等号不等号

ある朝 鏡を見ると

頭が不等号になっていた

困惑して壁に寄りかかったわたしの頭は

締りの悪いサドルのように

ぐるりと回って 小なり頭になった


放心のまま外へ出ると

不等号 不等号 不等号の群れ

大なり頭は上等な服を着て

くちばしで肉をついばみ 酒を流し込む

小なり頭はというと

こうべを垂れ吐きくだすばかり


わたしはいつの間にか

首をぐるりと回しながら

大なり小なり飲み歩き

酩酊して裏路地で吐いた


アスファルトにぬかずき

ぽかりと開いた口から延々と吐瀉する

ぬるい黄水の川の先

排水溝から顔を出すは等号頭

等号頭は美辞麗句を並べ立て鼠鳴いている

救いがない救いがないと鳴いている


わたしはようやく口をぬぐうと

笑いながら等号頭を縊り

わたしの不等号も縊った


明るい通りから

大なり小なりの笑い声がする

実験的な文章を書いております。ぜひサポートよろしくお願いいたします。