マガジンのカバー画像

仏蘭西生活記

51
フランスに住んで考えたこと、気づいたこと
運営しているクリエイター

#写真

スマホのカメラが目となり、記憶は共有され存在が伝播する

現在パリではファッションウィークが開催中です。先日とあるブランドのショー会場の裏側でルックブックを撮影する仕事のアシスタントに呼んでもらいました。せっかくなので仕事の間にショーを覗かせてもらいました。 コロナの影響もあってか、招待客の少ない小規模なショー。その代わり誰もが最前席に座れるようになっています。音楽が大音響で流れ、モデルが登場し颯爽と歩き出します。 しばらく眺めていて気がつきました。自分の目で、目の前を歩いているモデルと服を見ている人のなんと少ないことか。ほとん

奪取すること、写真の暴力性

何度か一緒に働いた駆け出しフォトグラファーと話した時のことです。彼はニット帽ブランドの写真を撮る仕事を定期的に行っていて、夏のバカンス中にアフリカ3カ国を回って写真を撮って来たと言います。ニット帽とカメラを鞄に詰めて、ひとりでアフリカへ。現地で通訳ガイドさんを雇って旅をする。旅の途中で出会った人たちにニット帽を被ってもらって写真を撮らせてもらったのだとか。 これを聞いたとき、なんとなく、咄嗟に、モヤっとしました。嫌だな、とまで断定はできないのだけれど。 写真を撮らせてもら

パリコレで感動したこと : 写真を撮る意味

ファッションウィークでストリートスナップを撮り始めたときのこと。今でも忘れないことがあります。 2016年。ドキドキしながらカメラを抱え、ショー会場に向かいました。 会場前はひどい人混みです。有名なファッション雑誌にスナップ写真を撮っているカメラマンたちがいます。そしてそれ以上に多くのアマチュアカメラマンやインスタグラマーたちで溢れかえっています。そこに招待客や時にはボディーガードなどが混ざり合って、会場辺りは大変な騒ぎになります。 その中に、一際キラリと光るカメラマン