きになれるなら次回作はもっと好きになれると思うけど、次回作が好きだからといって、今作も好きになれるかといったらちょっと怪しいところがある。もしリアルタイムで今作を手に取っていてもハマることはなかっただろうな…
一番好きな曲:Married With Children
一番「…」な曲:Columbia
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