ハートのある話

みなさんこんにちは。

今日は多くの方が目にしたことのあるハートモチーフのブランドの話をしようと思います。
察しが良い人はもうお分かりかと思います。

まず初めに言っておくと、私はこのブランドが好きです。
なぜそう思うに至ったかをこれからしていこうと思います。

このブランドは正確にはある大きなブランドの中にある一つのラインです。
キャッチーなモチーフが有名で服は単価も安く、一部では商業ラインだと言う人もいます。

私が以前働いていたショップではここの服を扱っていました。
毎朝オープン前には外国人が並び、多い時には30人以上並ぶこともあります。
分かりやすさから外国人にも人気で、転売する人が数多くいるようでした。

このように人気のあるブランドですが扱っていた店舗はガラス張りの無機質で威圧感すらある外観で、
入ってくるのは顧客か、外国人、もしくはかなりの服好きのみでした。

ある日いつものように店頭に立っていると、学生服を着た高校生の女の子が不安そうに店内に入ってきました。

ここの服を見ていたので声をかけると、お父さんへの誕生日プレゼントを買うために勇気を出して入って来たとその子は言いました。
お洒落なお父さんだそうで下手なものは買えないため、ワニモチーフのラコステかこのハートなら買えるかもと思い探しに来たそうです。
少し話していると安心したようで、本当に店には入りづらかったとその子は笑いながら話してくれました。

探していたハートのTシャツは安いとはいえ高校生にはなかなか高い値段で、他にいいものがないかと一緒に店内を探しましたがちょうどいいものは見つかりませんでした。
結局、他店のブランドをいくつか教えてあげ出口まで見送りました。

あの子がその後何を買ったのかはわかりません。
ただこんなにも入りにくい店にお父さんのためにと勇気を出して入って来てくれた女の子の気持ちと、
商業目的とも言われるキャッチーなブランドにもあの子のように背伸びをすれば手の届くブランドとしての役割があることをこの体験から知りました。

そしてあの子との出会いによって、人の価値観ではなく、自分の意思でこのブランドを好きになることができました。

それ以来、私は唯一持っているハート付きのコンバースを堂々と履いています。

日々の忙しさに感情が鈍化しそうな時、一度立ち止まって優しいあの子との会話を思い出したいと思います。

それではまた。

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