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授業がうまくいかない理由は〇〇○だ

1年生担任として日々奮闘している。
基礎基盤というものがないのが1年生。
そのため、1年生は全て0から始めねばならない。
今までの授業がいかに基礎基盤に支えられていたのかということを実感する。

幸い、勤務校にはプロフェッショナルの先輩がゴロゴロいる。
授業に入り込みしていただいて、自分の授業を分析してもらった。
するとこのようなことを教えていただいた。

授業がうまくいかない理由は大きく分けて2つ。

①子どもたちがわかっていないのに授業のテンポが早い
②子どもたちがわかっているのに授業のテンポが遅い

つまり、授業がうまくいかない要因は子どもたちの実態と先生の授業を進めるテンポが合致していないということだ。

他にも環境的要因(騒音や気温など)や教師と子どもの関係性、児童個人の特性などもあるが、柱となるのはこの2つ。

授業は変化のある繰り返しだ。
国語でも算数でも、授業の内容が違うとはいえ、ある程度同じ部分があるはず。
特に算数などは、教科の特性上、例題→類題→練習問題と進むことが多い。内容としては例題も類題も練習問題もほぼ同じだ。そのような同じことの繰り返しをどのようにして子どもたちに教えるかが肝である。

授業のスピード感には、以下の3つが関係する。(谷和樹著「授業のベーシックスキル7+3」に詳しい)
①テンポ
②リズム
③緩急

①テンポ
テンポとはスピードだ。「上手い授業は速い。」とは谷氏の言葉だが、まずこのスピード感が重要。遅い子に合わせていつまでも待っていると空白の時間ができる。この空白の時間によって本来賢いはずの子が、集中力的に脱落する。それでも賢い子はついて来れるが、中間層の6割、そして授業が難しい2割、つまり全体の8割が脱落する。すると授業はつまらなく、だれてくる。

②リズム
リズムとは切れ。どこまでを一気にガーっと進め、どこでピタッと止まってチェックを入れたり、足並みを揃えるか。
例えば、例題を一気にガーっとやってしまう方法もある。それこそ自由進度学習だと称して、例題から子どもたちに丸投げする方法もあるのかもしれない。
でも、どこかしらで必ずチェックポイントというか、最低限のハードルを設けなければならない。終わった人には補充問題をさせて時間調整をさせて、遅い子を待って、全員終わったところで「一旦鉛筆を置きなさい。モニターを見ます。」とか。きっちり揃えるタイミングを作ることで、わからなくて脱落してしまう子を防ぐ。
ただ、このリズムが切れすぎると不快だ。先に進みたいのに先生がすぐに止める。これは授業が楽しくなくなるだろう。逆もまたしかりで、リズムの切れがなさすぎると分からない子がどんどん脱落していく。こちらも楽しくない(全体として進んでいるし7〜8割ができていると見落としがちだが)。
ちょうどいいリズム。程よく切って、程よく流す。この辺りは先生の肌感覚もあるし、教材によるところもある。教科による違いもある。

③緩急
テンポでスピードと書いたが、速いだけがいい授業なはずがない。時にはじっくりゆったり時間をかける必要がある部分も出てくる。
(算数の話だが)当然、例題からスピードマックスでやったら賢い子しかついて来れない。例題はゆっくり丁寧に。類題で同じことは少しずつ言葉を省いてテンポを上げる。練習問題ではさらにテンポアップ。テンポを上げるタイミングと下げるタイミングを見極めないと授業は停滞する。
難しくてゆっくりの方がいい時に速いとついてこれない。
簡単でさっさと進みたい時に遅いと集中力がもたない。

もちろん、発問だったり指示だったり、そうした部分を磨くことが重要だが、そちらはかなり難しい。先行実践も多くあるのでそちらをまず真似するのが早いだろう。言葉ならば、まだ真似しやすい。
しかし、授業のテンポに関しては、真似がしづらい。
だから、自分でどこをテンポアップするか、ダウンするか、これを見極めておく必要がある。これが教材準備の格になる部分だと思う。
おそらく慣れてくれば、このテンポ感は準備せずともできるものだと思う。
が、初めての学年、初めての教材でテンポの準備なく進めることは難しいだろう。

私は、以下のように授業準備をしている。(この時は、教科書に練習問題が少ないのでプリントで学習した)

雑なメモで申し訳ないが、授業準備はみんなこんなものではないかと思う。
1年生の難単元「いくつといくつ」。
実際に授業ではこれを見ながらやるわけではない。
実際の授業でメモの通りにやったこともあるし、飛ばしているところもたくさんある。大事なのは、「丁寧に」から、「言葉を削ってテンポアップ」という流れを意識すること。何が削っていいもので何が削ってはいけないものかを判断しておくこと。これを事前に書き出しておくと授業で判断がつきやすくなり、失敗が減る。
低学年であればあるほど、教えている内容の量が少なく、シンプル。
それゆえに、テンポがうまくいかないと授業がうまくいかない要因になりやすい。

授業準備とは、授業を流せるように用意しておくことだ。
どこで確認をして、どこで子どもたちに思考させて、どこで支援を入れるか。
発問とは別次元の話で、まずこの「授業を流す」がうまくいかないと授業が成立しない。授業が面白くないから、ますます子どもたちは話を聞かなくなる。

私は1年生の担任をしているわけだが、初めての1年生には衝撃を覚えることが多い。
これだけ意識してもどうしても授業が「もったり」してくる。できる子とできない子の差が非常に激しく、時間差が絶対的に生まれるからだ。
どうしようかなぁと思い悩んでいた時に、先輩から教えてもらった言葉を紹介して終わることにする。

「1年生はどうしても”もったり”する。それは半ば仕方ないことと思っていい。」
「空白禁止は大切な原則ではあるが、多少待たせることも大切な勉強。」

授業が上手い人でもそう考えているのだと思うと少し安心した。
やっぱり授業は論だけでなく、教室の実態があってこそ。
基礎基本の上で感じる教室の肌感覚は、大切にすべきポイントだと思う。

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