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マーケティングは最終手段

えいと:なんぼーさん、今日はちょっと相談が……。

なんぼー:どうしたの?

えいと:今、インフルエンサーの友だちがつくったTシャツブランドを手伝ってて。ちょくちょく売れてはいるんですけど、もっと多くの人にガンガン売りまくりたいんすよね。なんかいいアイデアありませんか?

なんぼー:おお、まじめな話題だ。

えいと:真面目っす!これで俺も大金持ちになりたいっす!

なんぼー:正直だね(笑)……うーん。そのTシャツの魅力って何なの?

えいと:まあ、デザインしたのがインフルエンサーなので、ちょっと有名な人が作ってるってところですかね!そいつ、8万人もInstagramでフォロワーいるんすよ!

なんぼー:えいとくんが今着てるTシャツってそのブランドのやつ?

えいと:いや俺は着てないっす!ファンじゃないですもん。ファンの人には新作出るたびに注目してほしいなあ。あと、それ以外の人にも広げたいんすけどね。どうしたらいいか……。

なんぼー:うーん。それはマーケティングを魔法だと思い過ぎな気がするな……。

えいと:でも、マーケティングって人を動かすチカラがあるじゃないですか。

なんぼー:いや、マーケティングはあくまで最終手段なんだよね。もちろんマーケティングは素晴らしいスキルや知識だし、人に情報を伝える上でマーケティングは重要だと思うけど、それで “人が操作できる” と信じないほうが良い。

むしろ、まずは商品の魅力を考え尽くすのがいいんじゃないかな?商品の魅力が理解された上でやってみるマーケティング施策の方が絶対良くなるよ。

えいと:商品の魅力を活かしたマーケティングの事例って例えばどんなのがあるんですか?

なんぼー:例えば僕が好きな話でいうと、明太子の海外進出の話かな。明太子って僕たちは小さい頃からよく知っているし、その美味しさを味わっているから何の違和感もないけど、冷静に見ると結構気持ち悪い見た目だよね。だからなかなか流行らなかった。

それをある時「スパイシーキャビア」と名付けた人がいて。そうした瞬間バカ売れしたらしいんだよね。確かにキャビアは世界でもよく知られる高級なものだし、「スパイシー」という言葉にはシズル感もある。

なんぼー:この明太子の事例って、元々のプロダクトの価値は高いから、決してその価値をかさ増しして伝えているわけじゃないよね。むしろ、これまで伝えられていなかった魅力を伝え方を整えたことで顧客を広げてる。

えいと:なるほど。昔漫画で読んだ、お客さんは「情報を食べている」という話を思い出しました。おっしゃるとおり、お客さんを観察して、伝え方を変えて良いプロダクトを届けるってかっこいいマーケティングだ。

なんぼー:プロダクトの価値を見つめて、伝わっていないことを伝えるのが良いマーケティングだよね。

そのTシャツを沢山の人に着てほしいなら、えいとくんはまず、自分がその商品に触れることからはじめるといいと思うよ。そのTシャツを着て生活して、どういうシーンに会うとか、そのTシャツ着るとどんな気分になるのかとか、そういう価値を知ることから始まるよね。

えいと:どんな気分になるのか……確かにもっと知らないといけないですね。

なんぼー:きっと色んな面白い発見があると思うよ。

えいと:あと、実はTシャツ以外の商品もつくらないといけないと思っていて。マーケティングの知識ってプロダクトづくりにどう活かせばいいんだろうって、ずっと思ってるんです。

なんぼー:マーケティングにこだわる必要あるの?

えいと:かっこいいじゃないですか!

なんぼー:えいとくんは、正直なのがいいところだね(笑)そうだなあ、よくある方法の一つは、ユーザーが求めているニーズを観察して、それに沿った新しい軸で闘うっていうのがあるよね。良い例えがあったかな……

えいと:この前クラフトコーラの話をしましたけど、飲み物のプロダクトづくりって楽しそう!

なんぼー:確かにクラフトコーラのように、飲み物は色々発明があるよね。例えば僕の関わっていた仕事のひとつに、鏡月っていう焼酎があるんだけど、どこか「おじさんが飲むもの」ってイメージがあったじゃない。だけどそれを打破するために、フレーバーをつけた「ふんわり鏡月」っていうシリーズを登場させたの。

えいと:味付き焼酎……今若者ではやってるチャミスルみたいなものですね!

なんぼー:そうそう。『ふんわり鏡月』はそのまま飲むだけじゃなくて割って飲むこともできるんだけどね。当時は味付き焼酎は珍しくて、これまで「焼酎は自分向けじゃない」と思う人にとっても、身近な飲みものにもなったんだよ。

えいと:なるほど。たしかに、女性の先輩が飲んでるの見たことあります!だけど、どうしてそこまで普及したんでしょう。他にも沢山飲み物はあるじゃないですか。

なんぼー:元々、「微炭酸」へのニーズがあったんだよね。キツイ炭酸が苦手な人っていてさ。当時微炭酸飲料もすごく流行ってて。

えいと:ああ、確かに僕の周りにも、炭酸苦手な人います。

なんぼー:だけど、度数の低いアルコール飲料って、炭酸が入っているものが多い。でもふんわり鏡月は瓶酒で炭酸は入っていないんだよね。だからゆっくり飲めるし、自分のペースで酔える。味もとっても飲みやすいし。自分好みにラクに飲めるお酒ってのを、微炭酸ニーズから更に深堀して誕生したって側面があるんだよね。

えいと:なるほど。消費者を観察したからこそできるものづくり!

なんぼー:そうだね。

えいと:消費者の課題を見つけるって面白いですね。お酒みたいに生活必需品じゃなくても、課題って実は色々あるんだ……

なんぼー:あとシャンパンの事例もあって。

えいと:僕の彼女がキャバ嬢めちゃくちゃ好きで。よく一緒にYouTube見てます(笑)

なんぼー:トップキャバ嬢のYouTubeって女の子にめちゃくちゃ人気あるよね。そのシャンパンの中にsoumeiってなかった?

えいと:あります!よくInstagramに載ってますね。あれってなんであんなに推されてるんだろ?

なんぼー:あのシャンパンって実は低糖質がウリの一つなんだよ。

えいと:低糖質のシャンパン……それってどこが魅力なんですか……?

なんぼー:シャンパンって、まさにブランドが大事な商品だよね。ドラマでもよく「○○入りましたー!」とか言ってるじゃん。

えいと:「ドンペリコール!」とか一時期テレビでよく見ました。

なんぼー:キャバ嬢にとっては、シャンパンは売上だから、言ってしまえば「お金」じゃない。だから本当は高いシャンパンを頼んで欲しい。ただ「高いシャンパン飲みたいです」とは言いにくい。そこを、低糖質なら「スタイル維持もしたいから、soumeiがいいな」と言いやすくなっている。

えいと:うおおお、賢い。

なんぼー:こういう別軸で好まれるポイントを見つけるのは有効な手段かもしれないね。こういう別軸がさらに大きなニーズになると「第三のビールをつくる」みたいに新たなジャンルをつくることにつながっていったりするよね。

えいと:なるほど。マーケティングってやっぱかっけーっすね!あと面白い!

なんぼー:おお、面白いと思ってもらえたならよかった。

えいと:Tシャツ、このままじゃだめっすね!

なんぼー:えいとくんは本当に正直だね(笑)まずは、商品を知るところから始めるのがいいんじゃないかな。

えいと:確かにロゴの意味も全然知らなかった……まずは、勉強します。目指せ明太子!

なんぼー:目指せ明太子って面白いね(笑)

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