桜と楓・続 【物語(小)】
秋(続き)
社を建てる時は、木を植える。20年後30年後の、建て替えの時に使うために、大切に育てておくのだ。木々は土地の氣を受けて、鎮守の森となる。
20年30年ごとの建て替えで、職人たちの技は継承される。
お社の古い木材は、山ノ上の新しいお社になるそうだ。建て替えで出るそこの古い材木は、村の学校になる。
「次々、忙しいですね。」
と言うと、徳さんは、
「あぁ、ええ事じゃ。わしの息子もようやく、仕事ができるようになる。腕もあがりゃ、役に立つようになるじゃろう。」
と微笑む。