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闘わざる者食うべからず 水尾の柚子ジャム 優しさ

先日、京都の愛宕山に登ってきました。12月初旬、山頂の気温は2度。しかし険しい山道を歩いてきた私と友人は汗だくで、腕を捲りたいくらいでした。たまたま休憩所で居合わせた野球少年たちが元気よく階段から駆け上がってきた姿が印象的でした。彼らを包む眩しい木漏れ日が、まるで体からほとばしる若いエネルギ―の様で、私達も側にいた初老のご夫婦も目を細めてじゃれ合う彼らの姿を眺めていました。のほほん。

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山頂の愛宕神社にお参りし、友人持参のバーナーでインスタントのホットカフェオレをご馳走になったのですが、二時間半息切れしながら登っただけあって乾いた土の様に秒でカフェオレが体に浸透しました。山頂でのおもてなし、ありがとうね。

愛宕山は地獄の様に続く階段を上がる清滝コースが有名なのですが、今回は下山で利用しました。すれ違う登山者と軽く挨拶する時間が好きなのですが、他の山と違い子供を負ぶった登山客が非常に多く、これまた私達は彼らの逞しさに脱帽したのでした。(特に赤ちゃんを負ぶった小学生よ!)どうやら愛宕山に三歳までに詣でた子供は一生火難に遭うことが無いそうです。火伏の神様で有名な愛宕神社ですが、季節は初冬、辺り一面紅葉の絨毯で赤々と燃えていました。

帰り道に出会った優しい地元のご夫婦から300円で大量の柚子を頂きました。地元、水尾産の柚子。歩く度に揺れる手元の袋からか柚子の香が放たれて、登山の疲れを優しく癒してくれます。

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さて、この柚子たちですが、オマケで頂いた小ぶりの柚子は湯船に浮かべて柚子風呂に。数日間使いまわしたので最後の方は香りよりも、嫌いな人の顔を思い浮かべて遊ばせてもらいました。(笑)

残りの柚子たちは皮と果肉を分けて適性に調理し、柚子ジャムにしました。この部位別調理に一手間かかるのですが、なんと仕込みや調理に三日もかかりました!皮は40分ほど中火で茹でて一日水に晒し、果肉は絞らず繊維ごと鍋に入れ、揉みつぶしながら25分お砂糖と煮込みます。最後に千切りにした皮と煮込んだ果肉を一緒にしてお砂糖で煮込んで完成!

普段仕事から帰って三分クッキングな時短料理しかしない私ですが、今回はラジオから流れてきた大好きな藤井風君のトークライブを聴きながらじっくりことこと愛情込めて煮込んだのでした。藤井君が歌うマライアのAll I Want For Christmas Is Youで完璧に私のホリデイシーズンの幕が開いたのですが、二曲目に山下達郎のクリスマスイブを歌ってくれて、もう感無量です。平日残業明けた夜10時すぎ、もう目が霞んで視界不良でしたが、部屋中が歌の力と柚子の香の漢方みたいな香りで充満して、良薬を浴びているような心地になりました。空き瓶が二本あったので、折角だからもう一本は誰か大切な人に上げようと決めました。

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煮沸した瓶に詰めて冷蔵庫に保管し週末。大切にとっておいた大好きなパン屋の天然酵母パンをトーストし、いよいよ柚子ジャムの実食。参考にしたレシピよりも甘さ控えめにしたのですが、甘酸っぱさに刺激が無く、皮の苦みもしっかりとれて食べやすくなっていました。何とも味わい深い味。疲れを吹っ飛ばしてくれた友人の笑顔、すれ違った赤子を負ぶった主婦や少年、柚子を分けってくださったご夫婦の顔が浮かびます。優しさの連鎖だあ。

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実は花金になるはずの昨晩、私は業務の事で上司とぶつかり感情的になってしまったのです。夜も寝付けませんでした。不安に押しつぶされそうになることが何度もあった2020年、いっぱい闘ってきたな。キャリアプランが白紙なので年明けまでに一度自分のキャリアやスキルを点検してみよう。将来なんてわからないもの、きょう一日元気に生きられたら明日だって同じじゃないか!(って歌があったな)手間暇かけた柚子ジャムで疲弊した心身を慰められた、至福な時間でした。