TOEIC370の英語コーチ!? AI翻訳アカデミー受講生登場②
はじめに
前回に引き続き、再び塩貝香織氏の主催するAI翻訳アカデミーの受講生と思われる人物が登場した。本記事ではその受講生の記事を詳しく見ていく。
記事の概要
以下が2023/11/24の記事『AI翻訳アカデミーは詐欺なのか。塩貝香織さんのAI翻訳アカデミーに入会してみた件』。
ライターは「コナン@海外旅行好き」という人物。
分量は全体で2,300字程。内容としては、コナン氏は海外旅行に頻繁に行くものの、英語力はTOEIC370と決して高くなかった。しかし塩貝香織氏のAI翻訳アカデミーに入会したことで一変。英語の可能性を学び、英会話関係の仕事に転職。副業で英会話レッスンの指導と翻訳をこなし楽しい日々を送っているという。
タイトルに『詐欺』という極めて強い言葉を使っているが、最終的には全くの英語初心者でも稼げるようになるAI翻訳アカデミーへの入会を勧めている。
添付している画像4枚は旅行先で撮影したものと思われ、それぞれカリフォルニアのサラトガ、バルセロナのベツレヘム教会、香港ディズニーランド、ソウルのピョルマダン図書館と思われる。
以下、本記事内で気になる部分を抜粋しながら述べていく。
TOEIC370で英会話講師
コナン氏はアカデミーを受講する前はTOEIC370と、英語にはかなり苦手意識があったものと思われるが、受講後は英語翻訳とオンライン英会話家庭教師をする程英語が上達したという。しかしこの記述には筆者は懐疑的だ。いくら機械翻訳を使用すると言っても、TOEIC370の英語力で仕事としての翻訳を成立させることは不可能ではないだろうか。塩貝香織氏のTOEIC100点アップ講座『ECLOSE(エクローズ)』の広告によると、TOEIC370というのは「マークシートを適当に入れるだけ」で取れるようなスコアである。
仮にこの表現が塩貝氏の誇張であるにしても(事実誇張だとは思うが)、この実力の人をたった3ヶ月で(アカデミーは23年9月から開始)英会話の講師ができる程成長させるのは、いかに優秀な指導者でも不可能ではないだろうか。余りにも現実味がない。特にリーディングが壊滅的で、これでは中学英語の文法知識すら怪しいかもしれない。しかしながら、コナン氏のTOEICスコア表を詳しく見てみると
試験実施日が3年以上前の「2020年1月12日」となっている。
ここからは想像だが、仮に2020年時点でTOEIC370でも、この3年間で猛勉強して英会話の家庭教師もできるレベルになったのだとすれば、絶対不可能とは言い切れない……かもしれない。とはいえ、この記事の書き方だと、TOEIC370の人がAI翻訳アカデミーを3ヶ月受講しただけで、英会話指導もできる程の英語力を身につけることができたかのような印象を受ける。事実がどうなのかは知らないが、ミスリードな書き方であることは間違いない。
海外旅行好きなのに会話も筆記試験も苦手?
記事によると、コナン氏はこれまでハワイ、グアム、シンガポール、香港、タイ、韓国、スペイン、イギリス、アメリカというような様々な国の旅行経験があるようだ。しかし個人的には、これだけ海外渡航経験があるにも拘わらず、コナン氏自身は「ホテルのチェックイン、タクシー、食事の注文、英語が全くわからない…」と、英会話が非常に苦手であるとしている。そして前述した通りコナン氏はTOEIC370で、筆記試験も全く得意ではないという。これだけ海外渡航経験があるにも拘わらず、英語の会話も筆記も苦手というのは、個人的には不思議だ。無論、会話については謙遜して「全く分からない」と書いているだけの可能性もある。が、英語を使う必要性がそれなりにあった筈なのに、何故……?
無料講座を「読み」進めて…?
本記事を読んでいて最も不可解に感じたのは以下の部分だ。
以前の筆者の記事『塩貝香織の『AI翻訳の完全ガイド電子書籍』を読む』でも述べているように
塩貝香織氏のAI翻訳アカデミーの無料講座は動画4本から構成されており、「見」はしても「読み進めて」いくような類のコンテンツではない。「課題提出をしていくとどんどん興味も湧いてきて」という表現もやや不可解だ。ここでいう「課題提出」とは、動画各回の特典(上記の電子書籍など)を受け取るために塩貝氏の公式LINEに送る感想文のようなもの(以下の画像参照)で、アカデミーや翻訳業界への理解を深めるものではない。
以上の理由から、コナン氏がアカデミーの無料講座をきちんと視聴していたのかについては疑問が残る。
他受講者との共通点
本記事にはアカデミーの受講生同士の共通点が見られる。
一つ目は、前回のかんな氏も、今回のコナン氏も、本業の仕事、副業の英会話の講師及び翻訳の仕事の3つを掛け持ちしている点だ。本アカデミーではAI翻訳者を養成することだけでなく、英語コーチを養成することも目的なのだろうか。この点については情報が少ないためまだ考察の必要がありそうだ。
二つ目は、他の受講生と表現が似通った部分がある点。これについては本当にただ似ているだけで、特にそれ以上の考察は無い。
以下「コナン@海外旅行好き」氏の記事と、前回の「かんな@英語仕事人」氏のコメントから抜粋して比較する。
2人とも英語力を伸ばすために「プラスアルファで何かを勉強」しているらしい。
表現が似通った部分はまだある。以下、コナン氏の記事と、「かほブログ@英語仕事人」氏のAmebaブログから抜粋して比較する。
筆者の感覚としては、機械翻訳などさほど珍しくもない令和の世において、そんなことをわざわざ言語化する程驚いたことに驚きだ。それも二人ともが。
共通する部分三つ目として、コナン@海外旅行好き氏とかほブログ@英語仕事人氏は、どちらもAI生成された女性の顔画像をアイコンにしている。かんな氏もAI画像である可能性はあるが筆者には判断がつかない。
おわりに
今回は新たに現れたAI翻訳アカデミーの受講生の記事を見てきたが、タイトルに「詐欺」という強い言葉を使って一見中立の立場に見せかけているが、どこか不自然さを感じる。かんな氏同様、AI翻訳で十分に稼げているのに何故本業と英会話コーチを兼業しているのかなどは謎に包まれている。そもそもAI翻訳と出会うより以前から頻繁に旅行に行けるだけの貯蓄があったのなら、「AI翻訳と出会ったお陰で金銭面での心配がなくなった」という主張は成立しないのではないだろうか。
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