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効率のいい「可処分精神」の使い方

なんぼー:そういえばさ、最近、りさちゃん世代のアニメが話題になってること多くない?

りさ:そうなんですよ〜〜!!もうなんていうか、お財布狙われてる気がします(笑)

なんぼー:そうだよね。『THE FIRST SLAM DUNK』もそうだし、あと最近『BLEACH』の再アニメ化もあったし、今度、『るろうに剣心』も再アニメ化するらしいしね。

りさ:そもそも、『トップガンマーベリック』も久しぶりの映画化でしたし。K-POPもサンプリングが流行って、過去の音楽を活用してますし。

なんぼー:そうそう。こういう流れってどんどん加速していくと思うんだよね。今ってコンテンツが飽和していて、ものすごい速度で新しいコンテンツが生まれていくじゃん。これって人類の歴史の中でもはじめての特徴的な出来事だと思うんだけど。

りさ:たしかにそうですね。

なんぼー:そういった中で、コンテンツの再利用は、すでにファンのいるコンテンツなら、絶対に失敗しないし、コンテンツは初速が大事だけど絶対にみんなリリースされたらすぐ見るし。

りさ:話題になりますもんね。『THE FIRST SLAM DUNK』もみんな初日に見に行ってました。私も「早く見なきゃ」って焦りましたもん!だけど、私の場合原作をまだ読んでなかったので一生懸命読んで。

なんぼー:そういう新しいファンも生み出せるわけだよね。つまり映画化しただけで、映画だけでなく、過去の漫画も売れる。かなりマーケティングの効率は良いと思うんだよな。

りさ:たしかに!逆に全く新しい作品でヒットを生み出そうとすると何倍も労力いるし、過去作品のほうがマーケティングも苦労しないなら、どんどん過去作品が掘り出されていくだろうなあ。

なんぼー:あと今よく考えている概念に「可処分精神」ていうのがあって。

りさ:「可処分所得」「可処分時間」っていうのは聞いたことありますけど、「可処分精神」ですか?

なんぼー:そうそう。例えば、みんなが知ってそうなエピソードで言えば、スティーブ・ジョブズが毎日服を選ばなくていいように同じ服だけ着てるっていう話があるけど、そういうふうに、心をマイナスに動かすことをできるだけ制限しているように思うんだよね。ジョブズは服を選ぶことに頭を悩ませるのがストレスだったらしいからさ。

今は無限に無料で面白いコンテンツが見られるから、いかにその余暇を過ごすかというのを迫られている気がして。だから、よく「若者はコンテンツをネタバレを見てから消費する」と言われたりするけど、それもどうしてかっていうと、全部見て面白くなかったら、時間というよりは、感情効率が悪いと思うからだと思うんだよね。心のリソースが無駄になるというか。

りさ:なるほど。感情が無駄になるのが嫌って面白いですね。

なんぼー:例えば海外旅行も、コロナ禍になって一時的に感情効率が悪くなっちゃったと思うんだよね。「コロナにかかったらどうしよう」と考えたり、そうでなくても、いろいろな手続きについて調べないといけなかったり。

りさ:それは間違いないですね。国内旅行のほうが気楽だと思っちゃってる自分がいます……。

なんぼー:メルカリの時も思ったんだけど、メルカリって梱包したりコミュニケーションしたり、合理的に考えるとものすごく面倒なことも多くて。だけど、多くの人がやってくれるのは、モノが売れることに対してゲーム感覚というか楽しさがあるからだと思っていて。

りさ:メルカリやり続けている人って、メルカリにハマってる感じありますもんね!

なんぼー:だから「心のデザイン」っていうのがものすごく大事だと思ったよね。どういうジャーニーで使わせるか、とか。どう楽しませるか、とか。

りさ:なるほど。だけど、そもそも可処分精神を奪うにはどうしたらいいんだろう。めちゃくちゃ争奪戦が激しそう……!

なんぼー:ひとつは、可処分精神の価値が上がっているときにアプローチすることだよね。例えば、家事したくないっていうのはつまり家事をしてマイナスなことに余暇を使いたくないってことだろうけど、そういう瞬間にアプローチしたり。

あとは、膨大な情報量を用意して、物理的にずっと見せるっていう手もあったりするんじゃないかと思ってる。K-POPなんてまさにそれが顕著だよね。一つの曲に対して、7つくらいコンテンツがあって、1つハマると全部見たくなる。YoutubeとかTikTokが代表的だけど、最近のSNSプラットフォームって「好きなものをパーソナライズしてレコメンド」するのが当たり前だから、物量があることとも相性が良いし。

りさ:確かに!そうすると、最初のハナシに戻りますが、やっぱり既にファンのいるコンテンツは強いですね。

なんぼー:だよね。いつか3重リバイバルになるんじゃないかと思うね。『うる星やつら』がこの間、再アニメ化されたけど、それがまた後にリバイバルされたり。

りさ:どんどん何重にも再生産されていく……!でも今回SLAM DUNKにハマったファンは次にまた時間を開けてアニメ化したら嬉しいだろうなあ。

なんぼー:そうなると、日本は強いIP持ってるからいいよね。この間も、日本で1977年に制作されていた「超電磁マシーン ボルテスV」がフィリピンで実写化されて。

りさ:すごい!!

なんぼー:こういうのもアリだとすると、無限に面白いもの作れちゃうよね。サブスクリプションで無限に過去の作品の予習もできるし、マーケティングも楽だし、むしろ「新作いる?」ってなってしまう。

りさ:なるほど。とはいえ、予習の量が多くなればなるほど、初見の人間は入りにくくなる気もします。たとえば、私もう『アベンジャーズ』シリーズは予習量が多くてなかなか今更見るハードルが高くて。

なんぼー:「すべてのジャンルはマニアが潰す」パターンだよね。どんどんコアになっていって、ハイコンテクストになると、新しい人が入ってこれなくて盛り上がりが先細ってしまうという。

りさ:過去にそういうハナシをしていた回もありましたね!

なんぼー:そうそう。それでプロレスは初見が見ても楽しい「かっこいい」「派手」なショーを目指して、「プ女子」と呼ばれるような人たちを新たに獲得したし。あとは初音ミクも2007年から活動していてキャリアが長いけど、最近は『プロセカ』というプロジェクトを立ち上げて盛り上がっているんだよね。10代でいちばん人気なゲームは今、プロセカなんじゃないかな。

りさ:そうなんですか!知らなかった。完全に初音ミクちゃんは私達世代のコンテンツだと思ってました。

なんぼー:もちろん、りさちゃん世代が聞いて楽しい曲も現役だよ。たぶん10代と一緒に盛り上がれると思う。それもすごいよね。広い年代の人間が「好きな曲」として初音ミクちゃんの曲を聞ける。プロセカを通じて若い世代が昔の曲を覚えたから、曲の寿命は30年くらい伸びたんじゃないかと思うよ。

りさ:音楽は、今TikTokでも過去の音楽が流行するのが話題になったりしてますよね。

なんぼー:音楽は本当に耐用年数が長くなったよね。

りさ:こうやってどんどんコンテンツの耐用年数を長くするためのノウハウも溜まっていくんだろうなあ。

なんぼー:良い面も悪い面もあるだろうから、今後この流れがどうなっていくか単純に楽しみなんだよね。でも僕はコンテンツ好きだから新しいコンテンツもどんどん見たいんだけどね~

りさ:そうですね!懐かしいコンテンツも、新しいコンテンツも両方、推しコンテンツを思いっきり楽しむために、私はまずお財布の準備をがんばります!!

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