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カゴ落ちとは?ECサイトのカゴ落ち原因と対策10選

ECサイトの集客はできているが商品の購入までに至らない場合や、一度は商品を購入してはくれるが、その後、リピートしてくれないなど、ECサイトの売上が伸びずに悩まれている事業者が多くいるかと思います。

その中でも、ECサイトのカゴ落ちは売上に大きな影響を与えています。そこで本記事では、ECサイトのカゴ落ちにつながる主な原因とその対策を紹介します。

カゴ落ちとは|ECサイトのカゴ落ち率と機会損失額

ECサイトにおける「カゴ落ち」とは、ユーザーが商品をカートに入れ、購入手続きに進んだものの、何らかの理由で商品の購入を完了せずにECサイトを離脱してしまうことを指します。

Baymard Institute社(アメリカ)の調査資料「49 Cart Abandonment Rate Statistics 2024」によると、ECサイトのカゴ落ち率の平均値は「70.19%」というデータが出ています。

また、株式会社イー・エージェンシーの調査資料「ECサイト、売上の約2.5倍がカゴ落ちによる機会損失 ~ イー・エージェンシー」によると、ECサイトのカゴ落ち率の平均値は「68.2%」という調査結果となっています。

さらに、こちらの調査レポートでは、カゴ落ちによる機会損失額は、売上の約2.5倍にのぼり、特に2・3月の機会損失状況は高く、最高3.1倍となっています。

これは、ECサイトにとって大きな機会損失となり、深刻な課題となっています。

カゴ落ちする10つの原因

カゴ落ちする原因はさまざまあります。一つひとつ原因を突き止めて対策することで売上に繋がっていきます。Baymard institute社の統計データをベースに、カゴ落ちの原因について紹介します。

Reasons for Abandonments During Cart & Checkout (2024 data)

引用元:Reasons for Abandonments During Cart & Checkout (2024 data)

  1. 48 %:送料、税金、手数料が高い

  2. 26 %:サイト内でアカウントの作成を求められる

  3. 25 %:サイト内のセキュリティが信頼できず、クレジットカード情報を入力できない

  4. 23 %:商品の配達がとても遅い

  5. 22 %:決済までの手順が複雑/長い

  6. 21 %:注文の合計金額を事前に確認/計算できない

  7. 18 %:返品対応に不満がある

  8. 17 %:ウェブサイトにエラーやクラッシュが発生する

  9. 13 %:決済方法の選択肢が十分ではない

  10. 9 %:クレジットカードが拒否される

このようにカゴ落ちの理由には、ECサイトの使い勝手から、購入や支払いの手続きに関わること、サイトの信頼性に至るまで、さまざまな要因があります。カゴ落ちを防ぐには、これらの課題を一つひとつ改善していく必要があります。

分析ツールを利用しカゴ落ちする原因を特定すると良いでしょう。ECサイト内の機会損失額の合計がわかることや、ツールによってはカゴ落ちが多い商品、離脱率の高いページなどの特定することができます。

ECサイトのカゴ落ち対策10選

ECサイトのカゴ落ちする原因が分かれば、あとは対策を練るだけです。ここでは、効果的なカゴ落ち対策について紹介します。

1.送料や手数料は無料OR商品の購入前に明確にする

送料や手数料は、可能であれば無料にした方が商品の購入につながりやすくなります。扱っている商品によっては難しい場合があると思います。その際は、購入手続きの前に送料・手数料がいくらかかるか、ユーザーに明確にお知らせすることをおすすめします。

事前にわかっていれば、送料を理由に途中で手続きをやめたり、保留にしたりすることはなくなります。送料がかかる場合は「〇〇円以上買うと送料無料」というような特典があると、購入額のアップにもつながります。

2.会員登録なしで商品を購入できるようにする

ほとんどのユーザーは会員登録に前向きではありません。特に、初めて商品を購入するECサイトなら、なおさら抵抗感は強まります。そのため、会員登録がなくとも商品が購入できるフローを提供することをおすすめします。

個人情報を入力しなくとも欲しい商品が手に入るとわかれば、商品を購入してもらえる確率は高まります。しかし、ECサイトを運営していくうえでは、顧客一人ひとりと長くお付き合いできる関係を築きたいです。

その際に、有効的な施策として、クーポン配布やポイント還元施策が効果的です。会員登録をしたら、すぐに使えるクーポン配布やポイント還元率が倍になるなどのメリットをユーザーに提示することで会員登録のハードルを下げることができます。

また、会員登録の手順を簡略化し、登録しやすくするフォームを制作することも大切です。

3.ECサイトの安全性やセキュリティ対策を行っていることをアピールする

ユーザーが安心して商品を購入できるECサイトにするには、サイト管理とセキュリティへの取り組みが欠かせません。

サイト管理では、掲載情報を定期的にチェックし、リンク切れに限らず管理不足を連想させる部分があればすぐに修正することが重要です。

セキュリティ対策では、サイト全体を常時SSL対応させて、ブラウザの警告が表示されないようにすることが基本です。その際に、セキュリティに関する多少の知識が必要になるほか、SSLサーバー証明書の取得が必要になるケースもあります。

セキュリティへの取り組みを開始したら、その内容について説明するページをサイト内に設けることでユーザーの安心感は高まります。また、Amazon Payなどの決済代行サービスとの連携は、自社管理しなければならない個人情報を減らせるため、セキュリティ面でもメリットがあります。

特に、個人情報の入力を省略できる決済方法について、サービス導入を検討することをおすすめします。

4.配送方法の選択肢を増やす

配送方法の選択肢を増やすことでカゴ落ちを対策できます。特に検討したい配送方法は「お急ぎ便」です。商品の到着が遅いことでユーザーへのストレスが溜まり、リピート顧客を減らす要因となります。

また、受け取り方法も複数の選択肢があることでユーザーの利便性が向上します。仕事が終わるのが遅い人などは、宅配ボックスが自宅にないと平日に受け取るのが難しく、購入をためらってしまう可能性があります。

そのため、宅配ロッカーやコンビニで受け取りができる選択肢があることをおすすめします。

5.商品購入までのステップを簡略化する

購入フォーム画面を改善し、決済完了までのユーザーの手間を減らすことで離脱率の防止になります。購入画面のページ数を必要最小限にし、画面遷移数を減らすことをおすすめします。

また、購入フォームの総ステップ数や残りステップ数を可視化することで、フロー全体のうち今どの段階にいるのかをユーザーにわかりやすくすることで入力途中でも離脱を防ぐことができます。

加えて、入力必須項目はできる限り簡単に入力できるようにしましょう。例えば、郵便番号から住所を検索できることや、氏名を記入すると自動的にフリガナが入るなどの工夫があります。

こだわりのデザインにすることよりも、老若男女問わず誰にでも理解しやすいフォームにすることが重要です。

6.決済前に合計金額を確認できるようにする

決済前に合計金額を確認できることでカゴ落ちの発生率を減らせます。毎度、決済画面まで行かないと合計金額が分からないシステムは、ユーザーにとって利用しづらいECサイトです。

上限予算が決まっている買い物の際は、決済画面まで進み、予算オーバーしていることでカートの商品が減ることや、買い物自体を取りやめるなどのカゴ落ちの原因につながります。

事前に合計金額が分かれば、決済画面に行く前に商品をキャンセルせず、商品の変更するなどして対応ができます。また、事前に合計金額を知らせる他、商品説明欄に送料の明示を行ったり、税込価格であることを明示すればより金額の把握がしやすくなります。

ユーザーにとって使いやすいサイトにすることが重要です。

7.返品交換の条件を明確にする

返品ポリシーを分かりやすい箇所に明示することでカゴ落ち対策になります。顧客は、商品に不備があったときに返品できるかどうかを気にしているからです。特に商品が高額であればあるほど、返品ポリシーの記載は重要になります。

また、サイズが合わないときや、思っていた商品と違ったときに商品の返品や交換ができるなど、ルールを設けて置くことでトラブルの軽減になります。

8.ECサイトの改善やサーバー強化を行う

エラーやクラッシュなどでユーザーが離脱しないようにECサイトの改善とサーバー強化することをおすすめします。

エラーの内容をわかりやすくするとともに、対処しやすいタイミングで表示することが大切です。購入画面では、各ステップの入力フォームごとにリアルタイムでエラーを表示できるように改善しましょう。

確認画面に進んでからエラーを表示し、前のステップに戻って修正させるというフローはユーザーにストレスを与える原因になります。

クラッシュまでいかずとも、画面の表示スピードが遅いことでユーザーが離脱する原因となります。ECサイトでは、読み込み時間が0.5秒長くなるだけでコンバージョン率が7%悪化する場合もあるといわれています。

Google PageSpeed Insightsなどのツールを用いれば、サイトのスピードを計測・評価するだけでなく、読み込み時間を短縮するために必要な修正点についても提案してもらえます。

また、新製品の発売日やセールなどアクセスの集中が見込まれる場合には、サーバーの強化をしてサーバーダウンが起こらないように手を打っておくことも重要です。

9.決済方法の選択肢を増やす

世間一般的に利用されている決済方法をユーザーが選択できるようにしておくことをおすすめします。ユーザーは普段使っている決済方法のみで商品を購入することが一般的です。

そのため、ユーザーが普段使っている決済手段に対応していなければ、他のECサイトで商品購入を検討する可能性があります。クレジットカード決済はもちろん、後払い決済やキャリア決済、○○Payなど、様々な決済方法を揃えることでカゴ落ち対策につながります。

10.カゴ落ちメールを送る

カゴ落ちにもいくつかのケースがあり、時間がなくECサイトを離れたケースや、商品比較のために他ECサイトを見に行き保留になったケースなどがあります。

新規ユーザーの場合は、リターゲティング広告やダイナミック広告でECサイト内で閲覧した商品の再アプローチができますが費用もかかります。

メールアドレスが分かっているユーザーであれば、カートの中に入ったままの商品をリマインドするカゴ落ちメールを送ることで、再度購入を促すことができます。

まとめ

改めて、今回紹介したカゴ落ち対策についてまとめます。

  1. 送料や手数料は無料OR商品の購入前に明確にする

  2. 会員登録なしで商品を購入できるようにする

  3. ECサイトの安全性やセキュリティ対策を行っていることをアピールする

  4. 配送方法の選択肢を増やす

  5. 商品購入までのステップを簡略化する

  6. 決済前に合計金額を確認できるようにする

  7. 返品交換の条件を明確にする

  8. ECサイトの改善やサーバー強化を行う

  9. 決済方法の選択肢を増やす

  10. カゴ落ちメールを送る

ぜひ本記事の内容を参考に、カゴ落ち率の改善を進めてみてください。

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