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VHSのツメを折る

今の若い世代の中には、最早見たことも無いという人も多いのかもしれません。

DVDやハードディスクが世の中に浸透する以前は、テレビ番組等を録画するのはVHSの役目でした。


VHSの特徴として、ビデオの規格を原則として変えないことがあり、発売当初録画されたテープは現在流通しているデッキでも再生できます。

テープは幅が1/2インチのカセットタイプで、標準録画時間が120分でした。

技術の進歩によりテープの長尺化が進んだ結果、現在は240分が最長となっているようですが、そもそもVHSを町中で見掛ける機会は皆無に等しい状況となった現代において、手に入れるための手段は主にネットショッピングぐらいかもしれません。

カセットテープと同様にVHSにもグレードに応じた種類が存在し、S-VHSというカセットテープでいうところのハイポジ的なものが登場してからは、従来のVHSを識別のため「ノーマルVHS」と呼んだりもしていました。


DVDの普及以前は単に「ビデオ」といえば通常はVHSのことを指すものであり、関連企業も商品説明等でVHSの意でビデオという単語を用いていましたし、VHSデッキを指して「ビデオデッキ」と称するのが一般的でした。

VHSのハードの普及台数は全世界で約9億台以上、テープに至っては推定300億巻以上といわれています(凄い!)。

前置きが長くなりましたが(まだ本題やなかったんかい!)、タイトルにあるVHSのツメを折るとは、一度録画したVHSに上書きされないようにするための機能でした。

一度上書きされてしまうと、元に戻すことは出来なかったので、絶対に上書きされたくない場合は、写真のようにVHSのツメを折る必要がありました。


但し、ツメを折った箇所をセロハンテープなどで塞ぐだけで録画可能になったため、完全防備というわけではありませんでした。

それから、市販の録画用VHSには必ずタイトル用のラベル(シール)が付いていました。

上書きを想定してか、1本のVHSに対し数枚のラベルが付いていましたが、上書きする度に画質が荒くなってしまうため、当時10代~20代の私は生意気にも『絶対に上書き録画はしない』と変な拘りを持っていたため、予備のラベルを使うことはありませんでした。


また、青少年の中には、アダルトビデオをダビングしたものや、深夜に放送されていたギルガメッシュナイトやイレブンPMを録画したVHSを、家族に中身を気付かれないようにラベルを貼らずに引き出しの奥等に潜ませていた人も多かったのですが、『ラベルを貼っていない』『なのにツメは折っている=保存用』『コソコソと隠している』の3拍子が揃っている時点で怪しさ満点ですので、彼らのご両親にも確実にバレていたのではないかと思います(笑)

ダビングについてもう1点。
現在のDVDやBlu-rayは、コピーガードが付いていて簡単にコピー出来ないようになっていましたが、DVDが登場したばかりの頃はコピーガードが付いていない作品の方が多く、TSUTAYAでレンタルしてきては、DVDをVHSに一生懸命ダビングした結果、テレビ台の収納スペースがVHSでパンパンになってしまったのも、今となっては懐かしい思い出です。

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