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勝手に1日1推し 129日目 「スティグマタ」

「スティグマター精痕捜査ー/ー愛痕ー」高橋秀武     漫画

また素敵な作家さんを発見してしまった!!罪作りだわ!何なの?!凄い!高橋秀武センセっ、とっても個性的でらっしゃって。恋しちゃったんだ、たぶん気づいてないでしょ~♪ 先生の作品に恋しちゃいました。

ミステリ&ホラーなテイストにスピリチュアル&オカルティズムというスパイスを少々。独特な作画がアナログ感ありレトロ感ありでして、サイケデリックな装飾が更に私を惑わせるぅぅ・・・その唯一無二さにうっとり(余談ですが、tkbも唯一無二で可愛いです)。ゴシックロマンスのようです。好きだー。水彩タッチのカヴァーも美しい。好きだー。

2015年の「スティグマター聖痕捜査ー」(1)からの2021年「スティグマター愛痕ー」(上・下)です。青年漫画から発展、BがLしちゃったんだ、たぶん気づいてないでしょ~♪という国家をも揺るがす素敵案件です!てか、「聖痕捜査」については1巻となってるのに続いてないの残念過ぎるんだが・・・。

さて置き、とことん独創的な世界観が素晴らしいです。刑事モノ、捜査モノ、事件の数だけバディありじゃあないですか。そこに新たな最強刑事コンビが現ル!!!です。

殺人事件を扱う第六係。メンバーは、殺人現場に残された死者の「残留思念」に感応し、自身で被害者の死までの数時間を追体験できてしまう刑事、朝子巡査とそんな彼を監督する立場である上司の黒岩警視。朝子君の特殊能力を使って事件に挑みます。心霊捜査だとか何だとか言われ、捜査一課の中で特異課扱いされながらも、常に現場最前線。スティグマ捜査(キリスト教徒が宗教的恍惚状態においてイエス・キリストの受難の傷を自分の体に再現するようなもの)には証拠能力はないけれど、体を張りつつ裏方に徹し、一般的な捜査だけではたどり着けない解決に導いていく・・・という、誠にファンタジックなお話なんですよ。予測不能ってやつです、ハイ。少々エキセントリック過ぎるのでは?と思われるかもしれませんが、読むとそんなことは決してなくて、設定と物語で外側(出来事)と内側(心情)を丁寧に描いているので、違和感なくそのドラマチックな世界を堪能できます!

ちなみに朝子君なんですが、霊能者みたいに死者の霊が降りてくるとかじゃあないんです。例えば被害者が6回ナイフで刺されて殺されたら、朝子君も同じ場所を6回刺され、もちろん血が出て彼自身が被害者と同じように痛い思いをするんです。で、その時の恐怖だったり、不安だったりの感情も共有してしまうし、被害者が犯人を目撃していたらその顔を目撃することになるんです。現場に赴いたり、犯人に会ったりして、残留思念を感じ取ったら、自ずと銃弾による激痛だったり、その血が噴き出したり、溺れたように苦しくなったり、口から水や魚を吐き出したりしちゃう訳です。彼は常に

被害者の内面から目撃する

ことになるんです。もちろん必ずしも被害者が犯人を目撃していることはないし、死の間際の感情も、辛いや痛い、怖いだけじゃなくて、嬉しかったり懐かしかったりもするんです。このように、被害者から様々な思いや感情を全て受け取っているところが物語を面白くさせていて、この一筋縄ではいかない生者(捜査員)と死者(被害者)の間で発生する行動や感情の矛盾や齟齬が人間らしさを感じさせ、非常なる深みを生み出しています。

もちろん、朝子君のスティグマタだけが頼りってことではなくて、黒岩さんの冷静な推理力や分析力と合わさることで、無事不可解な事件の幕が下りるっていう帰結も、GOODバディ感を盛り上げてくれます!お互いなくてはならない者同士、相棒なんですね。

被害者視点と言うか心情による捜査なので、朝子君にかかる負担はかなりのもので、事件の度に死を体感することになるので、彼自身が現実と非現実の境目が曖昧になりがちなのが、また違うステージにドラマを発展させるんだなあ。

主に「聖痕捜査」は事件解決に焦点、「愛痕」は事件解決を軸に情緒面に焦点が当てられております。

「愛痕」では、黒岩さんの分かれた奥さんの事件によって乱れる朝子くんの心情、奥さんの残留思念に触れたことによる新たな感情の発露から、自分自身の本当の望みを知ると言う必然且つ、誰もが納得な流れでBL展開していくとうストーリーテリングの上手さに痺れました!6年の時を経てバディからパートナーになるんだなあ。その間ずっと2人で事件解決してたって思うと感無量です!

だってさ、いつも黒岩さんの朝子君への配慮が神。決して自殺者の残留思念に触れさせないのとか、食生活をしっかり面倒見るとか、部下として以前に1人の人間として配慮し気遣い、大切にしてるんだよなあ。尊敬しちゃう。

更に、生者と接触があると残留思念から解放されるという「聖痕捜査」からの設定もめちゃくちゃ効いていて、「愛痕」にて2人が同居することになる流れも完璧でした!生活を共にすることによる関係性の変化。ましてや、これまでも生死(疑似)を共にしている2人なのですから、特別な感情が湧く&気付くのは当然です。時間や危機を共有することで芽生える感情はやっぱり特別で本物です・・・。

それに加え、朝子君がすっごく可愛いんだよぉ。もう、黒岩さんじゃなくても可愛くてギュってしたくなっちゃう。抱きしめたくなっちゃう。BがLしちゃって、当然だよぉ。朝子君、小さい頃から特異体質を持て余していただろうに、いい子に育ったもんだなあ(涙)。

「サイケデリア」も読んだし「花と銀」も読んでるけど、かわい子ちゃんとその連れのバディ展開が強烈な尊味を生み出しているぅ。ひでぶ先生のかわい子ちゃん×しっかり者の組み合わせは紛れもなく私を萌えさせる!!!滾らせる!!!実際にこんな子がいたら絶対にイライラしちゃうだろうけど、それはもう、相方が玉のように大切に可愛がると思えばへいちゃらです。とにかく可愛すぎるんだ。「雪と松」も読まねば。罪作りだわ。

ひでぶ先生ってつくづく鬼才ってお呼びするに相応しいよなって思います。ぶっ飛んだ設定でも常に人を描いてて、現実に寄り添ってるって不思議な作品ばかり。すっごくすっごくオススメしたい!

本作、ホントめちゃくちゃ面白い!!当然のように残留思念、残留思念ってばっかり言ってて、何言ってんだ?って思うかもしれないけど、読めば、アナタも絶対に残留思念、残留思念ってなってしまいますよ。是非!

はぁ、本当に深いよ、BL沼。

「スティグマター聖痕捜査ー」

事件は、“殉職”より始まる…。 警視庁特命捜査対策室第六係の黒岩警視と朝子巡査。被害者の残留思念に“感応”する特異な捜査方法で、不可解な事件の真実に迫る! 鬼才が描く“異能”刑事ドラマ!! Amazon

「スティグマター愛痕ー」

警視庁特捜六係・朝子巡査は、殺人現場に残された死者の『残留思念』に反応し、死者の傷とその苦痛を自身の体に再現してしまう特異体質の持ち主。目付け役の黒岩警視とともに、その体質を使った捜査に日々励んでいた。そんなある日、黒岩の元妻・真理が殺されたという知らせが入った。黒岩は彼女の最期を知るために、朝子を連れて殺人現場に向かう。そこで真理の残留思念に反応した朝子は、背中に突然現れた傷から大量の血を流して倒れこんでしまう。朝子が見た、真理の消えゆく意識に現れたのは彼女の元夫・黒岩の顔だった。それから朝子の中に灯った、ある“思い”――それは、真理の残留思念なのか、それとも……? 冷静沈着な敏腕刑事×特殊能力を持つ新米刑事の耽美的警察BL、上下巻同時刊行!! Amazon

最後になりますが、朝子君が着用する刑事ドラマTシャツにご注目ですゾ!(Cute!)刑事に対する熱い思いが垣間見れます!

しっかし、いわゆるホモソ集団(警察・やくざ・スポーツetc)におけるBL展開にはハズレがないな~。ってか、好みなだけか?!

ということで、推します。

追伸:

スティグマタ(聖痕)=十字架に磔にされた際のイエス・キリストと同じ傷跡 Wikipedia

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