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フランス人サッカー選手の人種差別発言

フランス人のサッカー選手の人種差別発言が話題になっていますね。いくつかニュースを読み、実際に問題になった動画を見て見ると、翻訳が適切でない記事もあるように感じました。

動画の内容についてはYoutuberのbebechanの解説が一番わかりやすく、私の受け取ったフランス語の感じに近い翻訳です。


こちらのアマンディーヌさんはデンベレとグリーズマンが投稿した謝罪文を日本語に翻訳してくれています。


差別発言もさることながら、この謝罪の程度の低さに驚きました。


”こういう言葉遣いは日頃から友達ともするし、相手のオリジンに関係なく使う言葉で、特定の人種を差別している訳ではない。だから差別はしていない”

という言い訳。

相手の目の前で相手の分からない言語でからかって、しかも映像に撮るって、差別である上に、とても下品な行為。そもそも自分のために何かやってくれている赤の他人に対して友達をからかうようにからかうってのがすでに不躾な行為で、それがわからないというのが非常に残念。これじゃあ謝っているように見せかけて謝っていない謝罪な上に、自分は相手の人種にかかわらず赤の他人のことをあざ笑っいるだけなんですよって、自分は下品な人間ですよって言っているのと同じで、恥の上塗りなんじゃないだろうか。それに発言内容だけでなく、話す態度も重要です。デンベラの話し方は明らかにからかっていて、不愉快。


多分デンベラもグリーズマンも自分の言ったことは悪いことだと全く思っていないのでしょう。だからこう言う謝罪文を投稿できる。パリに住んでいてこういう人に出会うこと、あります。Youtuberのbebechanもアマンディーヌさんも、こんなフランス人ばっかりじゃないですよって言ってくれていて、もちろんその通りです。でも、フランスにいると差別を受けたり、冗談だと言いながらからかわれることはあります。薔薇色のパリを思い描いてやってきて、落ち込んでしまう人も多いようなので、差別については移住する前に知っていて損のないことだと思います。100人の素敵な出会いがあっても1人の心ない言葉に傷ついてしまうことがあります。差別されることについて知っておいたり考えておくことで、心に防御クッションが作られるかと思います。それに、日本に住んでいたときは差別についてあまり考えることがなかったけれど、差別はどこにでもある。自分だって日本で少数派の人たちの存在を無視しているかも知れないと考えるきっかけになるかと思います。


パリに住んでから、いろいろありました。

私が喋る度に日本語訛りのフランス語を真似してからかってきた人。差別だし不愉快だと注意すると、「冗談に決まってるじゃん〜つまんない奴!俺には日本人の友達だっているし、差別なんかする訳ないじゃん!」と、自分は悪くないかのように言ってくる。こういう人にはどう対応をするのが正解なのか、難しい。自分は面白いと思ってやっていることが相手に対しては失礼になることがある、と言う内省が働かない人には説明しても骨折り損でげっそりすることが多いです。

道を歩いていて「国に帰れ!」って言われたこともありました。

そういえば、パートナーと一緒に夜散歩をしていたら、差別的なことをブツブツ一人で言っている頭のおかしな人に、彼が後ろから殴られたこともありました。

けれどもちろんフランス人全員が差別主義者ではありません。私が外国人だからこの地では差別的な経験をする機会があると言うだけ。どこの国でも心温まる出会いがあれば、不愉快な経験をすることもあるのは同じこと。

東京でフランス人の友達3人と居酒屋に入ろうとしたら、2軒続けて外国人はお断りって言われたことがありショックでした。パリ在住の日本人に「アラブ人は全員犯罪者だから気をつけた方がいい」と言われて唖然としたこともあります。


もうすぐフランスに住んで6年だけど、いまだに差別的なことに出合ったとき、どう対応するのが正しいのか、わかりません。嫌なことを言われたら、その場で相手にガツンと言い返して後腐れなく対応できればストレスが少ないと思う一方、日本語でも喧嘩瞬発力が低く、フランス語で咄嗟に言い返すのはさらに困難です。話を聞いてくれる人には説明もできるけれど、差別的な発言をしている人は、自分が差別発言をしていると思っていないことが大半だと感じます。だから差別をなくすのは難しい。

せめて嫌な経験は、自分も相手に同じことをしていないか、振り返る一助にできればな、と思います。せっかくの嫌な経験なので、無駄にはしたくない、ではないですか。自分も同じことをしていないか、考えます。


差別意識って言うのは多かれ少なかれ、誰の中にもあるものだから、程度によるけれど、差別発言をしたからと、すぐに揚げ足を取るのはどうかとは思います。私も差別発言をすることがあるでしょう。だからあんまり他人に対して厳しくなれません。特に、自分では失礼と思わずに相手に対して失礼なことを言っていることがあるのは間違いないと思います。差別しようと思って言っている訳でなく、無知な場合もあるでしょう。

しかし大事なのは、指摘されたときに自分の発言が間違っていたと認められるか、間違っていたなら反省できるかということ。自分の発言が間違っていたと思わないなら、どうして相手に誤解を与えてしまったのか自分の発言を客観的に振り返ること、そしてたとえ納得できないときでも自分とは異なる考え方や見方があるということを理解しようとすることが大事なのでは、と思います。


フランス人の知人から真顔で「日本に行ったとき、みんな同じ顔でびっくりした!友達の顔、見分けられるの?」って聞かれて度肝を抜かれました。私にはフランス人がみんな同じ顔に見えるよって言うと、彼も度肝を抜かれていました。人種に関わらず、見慣れていないタイプの顔立ちは、違いを認識するのが難しいのでしょう。

一度コートジボワール人の知人と一緒にいたときに、たまたまガーナ人がやってきました。初対面のふたり、しばらく話してから「もしかして、ガーナ人?あー!やっぱりー!」「そっちはコートジボアール人だよね?そうだと思ったー!」と盛り上がっていました。顔か、フランス語のアクセントか、服装か、手振り身振りの違いなのか、どうやってふたりがお互いの出身国を判別したのか、私には全くわかりませんでした。自分は今までアフリカのこと、アフリカってひとくくりにしてて、それぞれの国の違いについて知ろうともしていなかったな、と気づいて恥ずかしくなりました。

中国と日本のことがあべこべな人は結構います。一人っ子だと言うと、一人っ子政策だよね!と言われたり。でも私もフランスの政策のことを知らないし、お相子かなと思います。日本人だったら、中国語もわかるよね!って言われることが多々あるのは、フランス語がスペイン語やイタリア語と似ているので、日本語と中国語も似ていると思うからかもしれません。

中国人と間違えられることは多いけれど、見た目の違いがわからないのは仕方がない。私も中国人と日本人を見分けられないし、スペイン人とポルトガル人も見分けられません。

「フォークとナイフ、使える?」と聞かれたときは、馬鹿にされているのか!?と思ったけれど、私も今まで「お箸使える?」と尋ねていました。パリはお寿司屋さんやラーメン屋さんが繁盛していて、問題なくお箸を使える人が多いです。私が親切心で尋ねていたように、あの人も気を使って聞いてくれていたのかも知れません。


他人のふり見て我がふり直しつつ、しかし理不尽な言動を受けた時には瞬時に毅然と対応できるようになりたいものです。



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