パクチーの押し売り

パクチー好きな人、多いですよね。わたしはとても嫌いです。好き嫌いは個人の自由ですが、聞いてもないのに「わたし、パクチー大っ好きで!!」と、主張し始める節がありませんか?いきなり急角度で切り込んでくる。そしてこのパスは「あ、そうなんだー」というサラッとした返答では、なかなか終わらせてくれません。何人かいれば、一人くらいはパクチー苦手派がいます。「わたし、ダメ。無理」と言おうもんなら、まだまだわかってないなー!という空気になるのです。パクチー大好き派が揃って唱えるのは、わたしも最初はダメだった論。いつか好きになるから食べてみろと、押せ押せな勢いで勧めてくるのです。美味しいものを勧めたい気持ちは痛いほどわかるのですが、本当に本当に嫌いなのです。目の前にあるだけで心中穏やかでないですし、口に入れるとなるとほとんど拷問。冗談ぬきで吐きそうになります。ハーブの類は大好きですが、どうしてもパクチーだけがダメなのです。

そんなわたしにも、大量のパクチーをモグモグ食べた経験があります。それは旅行でベトナムに行ったとき。ことあるごとにフサっと添えられているパクチーをいちいち避けるのも面倒だし失礼なので、がんばって口に入れてみたのです。すると、普段ならウッとなるところが、びっくりするほどスムーズに食べられた。これほんとにパクチー?!と戸惑いながら、ムッシャムシャ食べました。しかし、帰国して再挑戦してみたら、やっぱりダメだったのです。思うに、日本の気候とパクチーの相性が悪いんじゃないかと思うんです。うんざりするほどの湿度、カンカン照りの太陽、突然の大雨、尋常じゃない排気ガス、舞い上がる砂ボコリ…そんな五感への刺激てんこ盛りなベトナムの環境で食べるパクチーは、とても清々しく爽やかな草でした。でも日本で食べると全然ダメ。パクチーだけが際立ってしまい、薬味のはずなのにその刺激臭でメインの味まで吹き飛ばされます。

でも、もともと嫌いだったけど好きになったものって、強烈に愛してしまいますよね。昔の自分に語りかけるように、もったいないよ!と勧めたくなる。パクチーうまい!という喜びを、少しでも多くの人と感じ合いたい。わたしにとってビールがそれです。でも、ビールのおいしさを理解していない年頃の若者にまだまだわかってないなーと勧めるようなことはしませんよ。もしもいつかわたしがパクチーに熱狂する時代がきても、パクチーの布教活動だけは自粛しようと心に誓っています。

好きだろうからパクチー添えときました★みたいなやつ、ほんと勘弁してください。パクチー苦手派に市民権を!

また明日。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?