魔王になってた。

暇だった。
何もかも。つまらなかった。
勉強も親の手伝いも友達も。
嫌だったから逃げた。
歩いた。
道端に黒い線があった。
よく見たらアリの列だった。
眺めてた。
ふと思った。
壊したいと。
真上に石を置いた。
アリは石を避けた。
列はまだ続いてる。
砂をかけた。
最初は乱れたが、元に戻った。
案外しぶとい。
殺した。アリを。一匹づつ。
プチプチ。まだ列は乱れない。
プチプチプチプチ。
まだまだアリはいる。
プチプチプチプチプチプチ。
まだいる。
プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ。
変な感情。
プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ。
何でだろう。飽きない。
プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ。
胸の高鳴り。高揚している。優越感。支配感。全能感。
プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ
あ、あ、あ、あ、あ、、、これは楽しい。楽しい。
一匹づつ殺すのが楽しい。
プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ。
あれ、気付けばアリの列は無くなってた。
悲しかった。
だから次を探した。
なかなかアリの列は見つけられなかった。
だからそこら辺にいるアリを見つけては殺した。
楽しかった。
夢中で殺した。
、、、、、、、、
飽きた。
同じだ。同じ感じ。同じ風景。
アリを殺すの飽きた。
考えた。
どうやったら楽しく殺せるのだろうか?
アリを砂で埋めた。
アリは砂から出て来た。
だからまた砂に埋めた。
繰り返した。
徐々に弱って来ている。
死ぬまで繰り返した。
そいつは死んだ。
アリを観察した。
足が沢山生えている。
一本抜いた。
普通に歩けている。
2本抜いた。
ちょっとぎこちない。
3本4本やっぱ徐々に弱っていく。
全部抜いた。
体がピクピクしてる。
変なの。
足が無いと歩けない。
殺す方法もいっぱいある事が分かった。
方法が変われば景色が変わる。
飽きない事が分かった。
でも飽きた。
アリを殺すの飽きた。
考えた。
お腹空いた。
もう夕暮れ。
家に買った。
母は心配そうにしている。
学校を抜けたから。
父は怒っている。
毎日不機嫌。
ご飯は美味しい。
母にアリ殺す事楽しいと話した。
母は複雑な表情をしてた。
父は怒鳴った。
母はそれを止めた。
楽しいのにね。
何がいけないのだろうか?いけない事なのだろうか?
どうして?
命は尊いの?
一つだから?
でもいっぱいあるよ?
でも楽しいよ?
あのね殺し方もね色々方法が、、
殴られた。
痛かった。
父には分からないらしい。
母は止めた。
宥めてくる。
皆んな変なの。
何が楽しくて生きてるの?

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