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【TUNIC】遊んでみた(PSPlusフリープレイ5月)

フリープレイに来たゲームを遊んでみた感想note第二回。
前回【Skul】は4月中に出せませんでしたが、今回はギリ5月中に間に合いました。
今回遊んでみたゲームは、

【TUNIC】

前回紹介のSkul同様にいわゆるインディーズ系のゲームのようです。当然のようにWikipedia日本語版にはゲーム自体、および開発会社のページがありません。英語Wikiを調べてみたところ、海外のいくつかのゲームアワードにノミネートをされ、佳作あるいは優勝といった評価も受けています。

かわいいキツネの子供が主人公です

さて、そんな【TUNIC】はアクションゲームです。特徴的なところとして、クォータービューであることがあげられます。斜め方向から画面を見下ろしているやつですね。
そんな、どこか箱庭感をかもしているゲーム画面で繰り広げられるアクションですが、マリオやゼルダの伝説といったアスレチック感のあるアクションではなく、どちらかと言えばDARK SOULSのような戦闘に重点が置かれているアクションになっています。

1.アクション性 ~極限までシンプルな操作感~

一見すると柔らかい世界観のゲームを何故前述のようにDARK SOULSで例えたかと言うと、私の戦闘系アクションのボキャブラリーが貧困だから――というわけではなく、本当にダクソみたいな操作感かつ難易度だからです。
そう、このゲームの実態は高難易度アクションゲームです。
……個人的にはフロム社のソウルライクゲームよりも難易度が高いと感じたのですが、ともあれまずは基本的な話から。

まず、装備品や魔法の概念そのものはあるものの、それはかなりシンプルな形で導入されています。
アイテムは三つのボタンに配置して使う形です。そしてこのアイテムとは別に、回数制かつ使っても消滅しない回復アイテムがあります。エスト瓶とか聖杯瓶みたいなやつですね。

最初は木の棒 緑の服着た時の勇者リスペクトだろうか?

Wikipediaによると【TUNIC】は、ゼルダの伝説などのゲームを文脈が分からないままゲームマニュアル(ゲームの操作方法など)を理解しようとしたところからインスピレーションを得たとされています。これについてはまた後述しますが、こういったシンプルなゲームコンフィグは特にゼルダの伝説に近い雰囲気があります。装備できるアイテムもそこまで多くなく、序盤に手に入れられる剣を最後まで使い続けることになります。使える魔法も四種類ほどで、他には回数消費性の爆弾や回復アイテムなどを使える程度。複雑な操作方法はありません。
が、シンプルならば難易度が低いかといえば全くそうではありません。
前述の通り、アクションゲームとしてはDARK SOULSに近いです。

ボスとの戦いは緊張感を強いられる

このゲーム、スタミナシステムが導入されています。上の画像の左下にある、緑のバーがスタミナゲージです。回避、盾によるガードでスタミナが消費され、剣を振るなどの攻撃行動ではスタミナの消費がされない代わりにスタミナ回復も止まります。
スタミナ管理をしながらのアクション自体はもう珍しいものではないのですが、このスタミナ周りのシステムにおいて【TUNIC】独自のものがあります。それが『スタミナが尽きた状態だと被ダメージが増加する』というものです。避けられない、ガードができないというものではなくシンプルに食らうダメージが増えます
このダメージ増加システムが難易度を加速させます。ボス敵や集団の敵を相手にすると回避やガードを強いられ、スタミナが無くなったところで大ダメージを食らうということもありがち。回避を連打して攻撃のチャンスをスタミナ回復に当てざるを得ない、みたいなこともよくあります。
また、ボス弱体のギミックといったものも基本的にはありません。
(これに関しては私が見つけられなかっただけかもしれませんが……)
他にも、ボスの行動自体がシビアだとか。ザコ的でも攻撃で怯みにくい敵がいるとか。攻撃のノックバックがありすぎてダメージを与えにくいことがあったり、こちらを発見したザコ敵の追跡距離がかなり長かったり……ともかくプレイヤーにとっては不利になるような条件が多いと感じました。
そしてこの【TUNIC】にあってダクソに無いものがあります。
いや、正しくはダクソにあってTUNICに無いものがあります。
装備の選択肢、ビルドの自由です。
ダクソは近接武器一つとってもいくつもの種類の武器が使えます。それに加えて魔術、祈祷といったものもあり、キャラクタービルド、戦闘における選択肢にかなりの幅があります。
敵ごとに手段を変える、あるいは自分の得意な戦法を見つけられる。ダクソを含めたソウルライクゲームが、高難易度ながら評価される要因のひとつがこれだと私は考えています。
一方【TUNIC】には選択肢の幅があまりなく、取れる戦法も必然敵に少なくなっています。
この選択肢の少なさに加え、レベル上限も難易度増加に拍車をかけます。
【TUNIC】はアイテムを祭壇に捧げることで能力値を上げられるのですが、このアイテムの入手場所は固定、個数も限られています。それはつまり能力値の上限がボスごとに常にあるということでもあります。一般的なRPGのように、楽に攻略できるまでレベルを上げるといったことはできません。この辺のパワーアップ上限はゼルダ感があります。
ここまでの話を要約すると、アクションゲームとしてはゼルダの伝説とDARK SOULSを足して二で割ったような感じで、それが結果として難易度を上げることになってしまっているわけです。

難易度が高いというのは開発側も承知しているところなようで、このゲームには『スタミナ無限』や『常時無敵』といったオプションがあります。アクションが苦手だけれどゲームの雰囲気だけ味わいたい! という人は、これらのモードをオンにしてプレイしましょう。
その辺の特殊モードなしで頑張りたい、けどやっぱり難しいという人には氷結ループがおすすめ。西の庭園で発見できる氷の魔法と魔力回復のアイテム(青い木の実)を使って敵を氷結→攻撃を繰り返し、魔力が尽きたらアイテムで回復することである程度難易度は緩和される……気がします。集団戦には積極的に爆弾を使っていきましょう。

さて、ここまで延々と【TUNIC】のアクションゲーム性について語ってきましたが、それ以上にこのゲームにおける特徴的な点があります。
それは、このゲームがアクションゲームであると表現することを避けたくなるほどの『探索ゲーム』である、という点です。

2.探索ゲーの極地 ~探索だ、ともかく探索をしろ~

まず、下の画像をご覧ください。

絵が無いキーはさっぱりわからん!

謎の文字があります。この文字、謎です
どうやら解読自体は可能らしいのですが、私は解読できなかったのでここでは触れません。あしからず。
ところでこの画面、ゲーム中では『説明書』ということになっています。
説明、とは。説明書が説明してくれていません。
そう、このゲーム。
言葉の大半がゲーム内独自の言語によって表現されています。
この説明書はゲーム中に落ちている説明書の欠片を拾うことによって埋まっていき、ある程度は言葉が分かるようにもなっていきます。
ただ、分からないところはやっぱり分からないままです。
世界観は全くと言っていいほど言語による説明がされません。初めのうちどころか、終盤に差し掛かっても言葉でこれはこう、と説明することはありません。
そうなると、プレイヤーは手探りで、世界をあますことなく探索することで世界を理解することになります。

このゲーム、海外の賞を獲得するほど評価が高いゲームです。
ただ、個人的な感想を言うとこのゲームは、かなり合う、合わないが分かれるタイプのゲームだと思います。

というのも、世界観のみならず、ゲームの目的や次に行くべきところ、ゲームクリア条件に至るまで、全てを言葉による説明をほぼ受けずに手探りでやっていかなければならないからです。操作法についてはある程度説明がありますが、パリィの説明とかどこにあったっけ……?という感じで、ともかく直感的、感覚的なプレイングが求められます。
導線自体はあるのですが、しかし『どうして主人公がそれをしなくてはならないのか』という説明はありません。何も分からないまま放り出される――というのは制作側が恐らく狙ってやっていることで、初めてゲームオーバーになった際には主人公が謎の存在と出会い、同時にトロフィー『何が起こった?』が解放されます。
この手探り感、解読していく感、体感していく感――。
これがいい!

という人と、ともかく面倒なことをさせられていると感じる人に分かれると思います。
端的に言うと【TUNIC】のゲームデザインは、2000年代以前を感じさせるものです。最近の、チュートリアルがあったり、行き先をしつこいほど教えてくれるようなゲームとはかなり違いがあります。

これだけ言うと本当に評価が高いゲームなのか?と思われそうです、が。
このゲーム、説明という余分を切り捨てたからこその没入感があります。
ハマる人はこの世界観にどっぷりとハマる。隅々までの探索が苦にならないほど【TUNIC】の世界をともかく端から端まで歩き回りたくなる。
そんな没入感を強力に後押しするのがグラフィックです。

3.グラフィック ~光で魅せる世界観~

光の表現がひたすらに美しい

個人的に、このゲーム最大の魅力はグラフィック、というより光の表現だと思っています。新しいエリアに入るたびに、その表現法にともかく感動させられました。このnoteの最初に掲載した画像は森のエリアで撮ったスクリーンショットなのですが、光と影のコントラストによって木漏れ日が見事に表現されています。
光の表現は自然的、あるいは神秘的な表現のみならず人工的な明かりの表現もまた美麗です。

建物から漏れ出れる光が不気味で神秘的

あと、個人的に一番気に入っているのが大図書館の景色。

窓から差し込む陽の光は夕日を思わせるオレンジ色

人工的な光が一切無いにも関わらず、眩しさを感じさせます。西日が差してる窓辺の雰囲気を醸し出せるグラフィックは、プレイする手を止めるほどに綺麗でした。

4.おわりに

【TUNIC】はアクションゲームとして見るとかなりクセが強いゲームですが、世界観にはまり込むととことんまで楽しみたくなる類のやり込みゲーだというのがプレイした印象でした。受賞した賞もグラフィック関連のものが多いようで、その見た目、世界観や雰囲気といったものは唯一無二のものがあります。合う合わないは人によって差が出るゲームですが、プレイするだけ損は無いゲームです。

【TUNIC】は現在フリープレイ期間中。PSPlusに加入してると無料で遊べるので、試しにプレイしてみてはいかがでしょうか?


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