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EC業界の最新トレンド!市場状況や今後の動向について解説

EC業界は毎年拡大を続けており、新しい販路の開拓先としても非常に有望な市場です。また、販売戦略のフレームワークや考え方が常に進化し続けています。

今回は、成長し続けるEC業界で何が流行っているのか、トレンドについて紹介できればと思います。

また、「EC業界 市場規模」についても記事にしておりますので、ご興味ある方はこちらも合わせてお読みください。

>>>【最新版】EC業界の市場規模とは?市場課題と今後の予測や動向について解説

EC業界とは!?

EC(Electronic Commerce)とは「電子商取引」のことです。
具体的には「ネット上における商品の売買」のことを指し、通販サイトでの物販・コンテンツ配信・予約サイト・オンライントレードなどが挙げられます。

代表的なECサービスは、「Amazon」「楽天」「Yahoo!ショッピング」などが挙げられます。

実店舗での買い物と違って、「好きな時間」・「好きな場所」で自由に買い物ができる手軽さがECの魅力の一つです。

「EC」については以下の記事で解説しております。ご興味ある方はこちらも合わせてお読みください。

>>>ECとは?ビジネスモデルの基本や成功ポイントについて解説!

EC業界の主なビジネスモデルや仕組み

EC業界のビジネスモデルは、大きく3つに分類されます。

  1. BtoC(企業と消費者間の取引)

  2. BtoB(企業間の取引)

  3. CtoC(消費者間の取引)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①BtoC(企業と消費者間の取引)

BtoC(Business to Consumer)とは、企業が消費者と商取引をする形態のことです。

「ECサイト」といえば主にBtoCを指すことが多く、Amazonや楽天市場などで企業から商品を購入するのもBtoCに含まれます。

ちなみに、メーカーが消費者と商取引を直接することをDtoC(Direct to Consumer)といいます。販売手数料や中間マージンをカットできるうえ、スピーディな商取引ができるというメリットがあります。

②BtoB(企業間の取引)

BtoB(Business to Business)とは、「メーカーとサプライヤー」「卸売業者と小売業者」のように、企業間で商取引をする形態のことです。

BtoBの中でも以下2種類あり、ECサイトを運営する目的によって使い分けがされています。

  • すでに取引のある企業しか入れない「クローズ型」

  • 法人の新規顧客の獲得を目指す「スモール型」

全体的にサイトの数自体は少ないですが、比較的単価が大きく、市場も年々伸びています。

③CtoC(消費者間の取引)

CtoC(Consumer to Consumer)とは、消費者間で商取引をする形態のことです。

いわゆる「フリマサービス」とも呼ばれており、メルカリやラクマなどが有名なサービスかと思います。個人が中古品や処分したいものをネット上に掲載し、それを個人が購入するといったものです。

リユース市場を土台としており、BtoBやBtoCと比べて小規模ですが、シェアリングエコノミーの浸透もあり今後も成長が見込まれています。

【国内】日本のEC業界の市場規模とEC化率

実際に日本のEC業界はどのくらい市場規模があるのか見ていきましょう。
経済産業省がまとめた「電子商取引に関する市場調査」では、各ビジネスモデルの市場規模が公開されています。

①BtoCのEC市場規模とEC化率


図1

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

2020年時点で、BtoCのEC市場規模は12兆2,333億円、EC化率は8.08%※1でした。

EC化率とは、「すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合」のことを指します。つまり、「ネットを通じて商品を購入した割合がどのくらいか」を示した指標のことです。

過去の推移を見てみると、EC化率は2013年から2019年にかけて、毎年およそ0.5ポイントずつ増えています。

直近では前年比で1.32ポイント増と、一気に2倍以上に成長しています。

その背景には、2019年12月頃にコロナが世界的に拡大し、在宅で買い物をすませるためにECの利用者が急増したことが挙げられます。

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

※1 BtoCのEC化率の算出対象は、物販系分野(家電、衣類、食品など)に限定されています。

②BtoBのEC市場規模とEC化率

図2

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

2020年時点で、BtoCのEC市場規模は12兆2,333億円、EC化率は8.08%※1でした。

★表:

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月
※1 BtoCのEC化率の算出対象は、物販系分野(家電、衣類、食品など)に限定されています。

③CtoCのEC市場規模

図3

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

2020年時点で、CtoCのEC市場規模は1兆9,586億円でした。ちなみに、CtoCはそもそもオンラインを前提とした商取引が多いため、EC化率の算出対象にはなっていません。

他と比べると規模はまだまだ小さいものの、フリマアプリが一気に普及し、個人でもECの活用が手軽になったことで、市場規模が急速に伸びています。

【海外】世界のEC業界の市場規模とEC化率

図4

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

世界のEC化率はどのくらいあるのかを見ていきましょう。

経済産業省の市場調査によると、世界全体のBtoC市場を合算したEC化率は、2020年で「18.0%」であり、今後もおよそ1ポイントずつ成長していく見込みになります。

一方で、日本のBtoC市場のEC化率は8.08%。世界全体から見ると、EC化率は決して高いわけではないことが分かります。

図5

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

グラフのとおり、中国と米国(アメリカ)が世界全体のなかでも圧倒的な市場規模を誇っており、イギリスが3位、日本は4位に位置しています。

なぜ、中国と米国(アメリカ)ではEC市場の巨大化が進んでいる理由として、人口が多くことやEC活用のインフラが整っているなどが挙げられます。

特に中国では、「現金よりもオンライン決済のほうが確実で安全」という見方が広まっており、露店でもオンライン決済しかできないケースが多くなってきています。

EC業界が右肩上がりで成長している理由

日本国内において、EC業界全体が右肩上がりでどんどん成長しているのには、大きく3つの理由があります。

  1. スマートフォン経由でのEC利用の増加

  2. EC事業者を支援するツールの登場

  3. 流行り病による需要増加

①スマホ経由でのEC利用の増加

図6

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月

スマートフォンからECを利用する層は、年々着実に伸びています。
2020年には、EC利用者の半分(50.9%)がついにスマホ経由となっています。

パソコンを起動し、欲しい商品を探して注文情報を入力して決済するよりも、手元のスマートフォンで自由に商品を購入するほうが手軽に商品を購入できる理由だと思われます。

また、インフルエンサーが勧める商品(ファッションやコスメなど)を買いたいという人は多く、若年層を中心にスマホ経由のECがさらに広がっています。

②EC事業者を支援するツールの登場

EC業界の消費者が増加とともに、EC事業者を支援するツールやシステムも年々増えています。

例えば、事業者独自のECサイトで商品を買う場合でも、Amazonアカウントを連携すれば決済情報を一から入力する必要がなく、ユーザーはシームレスな購買体験を行え、事業者はより売上を伸ばしやすくなります。

このように、売上拡大・業務効率化を支援するツールや機能が登場したことで、多くの事業者にとって参入の間口が広がりました。これがEC市場が拡大している要因の一つです。

③コロナによる需要増加

2019年12月頃にコロナが猛威を振るったことで、長期にわたって私たちの生活や働き方は大きく変わりました。

外出自粛やリモートワーク推奨など、自宅で過ごす時間が圧倒的に増えたことにより、巣ごもり需要が拡大。その結果、ECを積極的に活用する人が増加しました。

状況が落ち着けば、全体的に伸びは鈍化する可能性もありますが、これまでECを敬遠していた層を多く取り入れられたことで、今後も成長は拡大していく見込みです。

EC業界のトレンド

成長するEC業界のトレンドを押さえておけば、市場の動向を把握しやすくなります。

そこで、最低限知っておきたいECのトレンドについて4つ紹介します。

  1. DtoC

  2. 越境EC

  3. オムニチャネル

  4. ID決済

それぞれ簡単に紹介します。

①DtoC

「DtoC(D2C)」とは、メーカーが消費者と直接売買することです。

より運用・管理しやすいECツールが登場したことで、メーカーが自ら販売まで手掛けるケースが増えてきました。

大きな括りとしてはBtoCの一種といえますが、DtoCはその中でも「売り手が自社で開発・製造・販売まで行う」という特徴があります。

これにより、以下メリットが挙げられます。

  • 販売手数料や中間マージンをカットできる

  • スピーディな商取引ができる

②越境EC

「越境EC」とは、主に海外の消費者に向けて商取引をすることを指します。

国内の市場という枠を超えて、海外の巨大な市場規模に踏み入れることで、新たな販路拡大や売上増加を見込めます。

デメリットとしては、言語や文化、価値観、流行、法律、輸送手段、サポート体制やシステムなど、国内販売とは異なる点が数多くあることです。

日本では通用したことが、海外ではトラブルに発展するケースも少なくありません。

そのため、市場調査を念入りに行ったり、越境ECに対応したカートシステムを利用したりするなどの対応が必要となります。

③オムニチャネル

「オムニチャネル」とは、実店舗やネット店舗、SNSなどあらゆる販売経路(チャネル)を統合・活用する販売戦略のことです。

特に実店舗を持つ小売業界(食品やアパレルなど)において、オムニチャネル化が進んでいます。

今では多くの人がスマホやSNSを利用し、店舗やECサイトなど、さまざまなチャネルを横断するようになりました。購入までの経路やタイミングが多様化することによって、消費者が買いたいと思ったタイミングで商品を購入できるという仕組みが求められています。

そこで登場したのがオムニチャネルであり、競争の激しい小売業界を筆頭に、徐々に各ECサイトでも導入が進んでいます。

④ID決済

「ID決済(◯◯Pay)」とは、アカウント情報を連携させてスムーズに決済ができる仕組みのことです。

具体的なサービスとしては、PayPay・Amazon Pay・楽天Pay・LINE Payなどがあります。

決済時に情報を入力する手間が不要となり、ユーザーにとって利便性が高い決済方法です。クレジットカード情報の入力なども不要なので、セキュリティ面の不安も払拭できます。

EC事業者にとっては決済手数料の負担がデメリットになりますが、ID決済を利用するユーザー数が急成長しているため、ぜひとも導入しておきたいところです。

EC業界の今後の展望・予測

EC業界は年々拡大を続けており、今後もますます成長を続ける見込みです。

実際、スマートフォンの普及により「スマートフォン経由でのEC利用者」はすでに半数を占めており、ECでの買い物がより身近な存在となっています。

また、事業者にとってECは実店舗よりもコストを抑えやすく、運用・管理しやすいツールもどんどん登場しています。

このように、利用者・事業者どちらの観点からみても、今後もEC市場は拡大することが予想されます。

ただ、

  • 配送部分の料金負担がかかる

  • 宅配業者の人手不足ですぐに商品が届かない

など、物流面で特に大きな課題があります。

物流の課題に対して、近年ではドローンを使った配送がテストが実施や置き配が徐々に普及したりなど、物流面の改善に向けて施策も進んでいます。

このように物流問題が一つずつ解決できれば、配送コストが減ってEC市場はさらに成長が期待できるでしょう。

EC事業者が抱える課題と解決策

EC業界が成長を続ける一方で、実際に参入したもののうまくいかないという企業は多く、即離脱してしまう企業もいるかと思います。そこでEC業界参入後、直面する課題とその解決策について紹介します。

  1. ECサイトへの集客に苦戦している

  2. 商品の魅力・価値が伝わっていない

  3. リピーターやファンになってもらえない

  4. セキュリティ面に不安を感じている

①ECサイトへの集客に苦戦している

ECサイトを公開しても勝手にユーザーはサイトに訪れてはくれません。「お客様が来たらいいな」と、のんびり待って集客数は増えません。こちらから積極的にユーザーへアプローチすることや、集客導線の設計を行うことがことが大切です。

しかし…

  • 検索結果からの流入を狙うSEOは、一朝一夕で成果は出ない

  • Web広告をする場合、費用がかさむ

など、ユーザーを集めるだけでもコスト(時間・費用など)がかかります。そのため、なかなか集客がうまくいかずに苦戦している企業は多いです。

②商品の魅力・価値が伝わっていない

ECサイトは実店舗と違い、ユーザーは商品を直接手に取って購入するか否かを判断することができません。

そのため、商品画像や説明文などを頼りに、自分に合う商品かどうかを判断する必要があります。

つまり、商品を実際に購入してもらうためには、商品の魅力を伝えるための工夫が重要となります。

具体的には、

  • 商品画像を多く用意する

  • 動画も活用して商品説明をする

  • 商品の雰囲気にあったデザインにする

など、商品ページの作り込みが売上を左右します。

③リピーターやファンになってもらえない

新規ユーザーを集めて販売を繰り返すだけだと、毎回コストがかかって売上が伸びにくいです。

それよりも、実際に購入した顧客にアプローチをし、リピーターとして再度購入してもらう方がよりコストも手間も少なくて済みます

  • 購入後のアフターフォロー

  • ポイントや会員ランクに応じた優遇サービス

など、リピート購入していただける施策を行いましょう。

ちなみに、リピーターを増やすうえで特に効果的な方法が「CRM(顧客関係管理)」です。

④セキュリティ面に不安を感じている

運営しているECサイトから「個人情報の漏洩」が起きた場合、

  • 賠償による経済的ダメージ

  • 長期的なブランド棄損

につながり、危機的状況に陥るおそれがあります。

そのような事態を避けるためにも、売上の拡大だけに目を向けるのではなく、安定的にサイトを運用するための仕組みや体制づくりが欠かせません。

また、ECのシステムに脆弱性があれば、ハッキングや情報漏えいの被害にあうおそれがあります。

実際、過去には個人情報が流出する事故も多数起きており、なかには約14万件のカード情報が漏えいしたケースもあります。

そのため、ECサイトを構築する際には、サイトそのもののセキュリティ対策は万全かを事前に必ずチェックしましょう。

まとめ

改めて、本記事のポイントをまとめになります。

  • ECとは「電子商取引」のことであり、ネット上で商品を売買すること

  • 代表的なECサービスは、「Amazon」「楽天」「Yahoo!ショッピング」など

  • BtoC、BtoB、CtoCにおいて、市場規模やEC化率は毎年成長している

  • 成長の理由は、スマホの普及やEC事業者を支援するツールの登場など

  • EC参入で成果を上げるためには、自社にあったサイトの構築がきわめて重要

EC業界の市場や動向を押さえる参考として、本記事が役立てば幸いです。

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