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AIがあるからって絵を描く意味がなくなるわけじゃない

AIイラストが出てきて、絵を描く気力が無くなった
みたいなことを言ってる絵師が結構いたように思います
まだ元気は回復してないのかな?

AI絵はほんの数秒で生成できてしまう
できた絵は情報量も多いし破綻があれど上手く見える
SNSで上がっているAI絵を見ると憂鬱になる

まるで自分が一生懸命描いてきたのが否定されたような気分になる
しかも自分の絵が材料にされて、、、
(厳密に言うと解析はされていても画像がコラージュされているわけではない、と私は解釈をしている)

許せない!私は搾取されている
これじゃ犠牲者じゃないか!?



気持ちはわかる

AI触ってる人のくせにふざけるな!と言われるかもしれない

と言うのも私も昔同じようにアイデンティティが崩壊したことがあるのだ


2000年初頭
アナログからデジタルへイラストが移行して行った時代



それまでは、私は商業イラストをアナログで描いていた

イラストボードにカラーインクで
どう頑張っても10日はかかっていた

早く描こうとすると雑になるから
プロレベルで描こうとするとどうしてもこうなる
商業誌のギャランティーは一枚数万だ
時給にするといくらだっただろう



幸いなことにその頃は前の旦那に食わせてもらっていたから、私はその条件でも生きていけた
家賃を払う必要がなかったから

その後離婚して本業のイラストレーターになった
その頃ちょうど訪れたのだ
デジタル化の波が

綺麗で早くてびっくりするほど量産していて、まるで絵筆で塗っていた私が
「あんたがやっていたことは意味ないよ」
って言われてる気がした

私の後続の子はエロゲーの原画家が多くて
エロゲは全年齢で家庭用に移植され、次々とアニメ化していった



中には私の絵に影響を受けた絵柄の子もいた
私はとても焦っていた

負けるもんか!


それで私はデジタルに移行した
もうこのカラーインクを使うことは2度とないんだ
そう思ったら涙がボロボロ流れてた

あんなに頑張ってきたのに!
あの技術はもうリセットされてしまったんだ
また一からやり直しじゃないか!



それから20年ほど経って
私はアナログとデジタルと、両方の手法で絵を描いて
何も失っていないし、犠牲になってるとは思っていない

AIが出てきて、私は2度目の価値観がひっくり返る経験をしている

でも大丈夫、私はもうあの衝撃と落胆と、悔しさを経験しているから


デジタルの波は常々そう言うことが起こるらしい
エンジニアの人は常に経験している
今まで使っていた技術が新しいものに切り替わって行く瞬間を
いや、もしかしたら他の業種の人も


AIは「絵を描く」と言う工程ではないが
画像を生成している

でもいずれそう言う機能に近いものは順次に導入されていったんではないか

そもそもデジタルというもの自体がテクノロジーの産物なのだから



でも、「絵を描く」ということ自体は無くなってはいない

意味がなくなったわけじゃない


意味は、自分で見つけなければならないんだろう




2024/06/02
七瀬葵

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