突然ベトナム語を始めることになった方へ
こんにちは。先日(カンボジアから日本に帰国した)友人から、「仕事で初級のベトナム語が必要になったが何から始めたらいいのか」と相談がありました。私は今はカンボジアに住んでいますが、2013年から2018年までの5年2ヶ月をベトナムのホーチミンで過ごしました。
もしかして、日本にベトナム人が増えたことから、日本在住の日本人でもベトナム語が急に必要になることがあるのかもしれません。
今までのベトナム語学習(約4年)を思い出してみて、気づいたこと、こうすれば良かったと思うことをこのタイミングで書き留めておこうと思いました。
ベトナム語自体はかなり忘れた(涙)が、アプローチの仕方が英語と相当違うことは刻み込まれている
2018年からカンボジアに住んでいるので、クメール語を習い始めた結果、ベトナム語は似ているクメール語でどんどん上書きされてしまい、日常語はクメール語優位になってしまいました。
しかし、ベトナム語で鍛えられたメンタルとアプローチ方法はクメール語習得にに大いに生かすことができています。今では先生に「発音いいですねー、Nancyさんカンボジア人になれますよ」と言われていますw
結局ベトナム語は「発音が8割」の言語
文法・単語より先に個々の発音
日本人のベトナム語Youtuberのトマトさんのこの投稿(有料)が発音について素晴らしくまとまっています。有料なので詳しい内容は控えますが、この投稿で力説しているのは、ベトナム語での発音に対する意識です。
日本の学校教育での英語の発音の重要性が2だとすると、ベトナム語は100、のような感じです。文法・単語よりも先に発音です。発音が全て。
ベトナムの小学校1年生は、国語(ベトナム語)でひたすら発音練習
1年生では、各子音→各母音→各声調を習い、個々をひたすら発音し、さらに組み合わせて発音する練習をやっています。
このYoutubeの3:00あたりのような感じです。スクリーンショットはこちら↓
日本で勉強するなら「北部語(ハノイ方言)」一択
恋人や配偶者が南部(ホーチミン)の方などは除きます。日本在住でこれから仕事やボランティアなどで簡単なベトナム語が必要となったら、北部語(首都のハノイの言葉)をお勧めします。
北部語と南部語は発音がかなり違い、北部語はベトナム全国をカバーしますが、南部語を先に習ってしまうと北部の人に通じにくく、応用が効かないからです(ソース:私)
私は南部(ホーチミン)で長く習ったので、個人的には南部語の柔らかい響きが好きですし、聞くと落ち着きます。
東京弁と沖縄弁くらいの違い
よく言われるのはベトナム北部語とベトナム南部語は東京弁と大阪弁のような違いがあるとのことですが、私は東京弁と沖縄弁の違いの方がわかりやすいと思っています。
ベトナム南部語(ホーチミン)は、おそらく温暖な気候によるもので、口が緩み発音で楽をしようとする傾向があります。6声調のうちの2つが同じになり、母音も緩く、子音も硬い音がありません。
ベトナム北部語(ハノイ)がゆるんだものがベトナム南部語(ホーチミン)と思っていますが、南部語は表記と発音が一致するという表音文字の原則が崩れて、初めて習う人にはかえって難しい気がします。
ですので、ベトナム在住の方なら住んでいる地域(中部以南だったら南部語)の言葉を習うのがいいと思います。
どうして日本人がベトナム語を習得するのが難しいのか
残念ながら日本語と発音の相性が悪い
ベトナム語はアルファベットを使っているので簡単に読めそうなものですが、以下のYoutubeを見てもらえると分かる通り、単独でもローマ字と似ても似つかない発音です。(この方は南部かな?)
さらに単語の語尾の子音の音が消えてしまうという特徴があります(クメール語・タイ語にも共通)
例えば英語でfriendと言うときに日本人が言うとfu re n doと最後に勝手に母音を付け足しがちですが、ベトナム人が言うとfren で終わってしまいます。フレンドなの?フレンチなの?ともやもや…
勝手に音を付け足す日本人と、消してしまうベトナム人。音節数も日本人が言うと3、ベトナム人が言えば1です。単語さえ通じないことも少なくありません。
英語での成功体験が生かされない
英語の場合、「外国ドラマが大好きで毎日見ているうちになんとなく話せるようになってきた」というような人がたまにいますが(BTSのリーダー、RMさんですね。尊敬)ベトナム語学習者でそのタイプに出会ったことがありません。
学習初期の段階で口がくたくたになるような母音・子音・声調の練習を積んだ者だけが登れる階段があるようです…英語と同じ勉強方法では難しいということです。
声調を軽視している(ベトナム語が上手な日本人は、中国語経験率が高い)
私は声調言語はベトナム語が初めてでした。
タクシー運転手に自分の住んでいる通りの名前を伝えるのに、メモを見せるのではなく、初めて言葉で伝わったのは在住3ヶ月か4ヶ月経ってからでした(その頃、タクシーが唯一の交通手段だったので、100回くらいは口頭で伝えるのに失敗しているということです)。
初めて伝わった時は、ボイスメモに録音した先生の声の真似をして極端に声調をつけたのを覚えています。
先に中国語を勉強していた人は、中国語が上手かどうかにかかわらず、声調の大事さは叩き込まれていると思います。そして「声調が違うこと=文字が違うこと」として捉えることに抵抗がなかったのだと思います。
友人知人でベトナム語がとても上手な人は、中国語経験者が多いです。
10年前はベトナム語独学は無理と言われたが、良質なYoutubeが増えた今ならできる
Youtubeチャンネル「恋するフォー」のKiKiさんの、「ベトナム語が話せるようになった道のり全て見せます」がなかなか面白かったです。
私もKiKiさんにかなり近い経験をしたので非常によくわかります。日本でもベトナム語を習い、ホーチミンでレッスンも受け、それでも全く通じなくて「ハァ?」と言われる悲しさ。
(のちに人文大学で、「今何と言ったのですか?」のベトナム語での尋ね方は正式に「ハァ?」と言うと聞いて、ある意味ほっとしました)
フォーが通じないとありましたが、私も「フォー(Phở)」が通じたのは、半年経ってから。Phởは短い単語ながら、難しい母音ơ+難しい声調タインホイが入っています。結局ベトナムで一度も通じず日本に帰国した人の話も聞いたことがあります。
KiKiさんは中盤で、克服した方法として
以上3つの方法を挙げていました。私は①と②はやっていましたが、③が甘かったのだと思います。ボールの壁打ちのような、一番地味な練習が結果的には大きな力となるのがベトナム語だったのです。
当時(2015年頃)は日本語でベトナム語の発音を解説するYoutubeもほとんどなかったと思います。
英語と同じ道を辿らず、方向性を間違えなければ、今ではYoutube(と言語交換)だけでオンラインでベトナム語はほぼ独学ができると思っています。在住していなくても大丈夫です。がんばりましょう!
ベトナム在住時のベトナム語学習について書いたブログ記事はこちらです。
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