こたつはなぜドイツで浸透しないのか
最近は連日最低気温が10℃を下回っているこの街。ネットでこたつの写真をみては悶える生活を送っています。なんといっても足元が寒い。
しかしドイツでこたつをゲットするのは残念ながら不可能です。日本で買って持ってくるにもそもそもボルトが違いすぎる。変圧器も使えません。
今年も日本は改良を加えて新しい機能をそなえたこたつが出ているそうですね。
1人用のこたつが25000円、4人用でも3万円強なんて今すぐにでも欲しい。本当にうらやましいです。
あまりにもこたつに悶える私をみて夫が、来年はこたつを手作りすると言ってくれました。夫にこたつの中の写真を見せると造りは非常に単純でドイツでも十分にできるそうです。(夫は電気系の専門)楽しみです。
☆☆
ところで、ドイツの電気屋さんでこたつが並ぶ可能性はゼロです。完全に言い切れるぐらいゼロです。イケアでこたつが見られる日なんて来るわけがないです。
なぜならドイツ文化圏に生きる人にとって家の中で地べたにすわるという行為は考えられないからです。さらに食事となればもっと考えられません。想像もしたことがないでしょう。
とにかく床に直接座るという発想がないんですね。現地人は座るといえば椅子かソファの二択以外にない、と頑なに決めているようです。
とはいえ、我が家は違うやり方をしています。
私たちが今住んでいるアパートはあまり広くないために、色々考えた末にベッドと椅子つきのテーブルをあきらめて日本式のふとん+床に座る高さのテーブルにすることにしました。
折り曲げれる布団にいつでも簡単に移動させられるテーブル。これで用途に応じて広く快適に部屋を使う作戦で、2人で住む分には不満なしです。
しかし。
厄介なのは友達や義両親がたずねて来た時。
若い友達や日本の文化に親しんでいる友達は床に座ることに抵抗を感じない人も多いですが、やはり違和感があるようです。また疲れているときや酔っぱらったときなどは床に座ることが苦痛なときもあるようで、その時は勉強机の椅子に座っています。
少し年配の人にいたっては床に座ることはもっと考えられないらしい。
義両親がうちに尋ねてくるときは折り畳み式の椅子を持ってきて部屋で広げ、そこに座ります。食事のときも椅子に座ったまま、手にお皿を持って食べます。
義両親は最初、私たちが食事用の椅子を買わないことについて猛抗議しました。それぐらい彼らの常識では考えられない選択だったのです。
しかしこれはドイツの文化を考えれば当然のこと。
ドイツの家では基本的に玄関で靴を抜いてスリッパなどに履き替えて家の中に入ります。が、日本の家のように完全な境界線がありません。
たとえば外出時に靴を履いたあとに忘れ物に気づいたとき、彼らは何の違和感もなしに靴のままもう一度家の中に入っていきます。また最近掃除をしていない、などの理由があるときに訪問すると
「今日は靴のままで入ってね」
と言われることもあります。
“今日は”って何!?
このように基本的には靴をはいて家の中には入らないけれど、時々靴を履いて家の中をうろうろしても別にいい、という考えなんですね。
なので床はソファの上とは全く違うレベルという感覚があるのですね。こういう理由からこたつがいくら便利でも、足元が効率よく温められても、ドイツでは浸透しないのです。
しかし来年の冬にドイツにまだ住んでいれば、夫の手作りこたつができるようなのでそれを楽しみに今年の冬を乗り越えたいと思います。
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