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耳栓から広がる世界


耳栓。
なんとなく自分の生活には縁がないような気がしていたし、必要性を感じていなかったアイテムでした。
……ほんの最近までは(ライブ用の耳栓はちょっと気になるけれど)

そんな私が耳栓ユーザーになって、耳栓ライフを始めて1ヶ月弱。
こうしてnoteを書いて誰かに伝えたくなっちゃうくらいにはいい感じなので、実際に使ってみて気付いたことや、購入に至った理由などをまとめてみることに。


一時は気になりすぎて夢にまで見た、愛用の耳栓がこちら。
loopの耳栓です。

春っぽい色のパッケージ。
2/14に届いたけど、バレンタインのチョコじゃないよ。
ピンクの文字で書かれてある「NEVER TOO LOUD」は「決してうるさすぎることはない」という意味になる模様。



まず、購入に至った大きなきっかけとしては、APD(聴覚情報処理障害)という症状のことを知ったから。

聴覚に問題があるわけではない。けれど、たとえば周りがザワザワした環境の中では話をうまく聞き取れなかったり…… と、「聞こえている」けれど「聞き取れない」という症状のことらしい。

私自身はきちんとした診断を受けたわけではないけれど、日常で感じていた「困り感」に心当たりが。

たとえば、お皿洗いや料理をしているときに家族に話しかけられても、うまく聞きとれず聞き返すことが多かったり。その度に水や火や換気扇を止めなきゃならなかったり。
私にとってそれは当たり前のことで、仕方のないことだと思っていたけれど…… そういう症状なのかもしれないってこと?

何度も聞き返すのは、自分にとっても相手にとってもストレスなもの。作業を何度も中断するのもストレスだし。
けれど、こういった「困り感」に耳栓が有効だと知って、俄然耳栓に興味が湧いてきたのです。

耳栓というと「音が(ほぼ完全に近い状態で)聞こえなくなる」ようなイメージがあって、実際そういう商品もあるようだけれど、中には雑音を抑えながら聞きたい音はキャッチする性能や効果があるものも。それならアリかも!って。


他にも、

・家族の生活音(テレビ、動画、ゲームなどの音)がしんどくて、そっとその場を離れて一人になりたくなることがある(罪悪感)

・ライブやお出かけのあとによく頭が痛くなる

・見た目もアクセサリーっぽくて惹かれた

などが購入の大きな理由。


APDの他に聴覚過敏についても一応知識として知っているけれど、自分自身は特に該当しないかなと思っていました。
だけど、ライブやお出かけ後の頭痛が、もしかしたら耳の負担も原因のひとつなのかも……?って。

ものは試し。とはいえ、ちょっと試すには(私にとって)お高い買い物。
一般的な耳栓は、100均で買えるものから数千円するものまでさまざま。
loopの耳栓は、種類にもよるけれど2000円〜4000円、多機能のものだと5000円〜8000円くらいするので、使ってみて合わなかったら…… と思うと悩んでしまう。

でも、日頃感じていたいろんな負担が和らいで、世界が変わるかもしれない…… とふくらむ期待が日に日に止まらなくなり(冒頭で書いたように夢にまで出てくる始末)、ヨドバシオンラインのポイントもあって少し安くなったので、思い切って購入!


そうしてドキドキそわそわしながら待ち侘びた耳栓が、私のもとへやってきました。
(ヨドバシさんは配送がとても早いので実際には全然待っていないけれど、気持ちが前のめりで)

じゃじゃん!


サイズ違いのイヤーピース(XS、S、L)つき。最初からついてるのはMかな?
カナル型イヤホンみたいな感じ。
私は耳の穴が小さいのか、カナル型イヤホンに苦手意識がある(すぐとれちゃう)のでXSに付け替えてみることに。今のところ大丈夫そう。


耳栓本体は何種類かあって、見た目・性能・価格で悩みに悩んでExperienceシリーズのローズゴールドにしてみました。

耳栓っぽくない?スタイリッシュな見た目。


カナル型イヤホンに小さなドーナツがくっついたみたいな、独特のビジュアル。
この輪っかに秘密があるらしく、内側に小さな穴(アコースティックチャンネル)を設けているとか。
そのおかげで、声がこもるのを防ぎつつ、騒音を軽減して会話は普通にできるということらしい。


ちょっと恥ずかしいけど着画
(細かいとこは気にしないでね)



耳につけるとこんな感じ。アクセサリーみたいでしょ?

種類によって輪っかの見た目に差があって、Experienceはどれもメタリックカラー。
Engageシリーズはクリアカラー。
いちばん遮音性の高いQuietはマットカラー(値段はいちばん安い)

外でも使いたいから完全遮音は不安(車や人の近付く気配を感じとれなくなるのは怖い)
テレビの音などは抑えたい。でも家族の声は聞きたい。ついでにライブでも使えたらうれしい。……というわけで、※いちばん遮音性の低いExperienceに。定価で4,190円。

(※訂正と追記。loopシリーズでいちばん遮音性が低いのはEngageでした。−16dBカット。Experienceは−18dBカット。いちばん遮音性が高いQuietは−26dBカットです)

楽しい音はそのままに、耳をまもる。

音質は妥協せず、音量だけ適度に調整。ライブやコンサート、スポーツ観戦に。集中したい時、聴覚過敏でお悩みの方にも。

loop earplugs 公式ページより


専用ケースは黒色でマットな質感。貝殻みたいにパカっと開きます。
500円玉くらい?のコンパクトサイズ。荷物多く重くなりがちの民にはうれしい。


〈使ってみた感想(普段使いバージョン)〉


耳栓ライフ自体ほぼ初めてなので他と比較できないのと、正直つけ始めは違和感もあったけれど慣れると大丈夫。
イヤホン感覚なので、着脱はしやすいと思う。
輪っかがうまく耳のくぼみにはまるようにするのにコツが必要で、最初は鏡を見ながらつけていたけれど、そのうちノールックで着脱できるように。
きちんと装着できれば、ポロッととれそうな感じもしない。痛みもない(ずーっとつけてるとさすがに痒くなることはあるかな)

初日は特に、自分のまわりの音が少し気になった。
歩いたときの振動が直に伝わる(ひびく)感じや、声のこもる感じ、食事のときの自分の咀嚼音(もごもご感)など。
でも、どれも翌日には全く〜ほとんど気にならないレベルに。慣れってすごい。

お皿洗いも、最初は耳栓越しの水の音に違和感があったけれど慣れると大丈夫。リビングにいる家族の声も届く。
エアコンや換気扇の振動音などはほぼ消えて、その他も全体的に音の刺激が少なくなる感じ。テレビの音もやさしくなる。でも人と会話はできる。

耳から本体が飛び出さない造りなので、つけたまま横になって寝ても痛くない。
そして、見た目がアクセサリーっぽくてかわいい・カッコイイのでつけてるとちょっとテンション上がる(大事)
普段、ピアスもイヤリングもつけない耳だけど。なんだかうれしい。


外での使用においては、近付く車や自転車の音(気配)、鳥のさえずり、雨の日には雨の音も、全部ちゃんと聞こえる。
思ったよりちゃんと聞こえるので、耳栓つける意味って……?と思ったりも。
でも、外すと一気に音の刺激と情報量が増えてクラクラするので、やっぱりちゃんと意味があるのだと実感(はじめてコンタクトレンズをしたときに、見えすぎて怖かった感覚を思い出したり)

また、スーパーなどの店内BGMは小さくなって、でも店員さんの声はちゃんと聞こえる。不思議。

これならライブでも、演奏や歌声の迫力が損なわれることもなさそう?
loopのExperienceはライブ用の耳栓としても優れているらしいので、いつかこれをつけてライブに行くのも楽しみ!


また、人が多い場所で周りの音や会話が気になるときにもぱっと見「耳栓つけますね感」が出ない(音楽聴いてる人に見える?)ので、周りに遠慮せず安心してつけられそうなのもメリットかも。
静かな環境に身を置きたいとき、あると安心なプチシェルターという感じ。

つけてすぐに世界が変わる!というよりは、日々使うことでじわじわ良さを実感しています。


〈おでかけレポwith耳栓〉


お出かけ時の頭痛と音の関係も検証(?)してみることに。
2月某日、お出かけの際にloopの耳栓をほぼ一日つけて過ごしてみました。

子どもと一緒に電車で遠出、賑やかなショッピングモール…… と、通常なら頭痛まっしぐらコースだったけれど、結論からいうと全然頭が痛くならなかったことにびっくり(正直、多少は痛くなるだろうと思っていた)
聞こえ方についても、電車のアナウンスや子どもとの会話など特に問題なし。

ちなみにこの日→ ヒーローに会ってきた🌱

(イベントの間は小島よしおさんと元気な子どもたちの声を直に感じたくて外しちゃいました)


ライブやお出かけの度に頭が痛くなるの、普段と違う刺激で脳がびっくり(キャパオーバー)してるんだと思っていたけれど、まさか本当に音が原因だった?
私の耳、がんばりすぎちゃってたのかな。
頭痛がないと、子どもたちにも余裕をもって接することができてうれしい。

フードコートみたいなざわざわした場所でも安心。
子どもたちの声のボリュームももちろん下がるので聞き返すこともあるけれど、いくつもの音をかき分けて聞きたい声や音を拾っていくよりも、聞きたい音声にフォーカスしやすい。その分、ストレスが少ない感じ。これはすごいかも。


そもそも私は頭の中で常に何かしゃべっているような感覚があって(この文章もそういうのが形になっている)
つまり外部からの刺激以前に自身の脳内がすでに騒がしい状態なので、そこに外からの音声も混じると大混乱、カオス極まっちゃって。
耳栓をすることで、少しだけ頭の中のごちゃごちゃが落ちつく気がする。
でも、耳を塞ぐことでなんだか思考にも蓋がされる感覚もあるので、文章を書くときなどは結局外してみたりもするのだけれど。


そして、こんなこと言うと「またまたぁ〜(誇張しすぎでは?)」という声が聞こえてきそうですが、耳栓生活を始めてから、今のところ頭痛知らずです。
普段から夕方くらいになると頭が痛くなることがあって、コンタクトレンズをしてるから目の負担かな〜と思っていたのだけれど、耳の負担だったの……?

とはいえ頭痛の原因は音(耳の負担)だけじゃないと思うので、そのうち耳栓してても頭が痛くなる日はくるのだろうけど、想像以上に耳の負担って大きかったのかもなぁと思っています。買ってよかった!


……ここまで、ほぼいいことばかり書いてきたので気付いたデメリット?にも触れようかな。
でも、耳栓そのもののデメリットというよりは、使う私自身の気持ちの問題という気もするのだけれど。
というのも、そもそも私が耳栓を買うに至った理由のひとつに、人とのコミュニケーションの問題があるから。

「プチシェルター」と表現したように、耳栓は自分にとってしんどい状況から一時的に避難して心身を守れる頼もしい存在。
でも、耳栓をつけるという選択はある意味「内にこもる」閉じたコミュニケーションとも言える気がして。

テレビの音がうるさいなら、「少し音を下げてもいい?」と訊けばいい(訊くときもある)
それをせず、そっとその場を離れたり耳栓をしてやり過ごすというのは、とても消極的なコミュニケーションな気がして、これでいいのか?と自問自答。

不快なものや苦手なものごとに蓋をして、遮断して、それからは平和に暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。って本当……?
耳栓に頼りすぎて、大事なことから逃げてしまっていないかな……? など悶々。もんもん。
(考えすぎというか、自分でもめんどうな性格だなぁと思う)


言葉で、会話で、お互いの折り合いや落としどころを探っていく。そんなコミュニケーションはとても尊い。
だけど、そうじゃない解決法がダメなのか?と問われると別にダメじゃない気もする。

そもそも、音や温度などの感覚的なことは他人と分かち合うのがむずかしいところがあると思う。
自分以外の人がどういう世界を感じているのか、本当の意味で知ることはできないから。

同じ部屋にいて「寒い」と感じる人もいれば、「暑い」と感じる人もいる。
そういうときに、どちらかがさっと上着を羽織ったり逆に脱いだりすることで解決するなら(そしてそれを特に「我慢」や「不満」と感じないレベルなら)それでいい気もする。

耳栓も、そんな感じでつけたり外したり自由にしていいアイテムってだけなのでは。
静かな部屋で一対一、もしくは少人数で話すならつけない方がいいし、ざわざわした場所ではあると安心。
ライブやお出かけのあとの耳鳴りや頭痛だって、それも含めて幸せな余韻だととらえる人だっていると思う。

身の回りの情報をなるべく余すことなく受け取りたい、クリアな世界を感じたい。そういう日もあれば、殻にこもるようなぼんやりした世界に身を置きたい日もある。

頭痛がないと子どもたちに余裕をもって接することができたように、心や身体が安心して余裕ができると、自然と「外」に向かってみたくなったりする。
そんなふうにきっと、無理をしなくても「開いたコミュニケーションを楽しみたいターン」もめぐってくるような気がする。そのときに、そっちを選んだらいいのかなって。

だって耳栓は、つけることもできれば外すこともできるのだから。
その日、その場の気分や状況でその都度選んで、一時的に気持ちや体調をととのえること。そこに、後ろめたさは感じなくていいはず。
そんな感じで心も閉じたり開いたり、自由にしていけたらいいな。
と思ったのでした。悶々一旦おわり。


「世界が変わるかも」という期待を抱いて始めた耳栓生活。
実際に使用してみた感想としては、「世界が変わる」というよりは、「世界が広がった」という感覚に近いかもしれない。
選択肢が増えたことで、視界がひらけたような。
閉じこもるためじゃなく、自由に世界をかけめぐるための入り口として。耳栓という選択肢、アリだと思います。


私のちいさな頼れる相棒、耳栓。
これからもよろしくね。



〈トップ画について〉

「みんなのフォトギャラリー」より、chiyoさんのイラスト「えいようのベッド」を使わせていただきました。
貝殻の中でうさぎ(の被りものをした子ども?)とおばけ?が毛布にくるまって寝ている、色合いもタッチも穏やかなイラスト。

シェルター(人を保護する施設や場所。安心できる場所)の語源にもなっている「シェル=貝殻」が描かれていることと、その貝殻が耳っぽくも見えること、よく聞こえるうさぎの耳→音から守る→耳栓 という連想がnoteの内容にぴったりだと思い使わせていただきました。
素敵なイラストをありがとうございます🍀

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