『サラバ!』 思いがけず自分の嫌ったらしさを発見する
長編小説の世界にどっぷり浸っていると、凝縮された広大な時間を漂うような、独特の快感があります。『サラバ!』は大変読みやすく、勢いよくページをめくることのできる長編でした。
問題ある家庭の物語に特別惹かれます。どうしても他人事として読めないのは、物語の中に無意識のうちに解決策を求めているからでしょう。完璧な家庭なんてどこにも存在していなくて、いかにも幸せそうに見える家族にだってその人たちの間にしか分からない悩みがあるのだと思います。でも家族というテーマあまりにも近すぎて、実生